この業界に入って、最初に選んだのは性感マッサージのお店だった。 まだ何も知らない未経験者だった私はできるだけ“優しい入口”を探していた。 大手グループ。稼げる繁盛店。30代の女性も普通に働いている。 そんな条件を並べて、私は「怖くなさそうなお店」を選んだ。 LINEでのやり取りは思ったより丁寧で、少し安心した。でも、面接の日は近づくにつれ、胸の奥がザワザワしていく。 当日、待機所になっている繁華街の雑居ビルに足を踏み入れる。古びたエレベーターの扉が閉まる音が、やけに大きく感じた。 ドアを開けると、優しげな店長が笑顔で迎えてくれた。でもその奥で電話番のスタッフたちが ふと手を止めてこちらを見た。…