ある日の鋳造品の旋盤加工の現場で、私は思わぬ危険な体験をしました。その日は旋盤やマシニングセンター(コンピューター制御で精密加工を行う工作機械)など10台の機械を同時に動かしていて、手を休める暇もないほど忙しく、機械が止まる時間もほとんどありませんでした。 セットとは、加工前にワーク(加工対象の部品)を機械に正しく固定する作業のことです。このセットが甘かったことに気づかずに加工を開始し、自動ドアは閉まっていたものの、防護ガラスが粉々になるほどの威力でワークが吹っ飛んできました。 防護ガラスは加工中の飛散物や破片から作業者を守るために設置された安全装置です。ワークが外れて吹っ飛ぶと、まるで車の正…