夕方からは雨模様だという。外出するなら早いうちだ。 商店街を歩くと、電信柱ごとに青紫色の幟旗が立てられてある。五月の端午の節句に近い週末をつかって、地域の伝統芸能である獅子舞を、観覧ならびに体験してもらおうとの試みのようだ。界隈の神社三か所にて、催されるらしい。 この街へ引越してきた当時は、平穏を悦びながらも住民各人が暮しの確立だの商売の安定化だのに懸命な時期だった。敗戦からの復興期の残香がどことなく漂っていた気がする。むろん今から思えばのはなしではあるが。 地元の寺社に伝わる伝承だの伝統芸能だのは、廃れたままの状態だった。高度成長期を経て、さて次なる生き甲斐はどこにと、また地域活性化と住民融…