スーパーで買って帰る道すがらに、玉子を一個、落してしまった人があった。もったいないことをしたと、思われたことだろう。割れたまま往来に放置された玉子を轢いていった、自転車かバイクかのタイヤがあった。 だからどうした、という噺だ。 急に肌寒くなったとはいえ、風さえ吹かなければ、午前中の陽射しはうららかだ。一日のうちでもっとも心地よい。午後になると急速に肌寒くなってゆく。承知しているくせに、最良の時間を寝て過す日が多い。かくてはならじと思いつつも、自分に甘い。日に三十分以上は陽光を浴びないと、いくら食生活を保ったところでビタミンDが形成されないと、教えられてもいる。 思い切って池袋まで用足しに出る。…