りんごの部屋が、静かになった。 ドアを開けると、そこには、きちんと整えられた空気があった。 綺麗に畳まれた、使用済みのベッドカバー。引っ越しの日、最後に使った布団カバーは、「洗ってください」と、そんな言葉を残して。 そっと揃えられたシーツに、あの子の時間が、まだ少しだけ残っている気がした。 こんなに綺麗に畳める子だったかな、なんて思いながら、指先でそっと触れてみる。 嬉しいような、でも、少しだけ寂しいような、うまく言葉にできない気持ちが、静かに広がっていく。 引っ越しの日が近づいていた、あの頃。 ほんとうは、最後まで心地よい空気のまま見送りたかったのに、結局、喧嘩をしてしまった。 ドア越しに言…