「ああ、申し遅れた。 松平残九郎家正だ」「松平と言うと…」「なに、名前は派手だが 三十俵三人扶持のただの貧乏御家人さ」 『御家人斬九郎』 渡辺謙, 岸田今日子, 若村麻由美, 益岡徹 ,塩見三省 1995 江戸時代、 御家人というのは、 徳川家の家臣の中で 旗本の下に位置する 将軍へのお目見えも 許されぬ身分であった。 この松平残九郎、 名門の家柄ではありながら 無役の三十俵三人扶持という 御家人の禄としては 最低の境遇である。 したがって稼がねばならない。 しかしその時代、 武士の副業は禁止されていた。 そのため残九郎は 大っぴらにできない ”かたてわざ”と称する 裏の稼業を 持っていたので…