名残の月の、陰りへの感受性について考えているうちに、数学者の森田真生が「調音」という言葉を使っていたのを思い出しました。 森田はこの言葉によって、弱さを、存在の欠如ではなく、存在そのものの在り方として捉えようとします。月を見あげて心が動くのも、花を見て嬉しくなるのも、弱さに支えられた「調音」のはたらきなのではないかと。森田は環境哲学者ティモシー・モートンの「調音」という概念を引きながら、人が自分を超えた何かと響きあう在り方を語っています。また「懐かしさの場所」という文章では、次のように述べています。懐かしさとは、郷愁(ノスタルジア)と同じではない。過去や記憶と結びつかない懐かしさもある。初めて…