『ブレヒトの詩 ベルトルト・ブレヒトの仕事 3』/責任編集・野村修/河出書房新社/1972年刊 あとから生まれるひとびとに 1ほんとうに、ぼくの生きる時代は暗い!無邪気なことばは間がぬける。つややかなひたいは感受性欠乏のしるし。わらう者はおそろしい知らせをまだ受けとらない者だけだ。 なんという時代──いまは木々についての会話が、ほとんど犯罪に類する、なぜなら、それは無数の非行について沈黙している!平穏に街路をわたるあのひとは苦境にある友人たちからはもはや手の届かぬひとではなかろうか? たしかに、ぼくはまだ食えているでも嘘じゃない、それはただの偶然だ。ぼくの仕事はなにひとつ、ぼくに飽食の権利をあ…