世をうみに ここらしほじむ 身となりて なほこの岸を えこそ離れね 子供への申しわけにせめて国境まではお供をさせていただきます」 と入道は言ってから、 「出すぎた申し分でございますが、 思い出しておやりくださいます時がございましたら 御音信をいただかせてくださいませ」 などと頼んだ。 悲しそうで目のあたりの赤くなっている源氏の顔が美しかった。 「私には当然の義務であることもあるのですから、 決して不人情な者でないと すぐにまたよく思っていただくような日もあるでしょう。 私はただこの家と離れることが名残《なごり》惜しくてならない、 どうすればいいことなんだか」 と言って、 都出《い》でし 春の歎…