【上野批評の特性 (3)】 山根「(『黄昏映画館 わが日本映画誌』〈国書刊行会〉では)大島渚について書いた文章は多いですね。でも何本も書いたなら作品や姿勢を支持するのかと思ったら、反感とまではいかなくてもちょっと違うんじゃないですかっていうのもわりあい多い。そこがこの本の面白さですね。山田洋次については4本ぐらいありますが、大変いいんだって書いてるのともう映画をつくらないでくれみたいなのとがいっしょに並んでるんですよ(笑)。上野さんが意見を変えたのではなくて、むしろ山田洋次の映画が初期と後期とで変わっていったんだと。それが見えてくるんですね。野次馬的(笑)。ただ最近の山田洋次はつまんなくても、…