中学生の頃から文章に触れていた映画評論家・山根貞男が2月20日に亡くなった。享年83。 最後の著書がまさに2月に出たばかりだったと知り、追悼の思いで読んでみた。『映画を追え フィルムコレクター歴訪の旅』(草思社)。いやぁ、これは『探偵! ナイトスクープ』ばりに面白い、映画史的にも人物ドキュメントとしても読み応え充分のルポルタージュである。 まだ映画をソフトとして個人所有することが難しかった時代、娯楽映画の大半は消耗品的な扱いを受けていたが、中には35㎜フィルムを切り刻み、その断片を「おもちゃ映画(ブリキのおもちゃ映写機で上映する)」として販売したり、家庭上映用の9.5㎜版や巡回上映用の16㎜版…