知り合いの魚やさんに生ワカメを頂いた。 海の中はもう春だ。 日持ちしないのでさっそく調理をしようとしたが、南は生ワカメをみたことがあるのだろうかと思いつつ帰りを待つ。 数時間後、元気に帰宅した南がシャワーから出てくるのを今か今かと待つ。 いつものようにしっかり拭けていない頭からしずくとともに、「腹減ったー」と叫びながら、できたてのご飯で握ったノリで巻いただけのおにぎりをつかみにくる。 「もう、頭まだ濡れてるって。どうしてこう毎度いわれるのに、髪の毛をふかないかなー」 と嘆きながら彼の頭をごしごし拭く。 彼はタオルの間で「うまいねー」としきりにいいながら、おにぎりをほうばるのをやめようとしない。…