主人公の彩人には死への願望がある。作中で示される拳銃を頭に自ら突きつける行為がそれだ。 破滅に向かう彩人は母のケアをどこまでしていたろうか。彩人と母親が病院へ行く。医師から「母親の陰に隠れていませんか」と問われる彩人。 処方してもらった薬。これが喘息持ちであろう彩人の物か、母親の物かは少し迷うのだが、恐らく母親に処方された薬を彩人が飲んでしまうシーンがある。 パンフにあるように前頭側頭葉変性症が瓦解することはない。しかし、薬を飲み与えてさえいれば症状は和らいでいたろう。 彩人はどこかで母親の不幸に依存し、自分の未来を見つめることを拒否している。 父親の死の真相も明示されないが、恐ら陰惨な結末だ…