🌹夫婦の溝は 埋まらない【源氏物語104 第七帖 紅葉賀6】 源氏は御所から左大臣家のほうへ退出した。 例のように夫人からは 高いところから多情男を見くだしているというような よそよそしい態度をとられるのが苦しくて、 源氏は、 「せめて今年からでもあなたが暖かい心で 私を見てくれるようになったらうれしいと思うのだが」 と言ったが、 夫人は、 二条の院へある女性が迎えられたということを聞いてからは、 本邸へ置くほどの人は源氏の最も愛する人で、 やがては正夫人として 公表するだけの用意がある人であろうとねたんでいた。 自尊心の傷つけられていることはもとよりである。 しかも何も気づかないふうで、 戯…