2―1.価値観 誠の世界では「義理人情」が、「報」の世界では権利義務が伝統的価値観を形成しています。 広辞林によれば、義理は法律規範を超越した社会規範で「人として社会に生きるために嫌でも努めなければならない行為」です。一方、人情は道徳規範で「他人をあわれむ心、思いやり」です。時には、我々の日常生活の中で義理と人情のはざまで心が激しく揺れ動くことがあります。 ここで誠の解釈が二つに分かれることがあります。封建時代の武士の世界では義理が圧倒的に強く、義理のためなら人情を捨てるのが務めでした。例えば有名な忠臣蔵です。主君の汚名を雪ぐための仇討ちこそが誠で、武士として義理の行使が絶対的な使命であり、達…