私も含めて、多くの人たちが「カーボンニュートラル」という幻想の中にいるのかもしれない──そんなことをふと思ったきっかけは、ある若手社員のひと言でした。 彼は、「GHG(温室効果ガス)の削減って、実際には強制されていないのではないでしょうか」と言いました。その言葉を聞いたとき、私は少なからず驚きを覚えました。 というのも、私は立場上、企業の経営者と話す機会が多く、そうした中でGHG排出削減に向けて、コストが増加してでも高価格のバイオマス燃料などを導入していくという話を耳にしてきたからです。現実には、そのような対応を余儀なくされている企業も存在します。 ですから、「それが強制ではない」という現場目…