1952年京都市生まれ。英米文学者、翻訳家、アンソロジスト。 現在、京都大学大学院文学研究科教授。2004年に『乱視読者の英米短篇講義』で第55回読売文学賞随筆・紀行賞を受賞。
指将棋、詰将棋やチェスプロブレムでも有名で、指将棋では赤旗名人戦優勝、詰将棋では看寿賞7回受賞、チェスプロブレムでは国際チェス連盟(FIDE)から解答競技インターナショナル・マスターなどの実績がある。
いろいろ文学を読んでます。 アニメ論とかオタク論とかを嗜んでいると、ロリコンというものについて考えざるをえない。ロリコンを論ずるならば「ロリコン(ロリータ・コンプレックス)」の語源になった小説を読んどかないとなあ、と思い、ウラジーミル・ナボコフの『ロリータ』を読んだ。若島正訳、新潮文庫。 ロリータ (新潮文庫) 作者:ウラジーミル ナボコフ 新潮社 Amazon ナボコフはロシア出身で、革命後に亡命した。作家生活の前半はロシア語で書き、後半は主に英語で書いた。私はロシア文学科出身だが、不勉強なので今回初めてナボコフの小説を読んだ。『ロリータ』は英語で書かれている。母語ではない英語で書いていると…
将棋を知らない人には伝わらないと思うが、詰将棋を齧ったことのある人ならこの面白さ分かってくれると思う。 今年の詰将棋解答選手権の問題で、詰将棋作家若島正氏の出題した作品は正解者ゼロだった。 恐ろしく難解な問題で、その難易度を若島氏は 30分で八冠 と冗談混じりに語っていたという。 これは当然藤井聡太八冠を意識した言葉で、よく新聞や雑誌に載っている詰将棋の 10分で初段 などの表現のパロディ?でもある。 今年はスケジュールの関係で詰将棋解答選手権に出場できなかった藤井聡太八冠が、今日のインタビューでこの問題に挑戦したかどうかを質問され、答えにくそうにしながらも、 30〜40分くらいかかった と答…
本日に久しぶりで行きつけの本屋へといくことになりました。あれこれ気に なる本もあったりするのですが、たぶん、文庫以外は目にすることはできないで ありましょう。 ということで、本日に手にした文庫の話です。 今月の文庫本で、当方にとって一番のものは、早くも文庫になった読売文学賞・ 鮭児文学賞を受けた、次の小説であります。 ジュリアン・バトラーの真実の生涯 (河出文庫) 作者:川本 直 河出書房新社 Amazon ジュリアン・バトラーの真実の生涯 作者:川本直 河出書房新社 Amazon 今回の文庫化にあたっては、表紙カバーの装画をがらっとかえて、赤から白に であります。画家も宇野亜喜良さんになって…
昨日に届いた「本の雑誌」8月号は、特集が「2023年度上半期ベスト1」 というものでありました。そうか、今年も半分が過ぎたのでありますね。 「本の雑誌」の上半期ベストというのは、新刊に絞ってのことでありますが、 ほとんど新刊には縁のない生活をしていることもありまして、当方は上半期に 読んだものとか、心に残ったものを書きだすことにです。 本の雑誌482号2023年8月号 本の雑誌社 Amazon 順不同であります。 まずは、今年の上半期といえばの一冊です。 盤上のパラダイス (河出文庫 わ 10-1) 作者:若島 正 河出書房新社 Amazon このところ好調が続く河出文庫の一冊。若島正さんの別…
最近に購入して、いまもちびちびと読んでおりますのは、今月に河出文庫か ら新刊ででました若島正さんの「盤上のパラダイス」であります。 英文学の若島さんは、その一方で詰将棋作家としても著名でありまして、この 文庫新刊は、詰将棋に関するものです。 当方は将棋といえば、駒の動かし方を知っているだけでありますが、それで も若島さんの詰将棋ものということで、興味津々でした。 ページをめくりますと、当然のこと詰将棋の問題がでてくるのですが、そこの ところはスルーして、ちょっと風変わりな詰将棋愛好家の人物スケッチを楽しん でおります。 この本の元版は将棋愛好家に人気のあるものらしく、当方がこの文庫本を話題 に…
先日に購入した若島正さんの「盤上のパラダイス」を、待ち時間などにつまみ 読みすることになりです。 これは詰将棋にかかわる本となりますので、ページのあちこちに詰将棋の盤面 が登場することになります。当方は将棋は駒の並べ方と動かし方は知っていますが、 将棋をすることはなしであります。 亡父は付き合いのためでしょうか、囲碁と将棋のどちらもやっていたのですが、 とうとう当方は相手をすることはありませんでした。亡父は孫たちに期待したよ うでありますが、残念ながらの結果となりました。 若島さんは、どうして将棋をするようになったのかということが、この本には 書いてありました。 「将棋を教えてくれたのは祖父で…
注文してあったシステム手帳用のリフィールが入荷したと連絡をもらって いたので、本日は行きつけの本屋へといくことになりです。(まだその昔に 流行したシステム手帳を使っている人はいると思うのですが、このリフィール を購入するのに苦労することです。当方は能率協会のバインデックスの301 デイリープラン12時間というものに日記帳のような使っていますので、一日 一枚として、一年では365枚は使いますから、半年に一回くらいは注文する ことになりです。なかなか慣れた店員さんがいませんで、その都度、すこし 商品についての説明が必要となりで、このへんがちょっとさびしいことでありま す。まあ、それでも行きつけの店…
パラダイスとはいっても、ストリート・スライダーズの4thアルバム「夢遊病」に収録されている曲のタイトルのことではない。 全国の詰将棋マニアの愛読書「詰将棋パラダイス」及びそれを巡って書かれた若島正の著書「盤上のパラダイス」(河出文庫、2023年4月)のことである。 該書は、1988年12月に三一書房から単行本として発売されたが、絶版となり書店では入手できなかったので、この度の文庫化は大変喜ばしい。 5年位前に、詰将棋の世界に魅せられてその奥深い世界の入口に立っておそるおそる中を覗いたことがあり、著名な詰将棋作家の本を集めて、パソコンの将棋ソフトに打ち込んで鑑賞していた。 永遠の傑作、伊藤看寿「…
ランキング参加中読書←よくわからないけど参加してみることにしました ◆『澁澤龍彦訳 幻想怪奇短篇集』 『怪奇小説傑作集4』(以下『怪奇集4』)の収録作と『ふらんす怪談』が合わさった本らしく、再編集本といった感じなのかな。『怪奇集4』の方は既読なので、そちらの作品は再読。 「呪縛の塔」マルキ・ド・サド ヒロイックファンタジーの先駆けような作品という全体の印象は変わらないのだが、今回はそのスケールの大きさにインパクトを感じた。それほど昔でもないのだが、その時には何を読みとっていたのかなあ。 「ギスモンド城の幽霊」シャルル・ノディエ こちらにいたっては以前読んだ記憶が全くといっていいほど消えている(…
たまには誰もわからない話でもするか(え?大概いつも話題の範囲は狭いんじゃないかって?まあそうですな)。 当ブログ主は一浪して大学に入学した。 浪人の時の話をしたい。 浪人した理由もみっともないもので、志望学部を変えてやり直したいと親にねだったというわけ。 中高一貫の私立に通わせてもらって十分準備もしてきたのに、高3で志望が最後までちゃんと定まらなかったという。ろくでもないもんだね。 一番興味が持てたのがSFで、高校生のうちにプロやのちにプロになる方々とも知り合うことができたにも関わらず、そちらの道を早々に断念したというのも少しは影響した。断念した理由は、読書スピードが圧倒的に遅いことと英語力を…