柳家蝠丸さんの噺を聴いた。この師匠にあっては、夏といえば、待ってましたである。夏限定の演し物で、今宵は三遊亭円朝原作の怪談だ。小規模の落語会では珍しく、生音の三味線が入り、途中で照明を落とすなど、怪談噺独特の演出もあった。 今では、怪談噺をなさる落語家さんは少ない。蝠丸さんはお若いころから、つまり二つ目小蝠さんの時代から、夏の独演会・勉強会ではかならず、怪談噺を高座にかけてこられた。レパートリーも多い。 師匠は十代目桂文治という人で、テレビの落語ブームの草分けの一人だった。「眼玉の伸治」と称されてお茶の間の人気者だったが、お弟子の指導には厳しいかただった。そのぶんだけ、わが弟子を可愛がってやま…