老人ホームで働いていると、日々たくさんの「人生」と出会います。一人ひとりにそれぞれの歴史があり、背景があり、価値観がある。そして、そのすべてが「普通」では括れない、特別なものです。 しかし、ふとした瞬間に気づかされるのは、私たち自身が「普通」という名の呪縛にとらわれているということです。 「こうあるべき」「これが当たり前」「年を取ったらこうするのが普通」。そんな思い込みが、私たちの行動や言葉、そして心のあり方に影を落としているのではないでしょうか。 「普通」とは、誰のためのもの? 例えば、食事の時間。規則正しく3食きっちりと食べるのが健康のためとされ、「普通」と思われています。でも、入居者様の…