車道はもう黒い。 光を吸い込んだアスファルトが静かに伸びている。 けれど、家のまわりにはまだ白が残る。 溶けかけた縁が夜の冷えで少し締まり、丸く、低く、そこにとどまっている。 空気は乾いているのに指先にはまだ冷たさがある。 冬は退いたようで完全には離れない。 春は近づいたようでまだ姿を明かさない。 そのあいだに立つと、胸の奥でなにかがわずかに動く。 まだ寒いのにもう寒さのせいにはできなくて。 黒く出た路面を見て、僕は少しだけ立ち止まる。 風が抜ける。 白は残っているのに同じ白ではない。 世界がゆるやかに形を変えていく。 僕もまた、その変化の途中にいる。 ほどけきらないまま光だけがすこし増えてい…