宝永4年10月4日。観誉理清の50回忌で文左衛門は昼前に高岳院を詣でる。香奠は200文。以前の廻文で法事の後はのんびりとくつろぐようにとあったので、参詣の者のほかにも鈴木藤入・曲淵源太もやって来ていた。源右衛門・権内・治部右・源兵・勘八・七内も居合わせた。書院で夕飯が出て酒が一通り廻った時、東北から地鳴りがして地震が起こる。未1点(午後1時過ぎ)のことであった。段々と強くなり、おさまらないので皆で申し合わせて庭へ飛び下りる。たいていの者は裸足であった。地震はさらに強くなり、激しく書院が揺れ動いた。強風が吹いているかのように大木がざわめき、大地の強い揺れで歩くこともできなかった。石塔の倒れる音は…