日本の歴史には、幾度となく津波が襲い、壊滅的な被害をもたらした記録が残されています。その中でも、1933年(昭和8年)に発生した昭和三陸地震は、津波によって数千人の命が奪われた悲劇の震災でした。 それだけではありません。この地震の恐ろしさは、明治29年(1896年)の三陸地震津波の記憶がまだ色濃く残る中で、再び三陸の町々を破壊し尽くしたという点にあります。かつての教訓は生かされたのか、それとも再び甚大な犠牲を払うことになったのか――その詳細に迫ります。 1. 突如襲いかかった巨大地震 1933年3月3日、午前2時31分。 冬の厳しい寒さに包まれた夜更け、三陸沖の海底で巨大な地震が発生しました。…