はじめに 『PSYCHO-PASS』1期は、シビュラ社会における管理と自由の対立を描いた作品であるだけでなく、人間が自らに与えられた宿命をいかに引き受け、自己の役割を発見していくかを描いた思想劇でもある。 本稿では、シビュラ、狡噛、槙島、常守の四者を比較する。シビュラは査定の一方向性に、狡噛は私刑の閉塞に、槙島は観念による裁きに閉じていく。これに対して常守だけが、他者との応答を通じて自らの使命を発見し、個としての輪郭を獲得していく。 その頂点が、第20話「正義の在処」における彼女の内的対話である。本稿では福田恆存『人間・この劇的なるもの』を補助線として、この場面に結晶する思想劇の中核を明らかに…