教科書謝礼、公取が聴取 22社の担当者を独禁法違反疑いで - 中日新聞(2016年4月12日)

http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2016041202000255.html
http://megalodon.jp/2016-0412-2138-55/www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2016041202000255.html


教科書会社が検定中の教科書を教員らに見せ、謝礼を支払っていた問題で、公正取引委員会は、謝礼を渡すなどの行為で公正な取引がゆがめられた可能性があるとして独禁法違反の疑いで、小中学校の教科書を発行する全二十二社の担当者の聴取を十二日から始めた。調査を進め、再発防止を求める排除措置命令や警告を出すか検討する。
独禁法は、不公正な取引方法の一つとして、不当な利益をもって競争者の顧客を自己と取引するよう誘引することを禁止している。公取委の杉本和行委員長は三月の参院予算委員会で「教科書発行者が、教科書の採択に関与する者に、経済上の利益を供与し、これにより教科書発行者間の公正な競争が阻害される恐れがある場合、独禁法上、問題になる」と答弁していた。
馳浩文部科学相は十二日の記者会見で、公取委が教科書会社に排除措置を命令した場合、教科書無償措置法に基づく発行者の指定取り消しも検討するとした。
謝礼問題は昨年十月、三省堂が公立小中学校長らに現金を渡していたことが発覚。ことし一月、教科書会社の自己点検を取りまとめた文部科学省が公表した調査結果によると、二十二社のうち十二社が検定中の教科書を教員ら延べ約五千人に見せ、うち十社は延べ約四千人に謝礼を払っていた。その後の各都道府県教育委員会の調査では、公立校で閲覧したのは延べ四千五百二十五人、うち謝礼があったのは延べ三千五百七人。
文科省は三月、閲覧した教員ら延べ約千人が教科書採択に関与し、閲覧した教科書に採択を変更したケースが約百件あったと公表。いずれも採択に影響はなかったとしている。
教科書業界を巡っては、戦後、国定教科書から検定制度に変わった後、金品を教員らに贈るといった行為が横行。業界は公取委から一九五六年に独禁法の特殊指定を受けた。採択方法が透明化されたことなどから二〇〇六年に特殊指定は廃止された。業界団体の教科書協会は〇七年に自主ルールを設け、選定関係者への金品の提供などを禁じた。


(私説・論説室から)総・総分離のススメ - 東京新聞(2016年4月6日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2016040602000210.html
http://megalodon.jp/2016-0412-0745-35/www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2016040602000210.html

国会審議で、腑(ふ)に落ちないことがある。憲法改正をめぐる安倍晋三首相の答弁だ。
自民党にとって現行憲法の自主的改正は結党以来の党是だ。すでに二次にわたり改正草案もまとめている。安倍氏が党総裁である以上、改正を目指すのは当然だろう。
国会でも「現行憲法の基本的考え方を維持することを前提に、必要な改正は行うべきだと考えている」と、堂々と答弁している。
しかし、安倍氏は首相でもあり、大臣として憲法擁護の義務を負う。にもかかわらず、首相の立場でなぜ、擁護義務とは相いれない改正論を展開できるのか。擁護義務を定めた憲法に反すると厳しく批判されて当然だ。
この際、首相=総理と、党総裁とを分けたらどうだろうか。「総・総分離」である。
安倍氏が改正に専念したいなら、首相を辞めて党総裁として陣頭指揮を執ればいい。国会議員にも大臣同様、憲法擁護の義務はあるが、改正の発議権は国会にあるので、首相でない方が自由に発言できるのではないか。
首相として国民の負託に応える道を選ぶなら、憲法改正など口にせず、現行憲法に忠実に従って職務に専念すべきだろう。改正の仕事は別の党総裁に委ねればいい。
総・総分離は自民党内でたびたび浮上する政治の知恵だ。「憲政の常道」に反するとの批判はあろうが、首相が憲法擁護義務を蔑(ないがし)ろにするよりはましである。 (豊田洋一)

日本国憲法
第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

G7外相・広島宣言 オバマ氏も被爆地訪問を - 東京新聞(2016年4月12日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016041202000142.html
http://megalodon.jp/2016-0412-0920-41/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016041202000142.html

先進七カ国(G7)外相が広島の被爆地を訪れ、原爆を投下した米国の国務長官も初めて列席した。「核兵器のない世界」実現へ新たな一歩にしたい。
G7外相会合の広島市開催に合わせ、七カ国外相らが平和記念公園を訪れて慰霊碑に献花し、資料館と原爆ドームを視察した。核兵器を持つ米、英、フランスの外相が被爆地を訪れたのは初めて。
献花後、外相らは子どもたちから、折り鶴で作った首飾りをかけてもらった。被爆し回復を祈って千羽を超す鶴を折り続けたが、十二歳で亡くなった佐々木禎子さん。平和公園にある原爆の子の像のモデルになった少女の思いは、伝わっただろうか。

◆核の非人道性入らず
外相会合ではテロや難民対策など幅広い外交課題を盛り込んだ「議長声明」とともに、核軍縮・不拡散をテーマとした「広島宣言」を発表した。
宣言では、原爆投下により広島、長崎の人々が「極めて甚大な壊滅と非人間的な苦難という結末を経験した」と述べ、「核兵器のない世界に向けた環境を醸成する」ことを再確認した。
米国の外交、安全保障政策を担当するケリー国務長官が加わって、G7外相が原爆投下の悲劇を明言し、核なき世界の実現に向け努力すると確認したことは、意味のある成果だと評価したい。被爆者との面会がなかったことは残念だが、特にケリー長官が国内の慎重論を考慮したとみられる。
日本政府はこれまで国際会議で「核兵器の非人道性」を訴えてきたが、広島宣言では「非人間的な苦難」という表現になった。
国際社会ではここ数年、核を持たない国々が、核の非人道性を根拠にして核兵器禁止条約をつくるべきだと主張するが、核保有国は反対している。今回の宣言でも非人道性という敏感な表現は盛り込まれなかった。

◆抑止より脅威語ろう
宣言では、核なき世界への進展は、単独、二国間、多国間で「漸進的なアプローチを取ることによってのみ達成できる」とした。平均年齢が八十歳を超えた被爆者は一日も早い核廃絶を望んでいるが、国際情勢を考えながら、外交交渉を通じて粘り強く取り組むという現実論が優先された。
日本は唯一の被爆国でありながら、安全保障を米国の核の傘に依存している。だが、原爆の悲劇を直接知るからこそ、議論の比重を抑止力から核の脅威に移すべきではないか。核の非人道性を積極的に訴え、核を持たない国々と、持つ国々をつなぐ役割を果たして、廃絶への道を開いていきたい。
オバマ米大統領は二〇〇九年四月のプラハ演説で「核なき世界」を提唱、ノーベル平和賞を受賞し、核軍縮への期待は大きく膨らんだ。成果を挙げた政策もあれば、むしろ後退したものもある。
ロシアとの間では、新戦略兵器削減条約(新START)を結んだ上、さらなる戦略核削減を訴えた。しかし、ウクライナ問題でロシアとの関係が悪化し、交渉は進んでいない。イランとの間で核開発を制限する合意をまとめる一方で、核実験を続ける北朝鮮には歯止めを掛けられない。
オバマ大統領が提唱し、計四回開かれた核安全保障サミットは、脅威を増すテロリストによる核テロ防止のため国際社会が結束する絶好の機会となった。
では、オバマ大統領は任期中に、被爆地を訪問するのか。日米両国で関心が高まる。
米紙ワシントン・ポスト(電子版)は大統領の広島訪問を側近が検討し始めたと報じた。プラハ演説を想起させるメッセージを発する可能性もあるという。初来日の時から「広島、長崎を訪れることができれば名誉なことだ」と意欲を示していた。
広島宣言でG7外相は被爆地訪問で深く心を揺さぶられたと表明し、「他の人々の訪問」を希望した。オバマ氏訪問につなげたい。
米国では「原爆投下が日本を降伏に追い込み、犠牲者が増えるのを防いだ」との考えが根強い。昨年の世論調査では、過半数が日本への原爆投下を正当化できると答えたという。

◆米世論の動向がかぎ
広島訪問が米世論の反発を呼び、過激な発言を繰り返す大統領選の共和党候補の一人、トランプ氏らがあおる政治的リスクもある。ハードルは高い。ケリー長官の広島訪問への反応を見て、可否を決めるとの見方もある。
プラハ演説後も、核の脅威がなくなることはなかった。しかし、被爆地・広島から発する声は世界中に響き得る。
大国の指導者の思い切った行動が歴史の節目を刻む。残り任期はわずか。核廃絶への扉をこじ開ける決断をしてほしい。

(筆洗)「核兵器なき世界」に向けて小さな歯車が回る「カチャ」という音がかすかに聞こえた気がした。 - 東京新聞(2016年4月12日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016041202000141.html
http://megalodon.jp/2016-0412-0920-02/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016041202000141.html

軍拡や核兵器を痛烈に風刺した『猫のゆりかご』などの米作家カート・ヴォネガットさんは晩年、人間の振るまいにあきれ果て、半ばサジを投げていたのかもしれない。最後のエッセー集『国のない男』の中で悲観的な見方をしている。

<そう、神ではなく悪魔がこの地球を創造し、「ろくでもない人類」というやつを創造したのだ>。

疑うのならと、こう続けている。

<朝刊を読めばいい。どの新聞でもいい。いつの新聞でもいい>

否定はしにくい。テロ、紛争、殺人。新聞を静かに閉じ、ため息をつきたくなる日もある。されど、被爆地・広島を訪れた経験もあるヴォネガットさんも昨日はほほ笑んでくれたか。原爆を投下した米国のケリー国務長官広島市平和記念公園原爆ドームを初めて訪問した。
おわびや被爆した方と言葉をかわすことはなかった。それでもである。原爆投下から七十一年たって、足を踏んだ側の人間が、踏まれて傷つき今なお痛み続ける相手の足を直接見たのである。
核兵器なき世界」に向けて小さな歯車が回る「カチャ」という音がかすかに聞こえた気がした。そう信じたい。
オバマ大統領の広島訪問もささやかれる。大統領退任前の「修学旅行」ではなく核廃絶という人類全体の「旅行」のスタートとしたい。そうでなければ、またあの作家から「悪魔」の話を持ち出されることになる。

 G7核軍縮宣言 広島からの発信を力に - 毎日新聞(2016年4月12日)

http://mainichi.jp/articles/20160412/ddm/005/070/124000c
http://megalodon.jp/2016-0412-0919-33/mainichi.jp/articles/20160412/ddm/005/070/124000c

この会合を、核のない世界に向けた確かな一歩にしたい。
広島で主要7カ国(G7)の外相会合が開かれ、核軍縮・不拡散についての「広島宣言」が出された。これに先立ち、米国のケリー国務長官ら7人の外相はそろって平和記念公園を訪れ、原爆資料館を見学するとともに、原爆慰霊碑に献花した。
原爆の投下によって広島で14万人、長崎で7万4000人もの命が奪われて71年になる。米国はもちろん、英仏を含めて核保有国の外相が被爆地を訪問したのは初めてだ。
関係国は広島から発せられた歴史的なメッセージを生かし、核軍縮を前に進めていく使命がある。

米大統領の訪問実現を
「広島宣言」は、テロ・難民対策などを盛り込んだ共同声明や、海洋安全保障に関する声明など、外相会合の成果をまとめた文書の一つとして発表された。
宣言は冒頭で「広島および長崎の人々は、原爆投下による極めて甚大な壊滅と非人間的な苦難という結末を経験」したと明記し、末尾で「核兵器は二度と使われてはならないという広島および長崎の人々の心からの強い願いを共にしている」と被爆地への共感を記した。
G7核兵器保有する米英仏3カ国と、保有しない日本、ドイツ、イタリア、カナダの4カ国で構成される。このため宣言の記述には、核保有国への配慮も目立つ。
とりわけ核兵器禁止条約を目指す国々がキーワードとしている「核兵器の非人道性」という文言は盛り込まれなかった。それでも「非人間的な苦難」との表現で被爆者の苦悩に思いを寄せたことは評価したい。
7外相のうちその言動が注目を集めたのは、唯一の原爆投下国である米国のケリー氏だ。
米国では、原爆投下を肯定する世論が今も多数を占めている。次期米大統領の候補者選びが本格化しているため、初の広島訪問が選挙に与える影響も計算していたはずだ。
しかし、ケリー氏は原爆資料館などを見学した後の記者会見で「胸をえぐられるような厳しい内容で、戦争がいかなる惨禍をもたらすかを想起させられた」と率直に語った。
さらにオバマ米大統領に対して「(被爆地)訪問がいかに大切かを確実に伝えたい」と明言した。
当初、予定になかった原爆ドームへの訪問を提案したのもケリー氏だ。残念ながら被爆者との対話の場は設けられなかったが、ケリー氏の発言がG7外相会合の広島での開催をより意義深いものとしたのは間違いない。
オバマ大統領は2009年のプラハ演説で「核兵器のない世界」を提唱するとともに、核兵器を使用した国としての道義的責任に言及し、被爆地の訪問に意欲を示してきた。
世界で最も影響力のある指導者として、5月のG7首脳会議(伊勢志摩サミット)の際は、ぜひ広島、長崎を訪れるよう求めたい。
いま核軍縮・不拡散をめぐる世界の状況は深刻だ。核大国である米露の対立によって核軍縮は停滞を余儀なくされ、北朝鮮が4回目の核実験に踏み切るなど核拡散も止まらない。中国も核戦力を近代化させているが、その実態は不透明なままだ。核拡散防止条約(NPT)に加盟していないインド、パキスタンの核軍拡も懸念されている。

具体的行動につなげよ
そういう状況下での広島宣言である。昨年5月にNPTの再検討会議が決裂した後、核保有国と非核保有国の双方が合意して「核兵器のない世界」に向けての文書が出されたのは初めてだ。
NPT再検討会議では、日本が世界の指導者に広島、長崎訪問を呼びかける提案をしたところ、中国が歴史認識の問題に絡めて待ったをかけた経緯がある。広島宣言で、政治指導者らによる被爆地訪問の意義が明記されたことを歓迎したい。
広島宣言も外相らの被爆地訪問も、不十分な点はいろいろある。だが、広島選出の岸田文雄外相の強いこだわりがなければ、ここまでこぎ着けられなかったのも事実だ。
米大統領選では、共和党候補指名を争う実業家のドナルド・トランプ氏が日韓の「核武装容認論」を語り、物議をかもしている。
しかし、日本が核兵器保有する選択肢は、政治的にも歴史的な経緯からもあり得ない。唯一の被爆国である日本には、核廃絶を目指す国際世論を主導する責務がある。他方、米国などの核保有国に対しては、核軍縮が義務づけられていることを忘れてもらっては困る。
日本は米国の「核の傘」に自国の安全保障を依存しながらも、核保有国と非核保有国の「橋渡し役」を自任してきた。核廃絶という究極の目標に到達する前の段階で「実践的かつ現実的なアプローチ」があることを重視してきた。
その考え方は、広島宣言にも盛り込まれている。日本は今後も核保有国と非核保有国の溝を埋める努力を続けていく必要がある。
広島にG7外相が集った意義を踏まえ、どう核廃絶に近づけていくのか。構成国のみならず広く世界が共有すべき課題である。

G7広島会合 核廃絶への歩み加速を - 朝日新聞(2016年4月12日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S12305184.html?ref=editorial_backnumber
http://megalodon.jp/2016-0412-0921-50/www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p

原爆がもたらした被害に触れた経験を、核兵器廃絶への歩みを加速する原動力にしてもらいたい。
原爆を投下した米国を含む主要7カ国(G7)の外相が広島の平和記念公園を訪れ、原爆死没者慰霊碑に花を捧げた。
一行は平和記念資料館のほか、当初の予定になかった原爆ドームにも足を延ばした。
ケリー米国務長官は記者会見で、謝罪や犠牲者を悼むような言葉は発さなかった。一方で、資料館の芳名録に「世界中の誰もこの資料館の力を見て、感じるべきだ」とつづり、会見で「いつか大統領もその一人になってほしい」と語った。
被爆者の坪井直さん(90)は「満足ではないが、よくここまできた」と感慨を語った。
原爆を投下した側が大量破壊兵器の罪深さに思いをいたす意義ある瞬間だったと、多くの人が感じたのではないか。
ケリー氏は「核兵器のない世界」の実現に向けた決意も強調した。それこそが被爆地、被爆者が最も望むことだ。
オバマ氏の任期は来年1月までだ。米大統領被爆地で核廃絶のメッセージを発すれば、影響力は計り知れない。世界の未来のために決断を望みたい。
ただ今回の訪問をセレモニーで終わらせるわけにはいかない。G7は今後、具体的な行動が問われることになる。残念ながら、その指針となるべき「広島宣言」は力強さに欠けた。
広島、長崎の人々が原爆で苦痛を味わったことは表現した。だが、国際的な議論で近年注目を集める「核兵器の非人道性」という言葉は盛り込まれなかった。また、「現実的で漸進的なやり方」でなければ核廃絶は達成できない、とも強調した。
核廃絶はあくまで遠い目標だとの考え方がにじむ。「核兵器は非人道的で、条約で禁じるべきだ」という非核保有国の主張には賛同できない、との意思を示したといえる。
宣言を取りまとめた岸田文雄外相は「核兵器のない世界への機運を再び高められる」としたが、非核保有国との溝が深まる恐れはぬぐえない。被爆国の責務として、核保有国との橋渡しに力を注ぐ必要があろう。
ウクライナ問題でG7と対立したロシアは核依存を強める姿勢を見せる。中国は核戦力増強を進め、北朝鮮は核実験を繰り返す。「核兵器のない世界」への展望は開けていない。
軍縮の停滞をどうすれば打開できるか。被爆地の願いに接したG7として、常に問い直すことも忘れないでほしい。

習志野市、試用期間後に障害者解雇 男性反発、差別解消法前の「駆け込み」- 東京新聞(2016年4月12日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201604/CK2016041202000140.html
http://megalodon.jp/2016-0412-0921-13/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201604/CK2016041202000140.html

千葉県習志野市が、職員として採用した障害者の男性(28)を、試用期間終了直後の二月に解雇していたことが分かった。犯罪に関わった場合などを除き、公務員が試用期間後に雇用を継続されないケースはまれで、市でも初めて。市は「解雇は障害が理由ではなく、能力が採用基準に達しなかった」と説明するが、男性は、障害を理由とした不利な扱いを禁じる障害者差別解消法が四月施行される前の「駆け込み解雇」と反発している。 (服部利崇)
男性によると、左足が生まれつき不自由で、障害者手帳四級の認定を受けている。歩くのが遅く長時間立っていられないが、車いすやつえは使っていない。
市によると、昨年六月に試験と面接を経て障害者枠で一般事務職として正規雇用した。半年の試用期間中、介護保険課でデータ入力や窓口対応を担当したが、能力不足などがあったとして試用期間を三カ月延長。総務課でテープ起こしなどを担当した後、今年二月二十二日に解雇通告した。
市の市川隆幸総務部長は解雇の具体的な理由は明らかにしていないが、「仕事の速度や協調性、勤務態度など十七項目を総合評価した結果、基準に達しなかった」と説明。「身体障害者枠の雇用だが、健常者と同じ事務能力がある前提で採用した」としている。
障害者雇用促進法が定める国と地方自治体の法定雇用率は2・3%だが、同市は二〇一四年六月時点で1・58%。不足人数は五・五人と県内最多で、千葉労働局が改善を求めていた。
障害者雇用に詳しい清水建夫弁護士は「障害者雇用率を見ても市は順法精神に乏しい。障害者の特性に応じた配慮をするべきで、共生社会実現には、均等に働く機会を与えねばならない」と話している。

虐待見聞きも6割「通告せず」 「判断できず」「トラブルが…」:東京 - 東京新聞(2016年4月12日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201604/CK2016041202000162.html
http://megalodon.jp/2016-0412-0919-04/www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201604/CK2016041202000162.html

児童虐待について都が都民に実施したアンケートで、実際に虐待や虐待の疑いを見聞きして通告したことがあるかを尋ねたところ、「見聞きしたが通告しなかった」人は62.2%にのぼった。都の担当者は「児童虐待防止法で通告者は守られる。勇気を持って通告してほしい」と呼び掛ける。 (北爪三記)
アンケートは、都の福祉保健モニターの登録者三百三十四人を対象に昨年十二月、インターネットで実施。二百三十七人から回答を得た。
「近所で児童虐待に気付いた場合、または虐待が疑われる場合に通告するか」との問いには、「必ずすると思う」(31・6%)、「すると思う」(53・2%)と、前向きな回答が八割を超えた。
しかし、「実際に見聞きして通告したことがあるか」を問うと、見聞きしたことがある人のうち、通告しなかった人(二十三人)が通告した人(十四人)を上回り、約六割だった。通告しなかった理由は「虐待かどうか判断できなかった」(52・2%)が最も多く、「近隣トラブルがこわい」(13・0%)、「ほかの人が通告すると思った」(4・3%)と続く。
子育てに悩んだことがあると答えた人(百三十四人)に、子どもを虐待しそうになったことがあるかを尋ねると、40・3%が「ある」と回答した。
虐待を防ぐため、行政などの支援で有効なものは、「親が短期間休息できるよう、子どもを一時的に預かるサービスの実施」(41・8%)や「親同士が交流できる場所や機会の提供」(40・5%)を選んだ人が多かった(複数回答)。
こうしたサービスは区市町村の子ども家庭支援センターや「子育てひろば」で実施されており、都は活用を呼び掛ける。都のホームページにも「子育て支援情報一覧」として情報を掲載している。
厚生労働省によると、全国の児童相談所が二〇一四年度に対応した児童虐待の件数は八万八千九百三十一件。集計を始めた一九九〇年度から二十四年連続で増加している。都内は七千八百十四件で、都は本年度、児童相談所十一カ所の職員を四十一人増やし、態勢を強化する。

<私立保育園>「子供の声うるさい」開園断念 千葉・市川 - 毎日新聞(2016年4月11日)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160411-00000094-mai-soci
http://megalodon.jp/2016-0412-0918-39/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160411-00000094-mai-soci

千葉県市川市で4月に開園予定だった私立保育園が「子供の声でうるさくなる」などの近隣住民の反対を受け、開園を断念していたことが分かった。同市の待機児童は373人で全国市区町村で9番目に多い(昨年4月時点)。説明会に同席するなどして地域の理解を求めてきた市の担当者は「(住民の反対で)開園が延期したケースは東京都内などであるそうだが、断念は聞いたことがない。残念だ」と言う。
市によると、同県松戸市社会福祉法人が3月に木造2階建ての園舎を完成させた上で、4月1日に定員108人(0〜5歳児)で開園する計画だった。予定地は市中心部に近い住宅街で、昨年8月に開園を伝える看板を立てたところ、反対運動が始まったという。
住民側は市や社会福祉法人に対し、計画撤回の要望書を提出。社会福祉法人による説明会も複数回開催されたが、「子供の声が騒音になる」「保育園が面する道路は狭いので危険だ」などの意見が強く、建設に着手できなかった。市によると、これまでも市内で他の保育園開園への反対はあったが、最終的に合意を得られていたという。
社会福祉法人は3月下旬の理事会で断念を決定。理事長は「保育園は地域の皆さんから見守ってもらえなければ成り立たない。無理だと判断した」と話している。【小林多美子】

◇全住民の理解難しい
住民参加のまちづくりに詳しい千葉大大学院の木下勇教授(都市計画学)の話 子どもの声を騒音とするのは正しい社会のあり方ではないが、待機児童解消の目的だけで全ての住民の理解を得るのは難しい。行政は地域の未来やまちづくりに、保育園がどう必要なのかなどを住民と話し合い、今後を描いていく必要がある。

子どもの貧困対策、高校生が提言 神奈川県が新制度 - 朝日新聞(2016年4月11日)

http://www.asahi.com/articles/ASJ3R6721J3RULOB020.html?iref=comtop_list_edu_n03
http://megalodon.jp/2016-0412-0917-32/www.asahi.com/articles/ASJ3R6721J3RULOB020.html?iref=comtop_list_edu_n03

子どもの貧困対策に高校生らの声を生かす取り組みを、神奈川県が今年度から始める。高校生や大学生が加わる「かながわ子どもの貧困対策会議」(仮称)を立ち上げ、知事への提言づくりを進める。子どもが関わることを提案したのも高校生。県によると、全国的にも珍しい試みという。
対策会議はNPO関係者や有識者ら十数人で構成。会議の中に「子ども部会」を設け、高校生、大学生がメンバーとして参加する。
予定では、5月の初会合から議論をスタートし、知事への提言を練る。全体会議と部会を計5回程度開き、提言は県の施策に反映させることをめざす。県は、今年度予算に会議費用など80万円を計上した。
きっかけは、高校生の社会参加意識を高めようと、昨年8月に日本青年会議所の地元協議会が催した「かながわハイスクール議会2015」。実際の県議会のスタイルで、高校生たちが議論する試みだ。
10回目の昨年、初めて子どもの貧困がテーマの一つになった。これを話し合った「第8委員会」には高1〜高3の13人が参加。2日間の議論で、子ども自身が子どもの貧困対策に関われる場をつくる、というアイデアにたどり着いた。

浜岡原発3号機でトラブル相次ぐ - 中日新聞(2016年4月11日)

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2016041190211622.html
http://megalodon.jp/2016-0412-0946-55/www.chunichi.co.jp/s/article/2016041190211622.html

中部電力は11日、浜岡原発3号機(静岡県御前崎市)で空調設備が破損し、破片が緊急時の冷却用の水に混入しているのが見つかったと発表した。また同日、非常用ディーゼル発電機を試運転中に潤滑油が漏れるトラブルが起きた。
3号機は2010年11月に定期検査に入って以来、停止している。このため、中電本店広報部は「放射性物質の漏えいはなく、安全上の影響もない」と説明するが、非常時への備えに不安を示す形となった。
中電によると6日、原子炉格納容器内を巡視していた社員が、床に散乱したアルミ薄板やガラス繊維などの破片に気付いた。空調設備に取り付けられた9個の塩分除去フィルターのうち1個(縦横61センチ、奥行き29センチ)が破損していた。通気管がつながる圧力抑制室を調べると、室内の水からも破片が見つかった。中電は、これらの破片は破損後、空調ファンの風で飛ばされたとみている。
圧力抑制室は、格納容器を取り囲むドーナツ状の部屋で、ここにある約4千トンの水は、事故の際に圧力容器から放出された蒸気を冷やしたり、炉心を冷やしたりするのに使われる。破損の原因や混入量、設備への影響を調べる。
発電機は災害などで送電線からの電力が途絶えた際、炉心を冷やすポンプを動かす。3、4号機に2台ずつ備えてあり、うち3号機の1台を11日、定期試験で動かすと、油漏れが確認されたため、25分後に停止した。漏れたのは潤滑油約0・15リットルで、原因を調べている。
3号機は15年6月、再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査に申請している。

破片、炉心冷却水源に混入 浜岡原発3号機 - 東京新聞(2016年4月11日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016041101001816.html
http://megalodon.jp/2016-0412-0738-56/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016041101001816.html

中部電力は11日、浜岡原発3号機(静岡県御前崎市)で破損が見つかった空調装置のフィルターの破片が、非常用炉心冷却系ポンプの水源となる圧力抑制室に混入していたと発表した。3号機は停止中で外部への影響はない。一部の破片を回収し原因究明を進めるとともに、他の機器への影響がないか調べる。
また、外部からの電力供給が停止した場合に原子炉冷却に必要な電力を送る非常用ディーゼル発電機1台から潤滑油が漏れ、使用不能になったことも明らかにした。
中部電によると、圧力抑制室から回収したのは縦15〜20センチ、横3〜5センチのガラス繊維2個。残りの破片も今後回収するという。
(共同)