Hatena::ブログ(Diary)

ドイツから学ぼう

2017-03-12

(316)官僚奉仕を求めて第25回(最終回) 自然エネルギーが創る富の蓄積のない社会7回(沖縄民意を守ることから始まる希望ある未来)



先週豪雪であった妙高の雪も徐々に治まって来たことから、最早初夏のように暖かい沖縄を訪れ(2月27日〜3月3日)、辺野古新基地建設反対の座り込みに参加して来ました。
そこでは私自身70歳を目前にして、上の動画で見るように機動隊にごぼう抜きで担がれるという、私にとっては予期せぬ初体験をしました(注1)。

何故今辺野古なのかと言えば、名護市長選挙沖縄県知事選挙で問われた沖縄の民意が全く無視されて、力と金で強引に辺野古新基地建設が粛々と推し進められており、戦後民主主義国民主権地域主権が踏み潰され、戦前の官僚支配による国家主権が露骨にそびえ立って来たからです。
それは現在の化石燃料社会が富の蓄積を集中激化させてきた故に限界に達し、それにもかかわらず益々利益追求の欲望が肥大しているからであり、それを露骨に推し進めているのは明治以来の富国強兵を掲げる官僚支配政府に他なりません。
さらに企業、そして前回のフィルムで見るようにドイツ労働組合さえ官僚化され、組織自体の官僚支配によって自らの利益を最優先していると言えるでしょう。
しかし消費者に奉仕しない官僚支配の利益追求には限界があり、三洋シャープ、そして東芝に見るように自らの首を絞めることに他なりません。
すなわち最後は分社化によって生命線まで売却し、最終的に自ら命を絶っことになります。
日本の国について言えば、最早返済不可能にまで財政負債を肥大させているにもかかわらず、原発を含めた化石燃料産業支援に国民の血税をバラマキ、戦前の海外進出という戦争への道を再び歩もうとしています。

そうしたなかで何故今沖縄なのかと繰り返して言えば、沖縄民意が全く無視され続けて行くとすれば、沖縄は国際的に見れば少なくとも1879年の「琉球処分」(琉球併合)までは米国等との修好条約が示すように琉球王国という独立国であり、国連などを通して平和独立の選択肢もあり、それは日本本土を目覚めさせ、世界平和の創造と自然エネルギー社会の扉を開けることもできるからです。
すなわち沖縄が平和独立して中国米国の平和緩衝地帯になれば、お互いの軍備強化競争が緩和されるだけでなく友好の架け橋となり、世界平和を創造する拠点にすることも可能だからです。
また沖縄は日本で一番風の強い地域にもかかわらず、「基地に風力発電の自立はいらないと言わんばかり」に殆ど化石燃料に依存させており、それが沖縄の希望ある未来を摘み取っています。
2000年頃まで途方に暮れる程貧しかった北ドイツの農村がその強い風で電力自給(100%から700%)を実現し、豊かな農村へ変貌しているように、沖縄も各地域(地区)において陸上風力発電による電力自給を実現して行けば、平和で豊かな沖縄の希望ある未来が必ず開かれます。
また本土の私たちも民主主義の根幹である沖縄の民意を支援して行くことは、現在の戦争への道を再び歩もうとしている国家主権の官僚支配政府国民主権の官僚奉仕政府に変える糸口でもあり、希望ある未来の扉を開くことでもあります。
それを実現するためには官僚支配政府をガラス張りに開き、責任が問えるドイツのような官僚奉仕政府にして行かなくてはなりません。
しかし既に述べて来たように、司法法務省を通して人事から違憲立法審査に至るまで行政支配する仕組のままでは不可能です。
もっともそれを変えることは決して難しいことではなく、議員立法憲法に明記された司法の独立が100%担保されるように仕組みを変えて行けば可能です。
すなわち法務省司法裁判官)を統括するのではなく、行政に全く関与しない第三者機関が統括するように、変えて行けばよいでしょう。
また第三者機関を運営する委員は衆議院選挙での各党の得票数に応じて、ドイツのように各党の推薦する専門家から選出される仕組にすれば自ずと民意が反映され、ガラス張りに開かれる筈です。
すなわちそこでは行政訴訟申請もドイツのように無料で審査され、申請受理によって行政は全ての資料を裁判所への提出しなくてはならないことから、ドイツのように数ヶ月で行政の責任が問える筈です(官僚奉仕政府ドイツでは、毎年約50万件の行政訴訟がなされており、違憲審査も厳しい受理審査がなされているにもかかわらず5000件にも及んでいます)。
もっともそのような司法の第三者機関統括を決議できたとしても、「5年以内には実施できるように努力します」と先送りで実施しない官僚支配のなかでは、すべての市民が公開の国民議論を通して政党の枠組みを超えて参加し、あらゆる抵抗を崩して行かなくてはなりません。
それさえ実現できれば、現在の官僚支配も自ずと官僚奉仕に変化し、国民利益(幸せ)が最優先され、希望ある未来の扉が開かれます。

もちろん希望ある未来とは、富の蓄積さえ殆ど必要しない自然エネルギー社会に他なりません。
それは現在の産業社会が描くいかなる欲望も享受できる社会ではなく、自然エネルギーの特性でもある分散型である故に地域単位で産み出されことから、自主決定権のある地域での100%地産地消を目標とした理想的な生き方(例えば週20時間の労働で、精神的により自由で意義ある生き方)ができる社会です。
そのような社会はIPCCのような政府間機構のイニシアチブで、下に見るようなインダストリー4.0(第4次産業革命・動画1)利用して実現でき、世界の全ての地域が自然エネルギーを住民及び地域の消費する以上に製造して行くことは十分可能です。
しかも過剰エネルギー水素として備蓄されるだけでなく、地域自治体が過剰なエネルギーを利用して、地域に欠かせない必需品からその地域の工芸や特産の注文品までを自治体工房で(3Dプリンターやレーザーカッターを利用したファブラボ市民工房は既に途上国で活躍しており、簡易トイレなどの生活必需品から義足などの医療用品製造に至るまで欠かせないものとなっているように)、必要な量だけで少量生産することも可能でしょう。
また家庭においても既に述べたように(動画2)、各自の消費電力に応じて太陽光発電パネルを自宅屋根やベランダなどに設置し、過剰となる夏などの電力は水素として地下室に備蓄し、家庭電力から燃料自動車に至るまで自ら自給できる社会は、私たちが望みさえすれば数十年で手に入る時代に到達しています。
そのような希望ある富の蓄積を必要としない未来を実現するためには、ドイツのように官僚奉仕の社会に変えて行かなくてはなりません。
その実現は沖縄民意を守り、地域主権(自己決定権)を確立することで、第一歩が始まると思います。

(注1)
動画は3月2日正午近くの映像であり(終わりに載せた歌だけ28日)、私がごぼう抜きを初体験したのは2月28日の正午近くであり、その日は先ず自己紹介で思いを述べてから、これまで辛苦に耐えて座り込み抗議を続けて来た人たちの話、そして本土から参加した学生さんや若い人たちの沖縄と本土の橋渡しをしたいという思いを拍手しながら聞き、また沖縄の不条理を力に変えて歌うシンガーのミナツナガッテイルと訴える歌「いのちの環」を(動画後半)、今自分がここに座っていることに運命的ツナガリを感じて聞いていました。
そのような私にとって意義ある時間に、正午近く突然装甲車が来て(いつも座り込んでいる人たちには日常茶飯事なのですが)、多数の機動隊が降りて来てあっという間に担がれ、胸の激しい鼓動を覚えました。
しかも担がれる際は、映像で見るようにまるで舐め回されるように機動隊の撮影カメラに撮され、不快感と怒りは言い表し難いものでした。
それ故翌日嘉手納基地や普天間飛行場を見に出かけた際も残り、翌日予定を変更して2つの提言するために、再び座り込みに参加しました(但しごぼう抜きの際は、座り込みから自発的に抜けて撮影)。
提言の一つは、本土から誰でも支援できるように原則的には機動隊が降りてきた際は座り込みを解き(もちろんごぼう抜きされることも自由ですが)、撮影するなどで抗議の意思を示すことです。
もう一つは機動隊に撮された顔の映像はどのように使われるかわからないため、社會的に支障のある人たちや将来のある若い人たちはアノニマス(匿名集団)のような仮面(例えばピースをシンボルとした沖縄シーサーの仮面)を附ける配慮も、より抗議を拡げていくためにも必要じゃないかというものです。
もっともそれ以外は、座り込みは非暴力を貫いており、話だけでなく歌や踊りもあり、私のような組織嫌いな人間にも参加しやすく、意義あるものと感じるだけでなく、機会を見つけてこれからも参加したいと思っています。

動画1


動画2

2017-02-26

(315)官僚奉仕を求めて第24回 自然エネルギーが創る富の蓄積のない社会(6)それでもエネルギー転換は歴史を創る後編(私の見た動画『ZDFが問うエネルギー転換での石炭回帰2ー2』)



後編フィルムはドイツ経済研究所を牽引する著名なエネルギー経済学者クリスチャン・ヒルシュハウゼン教授が、「ドイツの素晴らしいEEG法によるエネルギー転換がそのまま推進されれば、現在構想されている巨大な送電線建設は不要である」と明言するところから始まっています。
その理由はエネルギー転換の理念は、地域で必要な電力を地域で自ら製造することにあるからです。
巨大送電線建設は北の洋上風力発電で得られた電力を南へ輸送するためにも必要と唱えられて来ましたが、本当の狙いは北に未だに無尽蔵に眠る褐炭利用で現在電力製造コストの最も安い褐炭発電所を維持拡張し、最も安い電力を南へ輸送するだけでなく、フランスなどへの電力輸出増大にあります。
しかもドイツの巨大電力企業はドイツ最大のエーオン社が2014年分社化に追い込まれたように、2011年の脱原発宣言以来窮地にあり、それを救うために2015年石炭合意がなされたことが見えて来ます。
すなわち本来は廃止されるべき古い褐炭発電所が5年間の一時休止となり、そのために莫大な補償がなされ、しかも地球温暖化を防ぐため以前から求められていた石炭発電所の懲罰的課税が消えてしまいました。
そのような動きは既に2014年に改正されたEEG法でも顕著に見られ、太陽光発電の1キロワット時固定買取価格を11セントまで引き下げるだけでなく(当初は28セント)、2017年から再生可能エネルギー発電所の建設を順次入札制度に変えて行くことが決められています。
入札制度への転換はフィルムで描かれているように、これまで地域でエネルギー転換の推進役であったエネルギー協同組合を結果として経済的に成り立たなくするものです。
このようなEEG改正法を押し切ったガブリエル経済相は、最大の理由としてEEG法の固定買取価格が家庭の電気料金を著しく上昇させたことを挙げていましたが、本当の理由は専門家やメディアが指摘するように、市民が製造する再生可能エネルギー電力が市場で1キロワット時4セントを割るまでに投げ売りされ、最大28セントする固定買取価格との差額が電力を消費する市民にだけ分担金として強いられるからです(殆どの大企業は競争力が損なわれことを理由として分担金が免除されています)。
またそのように社会民主党SPDの経済相ガブリエルがエネルギー転換にブレーキをかけるのは、化石燃料産業のロビーが組合組織を通して圧力を強いるからに他なりません。
しかもガブリエル経済相はZDFレポーターの追求に対して、こともあろうに再生可能エネルギー産業のロビー活動を上げ、自らの決断を正当化しています。
しかしドイツの世論はこのフィルムが2016年5月に放映後石炭回帰の批判が高まり、11月14日から始まるパリ協定締結を求めるマラケシュ国連気候変動会議の数日前には、ドイツ政府も2030年までに現在の二酸化炭素排出量を5分1に削減する「気候変動保護計画2050」を決定せざるを得なかったと言えるでしょう(注1シュピーゲル誌参照)。
何故ならドイツのようにシステムとしても官僚奉仕が求められる社会では、気候変動の日々の実害増大が絶えずメディアを通して報道され、世論が石炭回帰を許されないからです。
またルールなきグローバル化による格差拡大と地域困窮のなかでは、地域自らのエネルギー転換が欠かせないからです。
しかもドイツの地域がエネルギー転換で時代の新たな扉を開いたことは、最早戻すことができない事実だからです。

それを示唆するかのように、2017年にドイツ市民だけでなく地方の社会民主党からも批判が絶えない党首でもあるガブリエル経済相が突然今年の連邦選挙首相候補から失脚し、これまでEU議長などを務めたマルティン・シュルツが社会民主党首相候補となったことがガブリエル党首自身によって1月24日に公表されました。
それをドイツ国民が望んでいたかのように、2月17日の世論調査では次期首相候補支持率でシュルツがメルケルを大きく抜き去りました。

f:id:msehi:20170224070751p:image

f:id:msehi:20170224070750p:image



シュルツ首相到来が意味するもの

今回の社会民主党内の政変劇には、明らかにシュレーダー政権での新自由主義アジェンダ2010)を反省批判した2007年党大会で決議したハンブルク綱領への巻返しが感じらます(ハンブルグ綱領についてはブログ110参照)。
すなわちガブリエルにしても、今年ドイツ連邦大統領に就任するシュタインマイヤーにしても、シュレーダー政権を支えた人たちであり、上のフィルムで見るようにガブリエルの表現には化石燃料産業社会のロビイストの要請が感じられます。
シュルツは明確にシュレーダー政権でのアジェンダ2010政策を既に反省批判し、ハルツ法改正で失業給付金の大幅延長も唱えています。
それが現在シュルツ効果と呼ばれる社会民主党支持率30%(これまで20%前半に低迷)に急進した理由です。
このシュルツ到来は、最も支持率を失ったリンケさえ支持しています
何故ならシュルツの到来は、ドイツ市民に真摯に奉仕する赤(SPD)、赤(リンケ)、緑(緑の党)の連立政権誕生を可能にし、エネルギー転換の理念を実現し、新しい時代を創るものと成り得るからです。
もちろん現在のメルケル首相の2011年以来ドイツ脱原発に導き、社会的市場経済を復活させた貢献は大きいものがありますが、支持母体キリスト教民主同盟のなかではどのように頑張っても限界が見えて来たのも事実であり、惜しまれるメルケル退場も新しい時代の扉を開くものだと思います。

次回の「世界の官僚奉仕を求めて」最終回では、どのようにして新しい歴史、富の蓄積を必要としない社会の扉を開くか、総括して述べたいと思っています。

(注1)
シュピーゲル誌2016年11月11日
http://www.spiegel.de/wissenschaft/natur/klimaschutzplan-2050-regierung-einigt-sich-nach-streit-a-1120863.html

Regierungskonzept Kohlekompromiss ebnet Einigung auf Klimaplan
政府計画 石炭合意は気候計画の合意で打開される
Einigung nach langem Streit: Die Bundesregierung hat einen Klimaplan für Deutschland beschlossen. Ein Kompromiss bei der Kohleenergie brachte den Durchbruch.
長い戦いの後の合意。連邦政府ドイツの気候計画を決めました。石炭エネルギーでの石炭合意は打開をもたらしました。
Die Spitzen der Bundesregierung haben sich nach monatelangem Streit auf den "Klimaschutzplan 2050" verständigt. Damit kann Umweltministerin Barbara Hendricks (SPD) am Montag mit gutem Ergebnis auf die Uno-Klimakonferenz nach Marrakesch fahren.
政府首脳は気候変動保護2050年計画を数ヶ月の論争の後で知らせました。環境大臣バルバラ・ヘンドリックはその良い計画を持ってマラケッシュの国連気候変動会議に月曜出かけます。
Dort kann sie Deutschlands Beitrag zum Klimaschutz plangemäß vorstellen. Deutschland sende "ein starkes Signal" auf die Klimakonferenz, sagte ein Regierungssprecher.
そこでバルバラ大臣は会議で気候変動保護の主旨に沿ったドイツの貢献説明で、強いシグナルを送ることができると政府スポークスマンは報道していました。
Der Klimaschutzplan 2050 soll Industrie und Gesellschaft den Weg zum nahezu 殆どkompletten Verzicht auf den Ausstoß von Treibhausgasen weisen, der im Weltklimavertrag vorgesehen ist.
気候変動計画2050は産業や社会に、世界気候条約で予定する温室ガス排出量をほぼ完全に無くす道を指示しています。
Bundeswirtschaftsminister Sigmar Gabriel (SPD) hat in den finalen Verhandlungen einen Rabatt für die Industrie durchgedrückt. Bis 2030 darf die die Industrie nun 140 bis 143 Millionen Tonnen Kohlendioxid (CO2) ausstoßen. Das sind etwa 10 Millionen Tonnen mehr als zuletzt von Umweltministerin Hendricks vorgesehen. Die Industrie soll ihre Emissionen damit bis 2030 um ein Fünftel reduzieren.
連邦経済相シグマー・ガブリエル(SPD)は最終協議で産業のための割引を押通し、2030年までに産業は1億4000万トンから1億4300万トンの二酸化炭素排出とするものです。これはヘドリック環境相の約束した量より約1000万トン多いですが、産業は2030年までに排出量を現在の5分の1に削減することになります(ドイツの2014年二酸化炭素排出量は7億9300万トン、尚1990年の排出量は10億5100万トンであることから7分の1に削減することになります)。

2017-02-13

(314)官僚奉仕を求めて第23回 自然エネルギーが創る富の蓄積のない社会(5)それでもエネルギー転換は歴史を創る中編(私の見た動画『ZDFが問うエネルギー転換での石炭回帰2−1』)



2015年の石炭合意での石炭回帰

2014年11月にはメルケル首相石炭発電所の強制廃止の発言や、ガブリエール経済相も石炭組合や企業側との「石炭合意」法案の作成で近い将来石炭発電所の閉鎖を目指し、2020年までに二酸化炭素2200万トンの削減を公言していました。
それは私を含めて多くの人が、化石燃料終焉への実質的開始と期待するものでした。
しかし2016年5月放映された上の公共放送ZDFフィルムで見るように、2015年7月に締結された「石炭合意」はフィルムに登場する専門家たちが指摘するようにペテンと呼ばれるほどに変質していました。
その理由は、巨大電力企業が労働組合石炭化学、電気・ドイツ労働組合)を全面に立て、労働組合を母体とする社会民主党(SPD)の党首でもあるガブリエール経済相を一つ一つ切り崩して行ったからにほかなりません。
それは化石燃料産業社会(旧世界)の産みだしたロビー主義が、自然エネルギー産業社会(新世界)の到来を死守しているとも言えるでしょう。
旧世界の目論見はドイツ国内に無尽蔵に埋蔵される褐炭による火力発電を少なくとも2040年まで継続し、北から南への巨大電力網を建設し、有り余る電力をフランスなどへ輸出することです。
実際ドイツの電力輸出は電力不足が危惧された2011年でさえも6,3テラワット時もあり、その後鰻登りに増加し、2016年の外国への電力輸出量は55、5テラワット時に達しています(ドイツ国内全電力消費量592,7テラワット時)。
すなわちそこには、エネルギー転換の始まりでエネルギーシェア第一位になった自然エネルギーの急増を電力市場で格安に買い叩き、褐炭発電などで有り余る電力を輸出する巨大電力企業の生き残りへのしたたかさが垣間見られます。
しかし公的ドイツ経済研究所を牽引する著名なエネルギー経済学者クリスチャン・ヒルシュハウゼン教授(注1)が述べるように、エネルギー転換には巨大な送電線は不要であり、エネルギー転換の理念は太陽、風、水、そしてバイオマスなどの自然エネルギーの組み合わせによって地域でエネルギーを完全自給することであり、それは現在の技術やコストからしても十分可能です。
それにもかかわらず、世界はこれまでにない人類の危機に突入しているように思えます。
何故ならトランプ大統領誕生で、これまで世界平和、貧困の廃絶、地球温暖化防止、核のない世界を掲げて来た世界が180度転換して、自国利益を最優先する世界に変わろうとしているからです。
しかも誕生したトランプ政権の公約の大きな柱は「石炭回帰」であり、アメリカにも無尽蔵に石炭が埋蔵されており、それを再び火力発電、さらには石炭からの水素製造よって大量雇用創出だけでなく、寂れ果てた炭鉱地帯をかつての黄金地帯に蘇らせることを本気で推進しようとしています。
そこには、トランプ政権を誕生させた化石燃料産業社会の目論見が見えて来ます。
すなわち本当は化石燃料産業社会が生残りをかけてあらゆる手段を駆使して、独裁者のように振舞う自国利益最優先のトランプ政権を誕生させたという見方も浮かび上がって来ます。
そして世界が「石炭回帰」を許して行けば、地球温暖化の急進によって地球上の全ての氷河溶け出し、十メートル近い海面上昇を招くだけでなく、ジョージオーエルが小説『1984年』で描いた監視社会、全体主義帝国の実現で、究極的には人類の滅亡も見えて来ます。
(注1)
ヒルシュハウゼン教授のCCS技術(二酸化炭素地下貯蔵)をフィクションと断定した検証報告書は世界的にも有名であり、このブロク(239)で詳しく述べています。



ドイツ子供ニュースが検証する極右(?)政党AfD

ドイツの公共放送ZDFの子供ニュースlogo!(1月25日放映)を載せたのは、日本ではネットのフェイクニュースが溢れるだけでなく、国会では防衛相スーダンの駆付け警護で「法的な戦闘ではない」や、法相の提出「テロ等準備罪(戦前の治安維持法案にもなり得る共謀罪)」法案で質問封じにも近い「国会では答弁できない」の如きペテンがまかり通ろうとしているからです。
ドイツでは公共放送だけでなくあらゆるメディアが真実を追求し、例へばシリア難民の増大に比例して急速に躍進していた右派政党AfD「ドイツのための選択肢」の綱領や振舞いを徹底検証しており、子供ニュースでもAfDが何を考えているか以下のように検証しています(それゆえ1年前の世論調査では20%に迫り来る勢いでしたが、現在は10%前後の支持へと衰退しています)。

Ideen zum Euro ユーロに対する考え
AfDの最も重要な政党目標は、ユーロ通貨ドイツでの使用廃止を求めることが始まりだった。彼らは、例えばかつてのドイツマルクのように独自の通貨を持ったドイツが相応しいと考えている。ドイツマルクであるもの、ユーロが導入された理由に彼らの右派性が垣間見られる。他の政党ユーロを廃止することを支持せず、ドイツにとってユーロは良いと確信している。例えばユーロ使用は、他国との取引を決めることを非常に容易にしている。
Das wichtigste Ziel der Partei war am Anfang: Sie wollte den Euro in Deutschland abschaffen. Sie glaubte, dass es Deutschland mit einer eigenen Währung, zum Beispiel der alten D-Mark, besser gehen würde. Was die D-Mark ist und warum der Euro eingeführt wurde, könnt ihr rechts nachlesen. Die anderen Parteien halten nichts davon, den Euro abzuschaffen. Sie sind sicher, dass der Euro für Deutschland gut sei. Der Euro mache es zum Beispiel viel leichter, mit anderen Ländern Geschäfte abzuschließen.

Ideen zu den Flüchtlingen 避難民への考え
AfDはEUの国境を完全に閉鎖することを望み、ドイツへの亡命申請する避難民をより少なくできるように強力な法案の作成を求めている。まさに亡命への考えが意味するものに、彼らの右派性を知ることができる。
Die AfD will zum Beispiel die Grenzen der Europäischen Union komplett schließen. Und die Partei möchte strengere Regeln aufstellen, sodass weniger Flüchtlinge in Deutschland Asyl beantragen können. Was Asyl genau bedeutet, erfahrt ihr rechts.

Ideen zum Islam イスラムへの考え
ドイツには宗教の自由があり、誰もが自由に宗教にしたがって暮らすことが許されているにもかかわらず、AfDはイスラム教はドイツに帰属していないと主張する。それゆえ例えばミナレット禁じることを求めている。ミナレットとはイスラム教徒によって祈りが唱えられる寺院の塔である。
Obwohl es in Deutschland Religionsfreiheit gibt, also jeder frei nach seiner Religion leben darf, sagt die Afd, die Religion "Islam gehört nicht zu Deutschland". Deshalb will sie zum Beispiel Minarette verbieten. Das sind Türme an Moscheen von denen zum Gebet gerufen wird.

Ideen zu Atomkraft und Klimaschutz 原発や気候変動保護への考え
ドイツは、とりわけ原発が危険であるという理由から2022までに全ての原発を廃止することを決めている。AfDはそれを取り消すことを求めており、継続して原発で電力を製造することを望んでいる。さらにAfDは気候変動は存在しないと考えている。
Die Bundesregierung hat beschlossen bis 2022 alle Atomkraftwerke in Deutschland abzuschalten, vor allem weil Atomkraft gefährlich sein kann. Die AfD will das rückgängig machen und weiter so Strom herstellen. Und die Partei meint, dass es den Klimawandel nicht gibt.

Ideen zur Familie 家族への考え
AfDは父、母、子供の伝統的家族を支持している。女性同士、男性同士の同性婚を敵視している。そして男性と女性が絶えず同等に扱われことについても寄与しないことを、加えて彼らの綱領で望んでいる。
Die AfD ist für die traditionelle Familie, also Vater, Mutter und Kinder. Eine gleichgeschlechtliche Ehe, also zwischen zwei Frauen oder zwei Männern, findet die AfD nicht gut. Die Partei will mit ihrer Politik außerdem nicht dazu beitragen, dass Männer und Frauen immer gleich behandelt werden.

2017-01-30

(313)世界の官僚奉仕を求めて第22回自然エネルギーが創る富の蓄積のない社会(4)エネルギー転換は歴史を創る・ドイツが極右台頭を克服できる理由 前編(私の見た動画15『エネルギー転換の切り札は水素貯蔵』)



水素貯蔵技術が未来を切り開く

上の動画が提示するように、ドイツでは風力発電太陽光発電で製造された過剰な電力を水素に変え、貯蔵する取組がなされています。
既に2014年から地域の公共ガス企業は太陽光発電風力発電で製造した過剰な電力を水の電気分解に利用し、生ずる水素をガス網の天念ガスに混ぜて、地球温暖化に優しいエコロジーガスとして供給を始めています。
自動車に対しても天然ガス車に水素が混ぜて売られ、また燃料電池車には直接水素が1キログラム9、5ユーロの統一価格で水素ステーションで販売されています(水素キログラムで普通車は凡そ100キロ)。
以前ブログに載せたベルリン近郊の農村プレンツラウのハイブリド発電所では、2011年から下の動画で見るように水素製造による地域の電力完全自給を実現しています。



もっとも水素を電力に再生する場合は熱併用の小型ガスタービンでビオガスと混ぜて燃焼して再発電することから(ブロック・コージェネレーション)、飽く迄も過渡期の水素ガス利用であり、究極的には燃料電池で直接水素を空気との化学反応で再発電できる社会を目指しています。
実際家庭用の数キロワットから産業用の100メガワットまでの大型燃料電池(固体酸化物形燃料電池SOFC)は既に開発されており、ドイツエネルギー転換の地平線には水素貯蔵での豊かな未来社会が見えて来ています。
すなわちドイツの描く水素社会は、日本のように石炭産出国で水素を製造するといった理念なき構想ではなく、地域での完全電力自給自足だけでなく、過剰な電力を水素貯蔵し、あらゆるものの地産地消を目指す分散型社会です。
もっとも実用的燃料電池にはまだコスト面で問題がありますが、普及の始まりにもかかわらず急速にコストが下がっており(ドイツの専門誌よれば1キロワット時の燃料電池は2008年に900ユーロしていたものが、2020年には300ユーロまで下がると伝えています)、ドイツの村々(ゲマインデ)が自然エネルギーだけで電力の完全自給自足を実現し、誰もが水素自動車(燃料電池車)を乗り回すのも時間の問題と言えるでしょう(100メガワットの大型燃料電池1基は1000人の村民の凡そ100日間の電力使用量に相当します)。
そうした着実にエネルギー転換を推し進めるドイツの未来からは、人類が無尽蔵の自然エネルギー水素に蓄積し、富の蓄積を不要にさえする世界が見えて来ています。

ドイツ極右台頭を克服できる理由

しかしそのような希望ある未来とは逆に、世界は1月17日の英国メイ首相のEUからの完全離脱宣言、そして25日のトランプ大統領メキシコ国境での「壁建設」の大統領令発動と、これまでの過度なグローバルを推し進めた世界とは全く異なる過度な保護主義の世界が幕開けし、恐ろしい未来への船出を危惧しないではいられません。
特にトランプのアメリカ中心主義の公約を躊躇することなく着々と着手する強引さには、極右の台頭を感じ得ません。
それを許しているのは、それを望む人々がより多くなって来たからに他ならず、その理由は過度なグローバル化であり、競争原理最優先のルールなきグローバル化に民主主義政治が歯止めをかけられず、ボトム競争で多くの人々が下へ下へと落下して行くからです。

私がベルリンで学んだ2007年から2010年のドイツでも、ボトム競争の激化で老舗の何万もの企業が倒産し、「ドイツのお金はドイツでつかわなくてはならない」というプラカードを掲げる極右が通りのあちこちで見られ、世界一豊かなドイツ市民の暮らしは一変していました。
通りではマイスターが作るドイツが誇るパン屋などの店も至るところでシャッターを閉め、床屋(フリザー)も10ユーロから徐々に下がって行き5ユーロを切る店さえ出現し、店の従業員の時間給も5ユーロまでも下がっていると伝えていました。
また少なくとも2000年までは環境農業政策で手厚い耕作地の環境補償で豊かに暮らしていた農家も、EU拡大でポーランドなどから安い乳牛や農産物が関税なしで出回るため、小規模農家の倒産は激増し、特に乳牛農家の倒産は毎年1万軒を超えていました。
それは規制なき過度なグローバル化が必然的にもたらしたものであり、現在の極右が世界に台頭する状況もまさに規制なきグローバル化によって生み出されていると言えるでしょう。
そのような困難な状況をドイツが克服したのは、シュレーダー政権による規制なきグローバル化に沿った競争原理最優先の「アジェンダ2010」政策が徐々に機能し始めたからだと日本では言われていますが、むしろ逆でドイツの戦後から80年代まで徹底された弱者や地域に配慮した規則ある市場経済、すなわち社会的市場市場経済への回帰にあります。
そうした困難を克服した回帰の原動力は、地域で2000年以降驚くべき勢いで拡がって行った自然エネルギーへのエネルギー転換に他なりません。
2009年9月の連邦選挙で競争原理最優先の「アジェンダ2010」を表向き批判し、中間層や低所得層の大型減税(経済成長加速法)を掲げ大勝利したメルケル政権も実際は産業支配がより強く、原発推進への逆行とも言うべき28年間の原発運転期間延長を勝利宣言と同時に訴えました。
しかし国民の大部分が反対するだけでなく、地域に拡がった市民エネルギー組合、風力発電太陽光発電などの企業の反対も激しく(既に多くの企業が原発運転期間終了を見越して計画を始動させていたことから)、その後の州選挙メルケル政権は全敗し、福島原発事故がなくても脱原発選択せざる得なかったからです。
そして2011年の脱原発宣言後は地域でのエネルギー転換が益々加速し、ドイツを支配していた4大電力企業が倒産の危機に瀕するほど追い込まれ、2014年7月の再生可能エネルギー法改正で固定買取価格から入札価格への変更でブレーキがかけられたと言えるでしょう。
しかし最早市民の創る自然エネルギーは電力会社の供給する電力価格より明らかに安く、固定買取制度を不要としており、エネルギー転換の地平線の向こうには、人類の新たな歴史を創る自然エネルギーによる水素社会が見えて来ています。

2017-01-16

(312)世界の官僚奉仕を求めて第21回自然エネルギーが創る富の蓄積のない社会(3)それでもエネルギー転換は進む(私の見た動画14『メルケルの新年決意挨拶』)



上の動画で大晦日の夜にメルケル首相ドイツ市民に呼びかけたように、2016年はドイツにとっても厳しい試練の年でした。
世界のテロ、難民地球温暖化、核拡散などの問題に対して益々出口が見えなくなるなかで、EUを代表するフランスオランダオーストリアなどでも極右政党がの民主政権を脅かすまでに益々拡大して行きました。
しかも昨年末のアメリカ中心主義を掲げるトランプ政権誕生は、世界の各地に拡がるナチズム復活の動きに暗い予感をオーバーラップして行きます。
そのような暗い予感に世界が覆われるなかで、昨年2016年にくっきりと見えてきた光がありました。

それこそが化石燃料エネルギー社会(ナチズムを復活させる旧世界)から自然エネルギー(人類を至福に導く新世界)への転換であり、ドイツエネルギー転換がどのように疑問符を付けられようと、現実にエネルギー転換の世界波及は加速し、最早止められません。

例えば昨年6月国際再生エネルギー機関IRENAの公表した報告書は、表1(Table ES 1)に2015年と2025年(予測)の太陽光風力発電のグローバル平均コストLCOE)を載せてており、太陽光では1キロワット時のコストは13セントから6セントへ大幅に下がり、風力発電も7セントから5セントへ下がることを明示していました(LCOEコストとは、建設から運営廃止に至る全コストを生涯発電量で割った国際的に使用されているコストであり、日本では均等化発電コストと呼ばれています。当然のことながら税金や送電、配電にかかる費用は含まれていません)。
このような驚くべき急速な電力製造コスト低下が世界に拡がるなかで、世界をリードするグーグルアップルからコカコーラやGMに至る世界のトップ企業は(欧米、中国インドの80社以上)、自らの企業で使用する電力を自社製造の自然エネルギー100%にする「RE100グローバル・イニシアチブ」参加しています。(日本は原発石炭火力推進を目指す官僚支配が強いためか1社も参加していません)。
特にグーグルに至っては、昨年末に今年自然エネルギー100%実現を世界に大きく報道し、最早化石燃料エネルギー産業社会の利権構造による妨害がどのように強くとも、自然エネルギーへのエネルギー転換が必至であることを確信させました。

今年は更に時代の転換が鮮明になる年であり、私自身も70歳に達することからより熟慮し、前向きにゆとりを持って日々取り組むためにブログを隔週にします。