Hatena::ブログ(Diary)

ドイツから学ぼう

2016-09-26

(299)世界の官僚奉仕を求めて第9回官僚奉仕の切札は太陽(4)苦界浄土が希求する善なるもの(『私の見た公共放送の苦界浄土』)



この動画を編集した理由は、これまで公共放送NHKが伝えてきた水俣病の作品群を振り返って見た際、石牟礼道子さんが振顫しながらも、「現在のごまかし、ごまかし、正当化する国のあり方を、善なるもの(徳義)がなされるあり方に変えて行かなくてはならない」との思いを必死に訴えられている生きざまにあります。
それは私が希求する「悪の凡庸なる官僚支配から善の凡庸となる官僚奉仕」と一致するものであったからでもありますが、徳義がなされる社会実現のために60年間の闘いを経て、今尚振顫するなかで形振かまわず闘う姿勢に、魂を揺さぶられたからに他なりません。
またそれは、私の母も60歳を前にして振顫が始まり、名古屋八事日赤で診てもらったところパーキンソン病だと言われ検査入院し、同じ症状を抱えてその後四半世紀を前向きに生きたからでもあります。
3週間ほどの長い検査入院では、多くの検査の結果パーキンソン病とは異なる病の診断がなされ、原因不明とされました。
妙高に移り住んでからは小布施の新生病院で漢方薬治療を受けていましたが、母が症状を話そうとするとそれを妨げるかのように振顫し、私が「眠っているときは全く振顫がない」と話すと、経験豊富な初老の診察医は驚いていました。

何故今私の母のことを持ち出したかと言えば、母の父が炭鉱の技術者であったことから筑豊炭鉱の直方に幼少から住み、当時手厚い待遇であったことから官舎には絶えず水俣でとれる新鮮な魚が届けられ、食べていたと聞いていたからです。
水俣有機水銀について調べて見ると(注1)、1932年には航空機燃料製造のためその原料となるアセトアルデヒトが石炭コークス)からアセチレンカーバイトを経て水銀触媒で製造を開始しており、副生物のメチル水銀が海に垂れ流されていました(すなわち水俣と直方は繋がっていたのです)。
その結果1942年には確認できる最初の水俣病患者が発病しており(熊本第2次水俣病研究班の調査で検証)、さらに1943年には水俣湾が工場排水でヘドロ汚染化したことで、チッソは被害漁場の漁業権を買い取っています。

それらの事実は私の母や石牟礼さんが有機水銀で汚染された水俣の魚を食べたことを物語っており、私の母、そして石牟礼さんの振顫も遅延性の水俣病であることを示唆しているように思われます(恐らく摂取量が少ないため遅延性となるのでしょう)。
何故なら戦前水俣の魚を多く食べた母、母の兄、そして祖母は60前後から振顫が始まり、晩年は痛々しく感じられました(祖父は戦後直ぐに癌で他界したことから発症はなかったようです)。
とくに母は既にブログに書いたように末期ガンとなり、自宅で亡くなることを求めたことから私が食事の世話もしていたのですが、振顫が酷いためスプンに盛った食べ物が口に入らず下に落ちることも屡々有り、その度に謝る母を思い出します。
それを今思い出すと、どうして母が謝らなくてはならないのか、本当は謝るべきは被害の拡がりを恐れて自ら調査しない国であり、怒りがこみ上げて来ます。
そのような表に出ない多くの人の怒りを汲み取るかのように、石牟礼さんの60年間を越える闘いを経て、今も尚振顫という十字架を背負って悪の凡庸なる国の所業を太陽に晒し、善なる未来を紡ぎだそうとする生きざまは、私にとっても大きな支えであり、立ちはだかるものがどのように巨大であろうとも、必ずや善なるものがあたり前となる、善の凡庸なる官僚奉仕社会の到来を信じないではいられません。

(注1)水俣病略年表
http://www.soshisha.org/jp/about_md/chronological_table

水俣病報道の責任 −全国紙の役割から− 朝日新聞 野上隆生(20141211)PDF
http://www3.kumagaku.ac.jp/minamata/wp-content/uploads/2014/09/7221bd643bcee087c8a3a89168a47cfc.pdf
このPDFには2次研究班の大きな成果として以下の5項目が挙げられています。
(1)水俣地区でその後も水銀による汚染が続いていた (2)御所浦島や県外移住の患者の存在を確認して、汚染の広がりを指摘 (3)第3水俣病騒ぎを機に、魚介類における水銀の暫定規制値が設けられた (4)1941 年 11 月に湯堂で生まれた最も早期の胎児性患者とみられ女児を発見。1942 年 2 月に生まれた月浦の女性を水俣病と確認。後に認定される患者のうち最も早い例だ った。こうした初期の患者発生を確認 (5)中度、軽度の患者に見られる感覚障害を確認

2016-09-19

(298)世界の官僚奉仕を求めて第8回官僚奉仕の切札は太陽(3)悪の凡庸から善の凡庸へ(映画『日独裁判官物語』が投げかけるもの)



既に述べたようにドイツの革命的民主主義は、フランス革命やロシア革命のように短期に起きたものではなく、十数年に渡って熟成され(ナチズムを生み出した反省から誕生した基本法司法行政から完全に独立させ、弱者を支援する社会的市場経済を実施しましたが、日本と同様に高度成長が戦前の格差社会を徐々に復活するなかで日本とは逆に徹底した民主主義が求められ)、60年代初めから教育などで民主化が活発化して行き、行政から完全に独立した司法が機能することで官僚奉仕を実現したと言えるでしょう。
すなわち60年に始まる司法改革行政裁判法(1960年1月21日発行)では(注1)、行政当局の全ての記録書類の提出を義務付け官僚一人一人の裁量権行使の責任を問うことで官僚を市民の奉仕者へと変え、さらに60年代後半における高座の裁判官を傍聴人と同等の席の高さまで引きずり下ろし、傍聴人と隔てる柵が取り払うことで、上のフィルムで語られているように裁判所さえも市民のサービス機関に変えて行きました。
まさにそれは裁判官も一般市民としてみており、「裁判所は市民のサービス機関でなくてはならない」の実践であり、官僚奉仕が徹底される社会ゆえに実現できることです。
ファーストシーンの最高裁判所建物の比較では、日本の最高裁判所はまるで太陽に翳されることを避けるかのように殿堂の石づくり構造で神格化が求められていると言えるでしょう。
これに対してドイツ最高裁判所連邦憲法裁判所)は、最大限太陽を翳すことを目標とするかのようにガラス張りの軽量鉄筋構造で、市民のための市民の裁判所を象徴しています。
しかもドイツ最高裁判所判事は日本のように血税の黒塗りの車で送迎されるのではなく、このフィルムのように自らオートバイなどで通勤することが当たり前です。
もちろん裁判所の撮影もドイツでは当事者(原告と被告)の許可さえあれば、裁判自体さえ自由であり、裁判所の撮影は透明性と市民サービス機関であることを啓発するために推奨されています。
それが出来るのは、戦前のドイツの官僚支配が戦後完全に官僚奉仕へ転換されたからに他なりません。
これに対して日本の裁判所は撮影は許可なくして問答無用に全面禁止されており、最高裁に協力しない裁判官は、すなわち官僚支配の司法に従わないものは、冒頭から登場する元裁判官の梶田英雄弁護士が述べるように、任地、給料、最高裁から家裁裁判長の配属で、明らかに人事的不利益を被ることになります。
それは、戦後市民から民主的と称される判決を下した裁判官が受けた不利益な人事を見れば明らかです。
すなわちごく最近では、福島原発事故を真摯に受け止めて、大飯原発高浜原発地裁で、「しかるに新規制基準に適合しても、原発の安全性は確保されていない」と再稼動を認めない判決を下した樋口英明裁判官が、国民の6割以上が再稼動に反対し樋口判決を評価しているにも関わらず、定年3年前に名古屋家裁に見せしめを誇示するかのように左遷移動させられたことからも明白です。
このフィルムでも映画終了後にそれを訴えており、日本の司法ドイツに比べて、余りにも行政に依存し、閉鎖的であることから、法曹関係者6000人が日本の民主的司法改革を求めて、一人1万円を寄付して制作されたことを記しています。
また今年2016年3月この映画がネットで無料で公開された背景には、日本の司法の見せしめ強化だけではなく、立憲主義を無視して平和憲法を葬ろうとする官僚支配への危機感が感じられます。
そのような視点でこの映画を見れば、ドイツは戦後基本法で定められた自由と公正、そして人間の尊厳が尊重され、国民の基本的人権が厳守される社会実現に努めてきたにも関わらず、それに違反する行政への500回以上もの違憲判決が何を意味するのか理解できるでしょう。
しかもドイツ連邦憲法裁判所の女史長官は、そのことを誇りにして話されています。
日本の最高裁では殆ど違憲判決がないだけでなく、根幹に関わる問題に対しては絶えず政治の問題だとして判決を拒否して来ました。
また日本の裁判官は見せしに脅かされているだけでなく、絶えず移動させられ、月80時間を超える激務をこなさなくてはならず、ドイツ裁判官の市民的自由などまったく問題外です(ドイツに比べて裁判官の数が10分の1ほどと余りにも少ないからです。但しドイツ裁判官のように共稼必要としないほど市民とはかけ離れた待遇を与えています)。

私のようにゴルフ場開発反対運動に関与した「関川公金不正支出」の行政訴訟に参加し、(裁判官の激務から月に1度か2ヶ月に一度しか開かれないことから)地裁の判決さえ6年間も要し、高裁への上告も殆ど検討されることなく棄却されることを経験した者には、如何に日本の司法政府行政を守るためにあり、市民の訴えを合法的に退ける役割を果たしているかを思い知らされました。
既に述べたように、ドイツでは行政記録が手紙から面会詳細に至るまで残すことが義務付けられ、行政訴訟の際行政が全て提出を求められることから、行政訴訟では弁護士の必要さえなく、遅くとも数ヵ月で判決されるのが常識であり、書類作成という手間もなく口答でも受付可能なことから、現在でも市民の行政訴訟は毎年数十万件にも上り、勝訴率も10%を超えています。
それに対して日本では2000件足らずで、多大な労力と費用をようするにもかかわらず殆ど勝てないのが実情です。
そうした中で裁判官の市民的自由など日本では問題外で、考えられないことです。
ドイツでもナチス政権化では同じであり、裁判官中立性と神格化が求められ、(官僚支配丸なげの)ナチス政府への全面的追従が強制されていました。
すなわちドイツでは中立性が権力に服従させる手段となった苦い経験から、行政に精通している裁判官、さらには全ての公務員(官僚も含めて)の職務を離れた際の政治活動などの市民的自由を自由を認め、休暇申請で連邦議員や州議員立候補を保証し、夕方もしくは休日に開かれる市町村議会の議員では公務員職と兼任することを認めるだけでなく、積極的に奨励されていると言えます。
市町村議会の議員報酬は殆ど日当程度ですが、地域の暮らしを良くしたいというボランティア精神が溢れ、半数近くが裁判官、教師、市町村職員であることから、日本のように利権との関与も聞かれず、公正で市民利益を求める政治の原動力と言えるでしょう。

それに対して日本は、ドイツで革命的民主主義が開花する1960年頃には、高度成長を足がかりに戦前の官僚支配が復活して行き、民主主義の柱とも言うべき教育基本法が実質的には形骸化され、無借金の健全財政から国債発行の借金財政へと再び利権を肥大させ、本質的な民主主義が失われてて行きます。
そこではハンナ・アーレントが『全体主義の起源』で指摘したように、「官僚制とは法支配を無視する政令による支配」であり、戦後の「核持ち込みの密約(鳩山政権で検証報告公表)や「70年のドイツに共同核保有を求めた極秘教義(NHKスペシャル『核を求めた日本』検証)」、さらには水俣病処理やエイズ被害者発生の原因である非加熱血液製剤警告の無視から、福島原発事故後の反省なき再稼動や沖縄民意無視の辺野古基地建設に至るまで、責任の所在が問われない匿名の政令によって遂行されています。

そのような官僚支配は国だけでなく東京都でも既に青島知事の臨海開発でも横行し(注2)、今回の築地からの豊州移転でも法による支配が全く無視され、責任が問われない匿名の政令で遂行されたと思われます(東京だけでなく全ての都道府県行政政令が支配しています)。
それは既に指摘しているように、関与者全てがウインウインの利益が得られるからです。
損をするのは血税を支払い、健康が脅かされる都民、そして将来世代に他なりません。
それを打ち破る鍵はこの映画が訴える司法の独立であり、行政訴訟ドイツのようになれば、「悪の凡庸」の官僚支配から「善の凡庸」の官僚奉仕へと自ずと変化します。

(注1)ドイツ行政裁判法(1960年発行)のドイツ語PDF
http://www.gesetze-im-internet.de/bundesrecht/vwgo/gesamt.pdf
§ 99   (1) Behörden sind zur Vorlage von Urkunden oder Akten, zur Übermittlung elektronischer Dokumente und zu Auskünften verpflichtet. 第99条(1)行政当局は記録文章や書類、電子化した記録、情報の提出義務がある。

(注2)「臨海副都心開発−なぜ開発は継続したのか」日本学術振興会 砂原庸介(PDF)
http://www.geocities.jp/yosuke_sunahara/research/2006tosei.pdf
結論として一旦動き出した臨海副都心開発計画は、「過去の(自らの)決定に拘束されないアクターが存在しない限り実質的な見直しが行われる可能性が非常に低くなることが示唆される」と控えめに書かれていますが、現在の官僚支配の下では動き出した政令八ッ場ダム中止宣言に見られるように止めることが不可能と言えるでしょう。

2016-09-12

(297)世界の官僚奉仕を求めて第7回官僚奉仕の切札は太陽(2)(『EUのロビー支配される理由』)



フィルムはZDFが2014年5月21日に放映した『自由貿易(TTIP)の秘密』の一部であり、EU市民監視団体(CEO注1)の専門家ピア・エアハルトがEUがロビー支配される仕組みを説明しています。
すなわちブリュッセルでは各テーマごとに年間130ほどの巨大企業や企業連盟主催の会議が開催され、そこに集まった政治家、官僚、そして多くのロビイストによって政策の根回しとも言うべき議論が公然となされています。
それは、緑の党EU議員が指摘するようにEU議会の最終日には議員を必要としないほど、ロビー支配によって議決されることを物語っています。
しかしそのようなロビー支配にもかかわらず、大西洋自由貿易協定(TTIP)が現在に至っても締結できない理由は、ドイツが強固に反対しているからに他ならず、推進派であったフランスも同調してきているからです。
事実8月29日のシュピーゲルオンラインでは経済エネルギー大臣シグマール・ガブリエルが「TTIPは実質的に失敗した」と述べています。
それは「官僚奉仕の切札は太陽(1)」で述べたように、戦後のドイツ司法行政から完全に独立させ、60年代初めから70年代にかけてのドイツの革命的民主主義が構築されて行き、過ちがあれば官僚一人一人の責任が問われることに根ざしています。
もっとも目先の利益追求を最優先するグローバルな多国籍企業は、1990年のドイツ統合の際旧東ドイツの莫大な財産を求めて上陸し、刑法108e条項を改正するように働きかけ、議決に関与する便宜だけを有罪に変更することで(それまでは全ての便宜)政治汚職を殆ど合法化し、連邦議会ロビイストにフリーパスで開放させています。
その結果は、最初そのようなロビー支配に反対して誕生したシュレーダー政権が連邦議会に溢れるロビイストに絡め取られて行き、市民のためではなく、企業のための「アジェンダ2010」行動計画(競争原理最優先の新自由主義政策)の断行でした。
しかしドイツの官僚奉仕は行政訴訟で厳しく責任が問われことから、そうした中でもしっかり機能し、例えば2007年の連邦環境省放射線防御局(BfS)の常識を覆す報道に見られるように、1980年から2003年にわたる16の原発周辺半径5キロメートル以内の低線量被ばく地域の疫学調査で、5歳以下の子供の白血病や癌の罹患率原発のない地域に比べ小児癌で約60パーセント、白血病で約100パーセント高いことを公表しています。
また政治のロビー支配による原発運転期間28年延長草案に対しては、原発に責任ある官僚たちがZDF制作の『大いなるこけおどし・原発政策の間違い』に自ら出演し、その危険性と間違いを指摘しました。
もっともロビー支配された政治は原発運転期間延長期間を12年間に短縮して強行採決しますが、市民の怒りは収まらず、メルケル政権の与党キリスト教民主同盟は2011年3月の世界に象徴的なバーデン・ヴュルテンベルク州の惨敗だけでなく、2月のハンブルク州、3月のザクセン・アンハルト州、ラインラント・プファルツ州、そして5月のブレーメン州で全敗し、党存続の危機感からもメルケル脱原発宣言に至った訳です。
しかしその後も9月のメクレンブルク・フォアポンメルン州、ベルリン州選挙でも負け続け、翌年2012年2月のザールラント州、3月のシュレースヴィヒ・ホルシュタイン州、及び5月のノルトライン・ヴェストファレン州選挙でも敗退し(2009年の連邦選挙大勝利後全ての州選挙での記録的全敗)、もはやメルケル政権の維持さえできないほど追い込まれて行きました。
それは官僚奉仕が徹底される社会では、原発政策だけでなくロビー支配による競争原理を優先する教育政策、福祉政策、財政政策によって多くのドイツ市民が益々困窮していく事実が、(ドイツの州銀行を実質的に破綻させた)2008年の世界金融危機以降メディアによって堰を切ったように明らかにされることで、選挙では勝てなくなって行ったからです。
こうしたなかでメルケル政権が出したのは、ロビー支配からの決別(一線を画する)とも言える2012年の党大会でアデナウアーの「万人のしあわせ」への回帰宣言でした。
すなわち競争と平等の両立を求め、強者を支援する競争原理最優先の市場経済から弱者を支援する社会的市場経済の再生であり、打ち出された10項目全てで弱者への連帯と支援が掲げられていました。
しかもメルケル首相はその方針転換を自ら先頭に立って誠心誠意取り組んだことから、2013年9月の連邦選挙では前年の予想に反してメルケル政権の与党が勝利したと言えるでしょう(結局国民のために政権安定が優先され、社会民主党との大連立政権が誕生しました)。
それゆえシュレーダーの流れを受け継ぐ社会民主党のガブリエルも、ドイツ社会が競争原理を最優先する新自由主義に批判的で、メディアもガラス張りに開こうと機能するなかでは、企業利益より市民利益を優先せざるを得ず、2013年から始まったTTIP協議では、食品安全法規、環境法規、金融規制など様々な分野で市民利益を損なうとして反対しており、そのように市民の利益、さらには国家の利益より多国籍企業の利益を優先する自由貿易協定では締結できないと、自ら最後通告していると言えるでしょう。

冒頭フィルムのEU市民監視団体(CEO)は、「TTIPが民主主義と規制を改変する攻撃」であるとして、締結を求めるEU委員会の出した「規制協力」提言を健康、環境、社会福祉を守る規制、そして民主主義に対して脅威であると声明を出しています。
またロビー支配されているEUに対しても直近の声明(2016年9月6日)では、EUの透明性と倫理規定の決議を求めています。
それは現在のEUを運営している政治家、官僚一人一人の責任を求めることであり、ドイツの戦後の官僚制度の大転換に見られるようにEU官僚の行政記録を透明化し(すなはち太陽にかざすことで)、現在のEU官僚支配からEU市民への官僚奉仕へと変えるものです。
EU官僚とは、EU行政を構成する縦割り方式の農業農村開発総局やエネルギー総局などの25の総局と欧州政策諮問部局などの8のサービス部局で働く約3万人の職員を意味しています。
これらの官僚は各国から出向した官僚、もしくは大企業から出向した各分野の専門家からなり、巨大市場の規制権限を持つにもかかわらず大企業との癒着関係は切れておらず、その上官僚の無謬神話に守られています。
すなわちEU官僚たちは行政に一切責任が問われないだけでなく、説明責任さえありません。
それはEUがドイツのかつてのワイマール共和国のように理想に基づいて創られたものであり、限りなく理想と信頼の上に構築されており、現在のような競争原理が最優先される世界では理想の現実は不可能と言わざるを得ません。
すなわちEUに集う政治家はロビー支配され、日本同様に縦割り式の各々の局の官僚たちに丸投げされるからです。
そこではEUの理念なき肥大に伴い官僚組織も肥大し、官僚支配が形成され、自ずとEU市民の利益よりモンスター化したEUの経済利益だけが追求されるからです。

2016-09-05

(296)世界の官僚奉仕を求めて第6回革命的NHK原子力政策議論こそが未来への希望を映し出す(『ロシアのドーピング秘密6−6』)



最終回のフィルムラストでは、ユリア夫婦は子供の将来を含めて希望ある公正な未来を希求して、ロシアからの亡命を選択します。
それは現在のロシアでは前回フィルム(6−5)の終わりで描かれたように、内部告発者多くが自動車事故で不慮の死に遭遇したり、自ら命を絶つ自殺に追い込まれる実情があるからに他なりません。
それは日本、さらには官僚支配の先進国でも程度の差こそあれ同じであり、官僚支配にとって都合の悪い内部告発者が保護されておらず、少なくとも嫌がらせなどの制裁を覚悟しなくてはなりません(それは違法スレスレの嫌がらせの制裁が敢えて容認されているからです)。
しかし黙って見過ごして行けば益々服従を強いられ、自由と公正を掲げる社会が何時の間にか全体主義社会へと造り変えられて行くことも確かでしょう。

そのようなことが世界のあらゆる国際機関でも見られるようになって来ており、このまま容認されていけば、世界の終わりも近いと言えるでしょう。
何故なら世界の原発エネルギー政策を見ても、半世紀の探求にもかかわらず溢れ出している核廃棄物の永久処分場さえ見つからず、お金さえ出せば濃縮ウランプルトニウムさえ闇ルートで売買されかねない世界になりつつあるからです。
それは現在の北朝鮮の核保有、核実験の暴挙を許すだけでなく、残忍なテロ国家イスラム国の核保有さえ時間の問題と言えるからです。
そこには、結果的に武器輸出や軍拡産業の肥大が闇ルートを容認する官僚支配の仕組みがあると言えるでしょう。

話をオリンピックに戻せば、日本オリンピック委員会JOCは問題のBlack Tidingsへの2億3000億の振込調査で不正はなかったと、9月1日に報告書を公表しました。
既にARDフィルムを見ても、Black Tidingsが単に国際陸連元会長息子の関与するペーパーカンパニーであるだけでなく、ロシアドーピング不正工作に利用されていたことから、国際オリンピック委員会IOCの関与も明白であり、それゆえに世界アンチドーピング機関WADAの国家ぐるみのロシアドーピング違反によるリオ参加停止勧告にもかかわらず、停止決議を見送り、各国際競技連盟に委ねたと言えるでしょう。
それは責任放棄だけでなく、IOC組織自体が金権で官僚支配されていることを示唆しています。
そうした中で、ARD放映後動き出した仏捜査当局への聞取り調査もなく、JOC幹部の聞取り調査だけで「不正なし」は、余りにも国民を馬鹿にした報告と言わざるを得ません。
そのような余りにも国民を馬鹿にした「不正なし」がそのまま通るとすれば、前回述べたように最後の命運以前に、もはや日本の未来はないと言えるでしょう。

革命的NHK原子力政策議論こそが未来への希望を映し出す

既にブログ(285)で述べたようにNHK政治部の記者報道は、意ある識者が指摘しているように、まるで安倍政権直属機関の記者でもあるかのように、集団自衛権の憲法解釈変更では安倍政権の主張が一方的に代弁されています。
しかも安倍政権では昨年末、戦後放送の自由を目的とした「放送法」の第4条「事実を曲げない」という言葉を勝手に独自解釈して、どのような政府批判もその条項に抵触すると、まるで大本営が復活したかのように高市総務省大臣が国会で明言しています。
そして国民に愛された国谷裕子キャスター降板で、「クローズアップ現代」の放送が4月から夜7時半から10時になるだけでなく、社会的問題を追求するものが激減して行き、戦前のように国家放送へと絡め取られていく予感が、私の胸の内で益々大きくなっていました。

しかし今回8月26日に放送したNHK解説委員の討論番組「解説スタジアム」の「どこに向かう 日本の原子力政策」は、6人の解説委員が取材分野及び主張を字幕で一言で紹介し、全員が忌憚なく理詰めで現在の政府原子力政策を批判し、全体として「原発再稼働反対」の姿勢が議論で打出されて行きました。
そして最後に司会役の解説委員長西川吉郎が「安全神話は完全に否定されて、原発が事故を起こすと如何に手に負えないかということを知ることになりました」と明言し、現在の政府原子力政策の問題点を批判的に総括したことは画期的でした。
それは編集改ざんのないガラス張りに開かれた生放送の議論であり、討論者全員に本来の「放送法」の自由な議論と批判を連帯して守ろうとする強い意思が感じられ、革命的でした。
また番組途中での生の視聴者アンケートでも、視聴者の7割近くが原発再稼働に反対であることを示したことは、眠れる国民の大きな力、そして未来への希望が感じられました(動画は下のアドレスで見られます)。
https://www.youtube.com/watch?v=pv3pH9e2RpU
http://www.dailymotion.com/video/x4qnvxc

新刊のお知らせ
8月末発行の『ドイツから学ぶ「官僚支配から官僚奉仕」・・日本の民主的革命』は予定が遅くなり、今週印刷が完了し、来週には地湧社から発行されるとのことです。

目次はじめにあとがき

2016-08-29

(295)世界の官僚奉仕を求めて第5回真赤な嘘と日本への波紋(『ロシアのドーピング秘密6−5』)

官僚奉仕への切札は太陽(2)は、月末金沢などへ出かけていることから第7回から載せていくことにしました。



検証されたロシア陸連総裁の真赤な嘘とBlackTidingsの日本への波紋

ロシア競技連盟(陸連)総裁バラニチョフはドイツ公共放送ARDの質問書や取材を拒否し、ホテルでの非公式な取材でも、「ドーピングには一切関与していない」と断言していましたが、かつてのマラソン女子のスーパースターのリリア・ショコロバの取材を通して動かせない証拠(銀行の確認書)が出て来ます。
しかもバラニチョフ(既に現在はこの件で総裁を辞任しています)が世界陸連の会計役を演じ、元世界陸連会長ラミン・ディアクの息子が関与するシンガポールのタックスヘイブンのペーパーカンパニーBlackTidigans社を使っていたことは特筆すべきことです。

何故なら日本の2020年開催の東京オリンピック決定では、日本オリンピック協会はこのBlackTidigans社に誘致名目で2013年7月と9月に二度に分けて130万ユーロを振り込んでいるからです(前回述べたように、ガーディアン紙の仏捜査当局報告)。
まさにこうした事実は、ロシアだけでなく世界機関の国際陸連IAAF、さらには国際オリンピック委員会IOCの関与は明白であり、世界の国々の血税に加えて、放送権料やスポーンサー料が肥大することで、組織自体も肥大し、関与者にはウィンウィンで暴走を始めているとも言えるでしょう。
それゆえにIAAF、そしてIOCの今後の対応は単にオリンピックに関与する不正に対してだけでなく、官僚支配で機能しなくなった国際機関の問題でもあり、未来へのリトマス試験紙、さらには試金石とも言えるものです。
日本にとっても仏捜査当局の全容報告を待つだけでなく、小池東京都知事が言う東京オリンピック、そして都政をどこまでガラス張りにして行けるかに、日本の最後の命運がかかっているようにさえ私には思えます。