Hatena::ブログ(Diary)

ドイツから学ぼう

2016-04-27

(290)万人の幸せを求める社会 第七回 「パナマ文章」を世界を変える力に(3)最強の武器は透明性と公開



上の動画はベルリン市民団体「ロビーコントロール(ロビー監視)」の創設10周年大会(2015年11月21日)に、創設時から関与する日刊シュピーゲルジャーナリストのハラルド・シュウマンの力強いメッセージであり、まさに現在の不正なる世界を正すには、ガラス張りに公開することが民主主義の最大の武器であると強調しています。

(尚シュウマンが家に忘れたいうカントの引用文「他者の権利に関わる行動が、公開するにふさわしくない場合には、その行動はつねに不正である„;Alle auf das Recht anderer Menschen bezogenen Handlungen, deren Maxime sich nicht mit der Publizitat vertragt, sind unrecht.『永遠の平和のために』中山元訳」は祝辞原稿に載せられており、実際の演説では現在のガラス張りに公開されない大衆迎合の政治こそが不正の根源であると述べています)。

私がドイツで学び始めた2007年頃には、既に連邦議会国益と称してフリーパスで横行するロビイストたちの活動が問題視されていましたが、「ロビーコントロール」の存在は知れ渡っていませんでした。
しかしこの大会前日には、提訴していたベルリン上級憲法裁判所の判決でロビー活動の特権である連邦議会フリーパス企業(団体)名の公開に勝利するまでに名を馳せています(公開された607のフリーパス名企業PDF)。

何故今回ロビー活動を取り上げたかは、「パナマ文章」の暴露するタックスヘイブンや法人税引下げ競争の根源には、世界を支配する巨大資本のロビー活動があるからです。

世界にロビー活動監視で世界に名を馳せている市民団体「オックスファーム・アメリカ」が2016年4月14日のメディア会見で公表した25ページにも及ぶ報告書では、アメリカオフショア金融に関与する50の巨大企業の約1、4兆ドルの資産がタックスヘイブンで税から逃れてることを明らかにしています。
http://www.oxfamamerica.org/static/media/files/Broken_at_the_Top_FINAL_EMBARGOED_4.12.2016.pdf

オックスファームは2015年4月20日に公表された「Senato Office of Publc Recods」を分析し、具体的にアメリカの50巨大企業の名前を明らかにするだけでなく(18ページから20ページ)、各々の企業が2008年から2014年までにどれだけ少なく税を払い、どれだけのオフショア資産を有し、どれだけのロビー活動費を支出し、どれだけの利益を得ているか詳細に載せています。
それによれば、これらの50企業は、全体でロビー活動費におよそ26億ドルを支出し、その活動費用の130倍もの利益をだしています。
すなわちロビー活動によって、法人税引下げ競争やタックスヘイブンの仕組がつくられると言っても過言ではありません。
報告書の終わりにオックスファームは、租税回避阻止を求めて透明性の徹底と公開を上の動画と同様にアッピールしています。

確かに今回の「パナマ文章」暴露でアメリカ司法省が調査を開始したことが伝えられており、より透明性の高い国際ルールが構築されるでしょう。
しかし本質的な問題をそのままにしては、どのようなルールが構築されたとしても、これまでのようにロビー活動を通して新たに巧妙な抜け口がつくられ、益々世界の格差が肥大し、99パーセントの人たちが窮乏する世界の到来は必至です。

本質的な問題とは、世界を支配する化石燃料産業の巨大資本が盛者必衰のことわりを忘れ、力によって永遠の繁栄を維持しようとすることにあります。
それ故に今回明るみに出た3度目の三菱自動車の不正が物語るように、うわべは公正が求められとしても、中身は不正が求められており、何度でも繰り返すことに他なりません。
そうした世界の未来は絶望的です。

しかしエネルギー転換を推進するドイツから見えてきたことは、依然として化石燃料産業支配が継続するなかで、既に述べたように弱者を支える社会的市場経済の復活が湧き上がっていることです。
ドイツにおいても、フォルクスワーゲンの不正や今回の「パナマ文章」でもシーメンスを始めとして多くのドイツ企業が関与している実態は同じですが、「ロビーコントロール」のような市民団体が先頭に立って不正の膿を出し尽くそうとしていることに、大きな違いが感じられます。
その原動力は地域分散型の無尽蔵の自然エネルギー再生可能エネルギー)への転換にあり、現に2011年のドイツ脱原発まで巨額の利益を出していた四大電力企業は赤字に転じ、2014年には自ら化石燃料から再生可能エネルギーの方針転換を打ち出しています。
それはまさに、巨大企業の中央集中型大量生産よりも、地域分散型適量生産が有利であることを示し、人類文明に次の章があるとすれば、そのような自然エネルギーへの転換が現在世界を横行している不正を根絶し、困窮を強いられて行く世界の99パーセントの人たちにも豊かな暮らしと平和をもたらすと確信します。
最近ドイツの環境保護と民主主義シンクタンクである「ハイリッヒ・ベル財団」が日本へ無料送付して来た『エネルギー転換・・ドイツエネルギーヴェンデ(日本語版2016年3月8日発行)』は、それを実証しています。
http://www.renewable-ei.org/activities/reports_german_energiewende_20160308.php

ドイツの戦後は日本とは本質的に全く異なるものであったことは確かですが、ドイツ統一以降少なくとも2011年の脱原発宣言まではロビー支配で新自由主義を推進していたことも事実であり、それは逆に言えば、現在のように絶望的未来展望しかできない、日本、そして世界が変わり得ることを示唆しています。

(追伸)今年1月は現在の日本危機感から本を書く事に挑戦しましたが、思うように書けませんでした。今私の田んぼで苗を育てながら、何故ドイツは変わり得たか?、どのようにすればドイツのように変わり得るか?、今ドイツから何を学ばなくてはならないか?、そのような視点で書ける気がして来たことから再挑戦することにしました。そのためこのブログを見てくださる方には申し訳ありませんが、しばらくブログを休ませていただきます。

2016-04-19

(289)万人の幸せを求める社会 第六回 「パナマ文章」を世界を変える力に(2)数十兆円を脱税すれば神になる



4月6日のZDFの子供ニュース「 logo!」でも、上のフィルムのように世界の税金逃れのやり方をわかりやすく解説しています。
画期的なのは、従来のタックスヘイブン(租税回避地)での税金逃れの容疑を示唆するのではなく、世界のジャーナリストたちが(76ヵ国からの400人)共同で膨大なデータから税金逃れのやり方を検証し、税金逃れの全てを突き止めたことにあります。
そしてこの子供ニュースでは、タックスヘイブンでの匿名の実体のない企業であるペーパーカンパニー設立で、税逃れの本来禁止されべき金融投資をわかりやすく説明しています。

こうしたひと握りの裕福者や政治家の巨大なマネーがタックスヘイブンで運用投資され、殆ど税金を支払わなくても違法にならず、金融関与者が胸を張って合理的な税の節税と豪語する世界は、誰の目にも狂っているとしか見えません。
まさに映画『独裁者』での、「人を一人殺せば殺人、人類の半分を殺せば英雄、全て殺せば神になる」というセリフが思い起こされます。
すなわち数十万円の脱税をすれば犯罪者、数十億円の脱税をすれば節税の英雄、数十兆円の脱税をすれば神(世界支配者)になる」という声が聞こえて来ます。

今回の「パナマ書類」では日本企業や日本人裕福者の関与が少ないこともあり(漏れ出た情報では400ほどの関与)、センセーショナルな報道はされていませんが、これから徐々に大問題になって来るでしょう。
何故なら、今回公表された「パナマ書類」は従来のケイマン諸島に見るようなタックスヘイブンでの脱税容疑ではなく、莫大なデータに数万にも上る顧客のオフショア金融ビジネスの全ての記録があり、既に詳細が12ヶ月かけて突き止められているからです。

日本の企業や裕福層が海外で投資している総額は、国際決済銀行BISの公表データでは、2015年末3兆1690億ドルにも上り、その3割近くがケイマン諸島などのタックスヘブン地域で運用されています(すなわち日本の投資は数百兆円、世界の投資は数千兆円・・・下のアドレス資料参照)。
http://www.boj.or.jp/statistics/bis/ibs/data/qibs.pdf

それゆえ「パナマ文章」の全記録が世界に公表されれば、それを仲介している金融機関や政治家などの関与者たちは最早利益追求の「合理的な節税」と言えないばかりか、怒りのバッシングを受けることになるでしょう。
何故なら世界の1パーセントの裕福者たちは(企業も含めて)、殆ど税金を支払うことなく益々資産を増やすことができ、99パーセントの国民は重い増税に苦しでいるからです。

近代経済学の父アダム・スミスは「国富論」のなかで、「市場経済において、各個人が自己の利益を追求すれば、結果として社会全体において適切な資源配分が達成される」と明言し、結果として「神の手」によって導かれるように、社会全体の利益がもたらされると述べていました。
しかし1970年以降のサッチャーレーガンに始まる新自由主義と呼ばれる市場原理主義の世界では、誤りであることは明白です。
何故なら世界のひと握りの1パーセントの人たちが自己の利益を追求すればするほど、ボトムへと墜落しつつある99パーセントの人たちが窮乏を余儀なくされるからです。
もっともアダム・スミスは、その時代を支配する「国の豊かさは(植民地から得られる)貴金属である」という重商主義を批判し、「国の豊かさは労働生産によって得られる消費財の蓄積である」と主張しており、消費増大(内需増大)こそ現代の危機社会を救うものです。
しかし富の再配分が機能しない世界に生きる99パーセントの人たちは、消費抑制で生き延びるしかありません。
すなわち富の再配分が機能しないタックスヘイブンや法人税引下げ競争が激化する世界では、国家を破産へと導くだけでなく、ナチズムのような独裁国家を復活させて行きます。
それは、第三次世界核戦争での人類の終焉を意味しています。
それゆえ世界の市民は「パナマ文章」を力として、万人の幸せが求められる社会に変えて行かなくてはなりません。
それは難しいことではなく、強者の脱税のような不正行為が許されない社会、世界に変えて行くことに他なりません。
そうすればひと握りの人たちに集中していた富が、蘇る再配分機能で自ずと滴り落ちてくるでしょう(もっとも現在の化石燃料の産業社会が既に終焉に向けて加速しているにもかかわらず、力による不正支配で生き延びようとしていることから、益々悪循環に陥っていることも確かです)。

2016-04-13

(288)万人の幸せを求める社会 第5回 「パナマ文章」を世界を変える力に(1)タックスヘイブンが国家破産と戦争を招く



4月3日世界中を震撼させる「パナマ文章」が、小国アイスランドから大国ロシア中国の指導者が関与する史上最大の課税逃れの背任行為として世界に公表されました。
ドイツでは4月3日、もしくは4日にすべての新聞がセンセーショナルに報道し、4日の公共放送第二テレビ放送ZDFニュースは上のように報道しています(日本でもネット通信は4月4日から報道されましたが、各新聞社は慎重に様子を見守り、4月7日に東京新聞の社説が突破口を開き、4月8日には日経新聞が続き、各社の報道が始まっています。まさにそれ自体ネット封鎖した中国ほどではないにしろ、既に報道の自由が規制されているリトマス試験紙と言えるでしょう)。
また3日の公共放送第一テレビ放送ARD「Tagesschau」論評者ユリア・シュタインは、「ペーパーカンパニー提供者の分野は全く規制されておらず、全てにおいて甘んじて過小評価されています」と指摘し、「オフショア産業の世界は、一般市民がそこで何が起き、どのような人が、どのくらい莫大なお金を隠しているか、覗くことができない恐ろし世界であり、全てのペーパーカンパニーが違法でないとしても、違法な営みがそれを通して完全に覆い隠されており、暴露を通して今こそ世界社会の圧力を高め、税の不正操作に対し激しい抗議を推し進めなくてはなりません」と論評していました。

また「フランクフルト新聞」のオンラインニュース「フランクフルター・ルンドシャウ」のダニエル・バウマン論評は、「税の不正操作をもう終わりにしよう」と読者に求め、「スキャンダルは新しいものではなく、タックスヘイブンの存在は誰をも驚かせません。しかし支払われないお金は企業に不正な利益を生むとしても、国家を破産させ、社会を崩壊させるでしょう。今こそこれまで以上に税の不正工作禁止に決然として取組まなければなりません」と主張しています。

そしてこの「パナマ文章」の発端である「南ドイツ新聞」のウルフガング・クラフの論評は、「1年前にジョン・デーという男が(実在しない匿名)パナマ文章を持ち込み、南ドイツ新聞社史上比類なきセンセーショナルな章が始まった」と書き出し、下のようなスケッチに「オフショア企業を経由して明らかにいわゆる戦争やテロに融資されています。このようなビジネスは最早隠されてはなりません」と訴えています。

f:id:msehi:20160411120806j:image
"Über Offshore-Firmen werden offenbar sogar Krieg und Terror finanziert. Diese Geschäfte dürfen nicht länger verborgen bleiben"

具体的な論評では、「財産が正確に納税されるならば、秘密保持理由からのペーパーカンパニーの営みは確かに合法でしょう。しかしながら多くの場合一般的に犯罪行為を覆い隠すことにのみ使われています。スキャンダルの規模は、いかにその問題が大きく、いかに緊急に世界社会がこれに対処しなければならないか明白です」と確固とした論評を繰り広げています。

タックスヘイブンが国家破産と戦争を招く

何故「フランクフルト新聞」のダニエル・バウマンが、「タックスヘイブンが国家を破産させ、社会を崩壊させる」と論評するのか、世界のすべての市民は考えて見なくてはなりません。
この四半世紀世界が規制緩和を教義とする新自由主義に呑み込まれ、先進国法人税減額競争と世界各地にタックスヘイブンが築かれ、富の再配分が機能しなくなりつつあることは明白だからです。
すなわち究極的には、富みを収奪するひと握りの人たちは合法的に税を支払わず、貧困者へと没落していく99パーセントの市民だけが税を支払うのであれば、国家は破産するしかないからです(「パナマ文章」からは、世界の著名な金融機関が客の裕福者にタックスヘイブンを薦めている実態が浮かび上がって来ます)。
また「南ドイツ新聞」のウルフガング・クラフが「(本来税金として支払うべきお金が)戦争やテロに融資されている」という論評も、世界の真髄をついているのではないでしょうか。
昨年の世界を震撼させたウクライナ戦争の当事者であるウクライナ首相ロシア大統領、そして中国首脳から北朝鮮までも「パナマ文章」に関与しており(テロ国家でさえ石油で得た財は匿名でタックスヘイブンにプールされている可能性が高いでしょう)、本来税金として支払われるお金が最も利益を生み出す武器産業に投資されるからに他なりません。

2016-04-06

(287)万人の幸せを求める社会 第4回万人の幸せを求める「社会的市場経済」は世界を救えるのか?・「万人の不幸せ」を招くアベノミクス



ドイツは、戦前の自由な市場競争が不公正な社会(格差拡大と失業)へと導き、個人の自由を奪うナチズムの統制経済を招いたという反省から、このフィルムが述べるように経済大臣エアハルトが社会的市場経済を導入しました。
社会的市場経済とは、需要と供給で成り立つ市場経済に依っていますが、市場経済だけでは社会的公正が担保できないことから、市場競争の弱者を社会政策によって積極的に保護する「万人の幸せ」を目標とする経済です。
すなわち自由な市場経済では強者の勝利は明らかなことから、様々な規制(ルール)や積極的な支援によって、市民弱者から中小企業過疎地域と言った弱者にも積極的なチャンスを与え、保護育成が求められて来ました。
例えば母子家庭のような市民弱者に育つ子供でも、学ぶ意欲さえあれば家計に左右されない教育支援で、無理なく大学、大学院教育まで受けられる制度もその一つです。
また労働者は、労働時間や休暇日数の厳しい保護規定や安心できる社会保証制度で保護されて来ました。
また小規模な商店も、1956年に制定された「閉店時間法」(1996年に改正されるまで店舗の営業時間は、平日午前7時から午後6時30分まで、土曜日午前7時から午後2時まで、日曜日は例外を除き営業禁止されていた)や規模規制で手厚く保護されて来ました。
それは市民の労働時間を守るだけでなく、歩いて買物ができるスローライフの信頼あるお店を育てたと言えるでしょう。
また中小企業は、50年代末までに成立された「競争制限法」の大企業のカルテル形成や市場支配力の乱用規制で、企業規模が小さいことから生じる競争上の不利益が改善され、逆に企業の活力が育まれるよう指導されて来ました。
すなわち連邦政府及び州政府は、中小企業を資金助成や経営相談から研究開発や販売指導だけでなく、各地域にくまなく職業訓練所を作り、労働者の技術向上に献身しています。
それゆえに、ドイツの330万社にも上る創意工夫溢れる世界一の中小企業が生み出されたと言えるでしょう。

このようなドイツの「万人の幸せ」を目標とする社会的市場経済も、2000年以降EU拡大を通して急速に競争原理最優先の新自由主義経済に呑み込まれて行きました。
しかし「戦う民主主義」が根付いたドイツでは、既に述べたように2008年の世界金融危機を契機に社会的市場経済が再び蘇りつつあります。

そのような「万人の幸せ」を求める社会的市場経済こそ、破滅へと自ら落ち込んでいく世界の救世主です。
何故なら世界は2008年の金融危機にもかかわらず、その後も市場への投資規模を倍々と益々肥大させ、貴重な地球資源を乱獲で供給過剰にし、世界を未曾有の危機に陥れて行くからです。
すなわち現在の新自由主義市場経済は、世界の人々を困窮させるだけでなく、究極的には終末戦争へ(例えば北朝鮮の暴発は時間の問題と言われるように)、自ら破滅へと突き進んでいるように見えます。

「万人の不幸せ」を招くアベノミクス

日本のアベノミクスを「万人の幸せ」を求めるドイツの社会的市場経済から見れば、金融緩和による円安誘導や法人税減額に見るように、強者のためのアメリカ主導の新自由主義経済以外の何者でもありません。
例えば現在沸き立たせている介護離職問題や待機児童問題では、現場の介護職員や保育職員の慢性的不足原因は賃金が重労働にもかかわらず、将来の生計の目処も立たないほど低い水準に据え置かれていることに他なりません。
山尾志桜里議員の国会での執拗な追求にもかかわらず、具体的賃金の引き上げは明言されていません。
もし本当にアベノミクスが国民の賃金を上げる気があるなら、明らかに問題のある賃金から引き上げて行けば、国民全体の賃金上昇波及も実現可能です。
しかし強者のためのアベノミクスの本当のねらいは、実質賃金降下で世界のボトム競争に勝てる競争力強化にあると言えるでしょう(それゆえに弱者にはまるで見せ金のように、絶えず一時金がばら撒かれるわけです)。
その証拠にアベノミクスの3年半、公約とは裏腹に実質賃金は下がり続けています。

このような詐欺もどきのアベノミクスやり方は、決して日本だけはなく、(現代の植民地主義とも言える)新自由主義に支配される世界の教義と言っても過言ではありません。
例えば原発を推進するために、「原発はクリーン、安い、安全」が少なくとも福島原発事故前まで世界各地で明言されていた事実からも明らかでしょう。
何故このような事実とはアベコベの詐欺もどきが明言されるかは、強者支配の欲望にあり、富への欲望に他なりません。
そのような目論見が隠されているアベノミクスは、未曾有の恐慌を招くだけでなく、過去に繰り返してきた戦争へと導いて行くことは必至であり、「万人の不幸せ」を招く何者でもありません。

2016-03-29

(286)万人の幸せを求める社会(ドイツ子供ニュースによる幸せ追求)第3回社会に理想を求めるドイツの教育



ドイツの戦後の教育は歴史に目を閉ざさず(学習カリキュラムでホロコーストを学ぶことが義務付けられ)、社会に目を開くことが求められて来ました。
今回のフィルムで紹介された、ドルトムントのハウプトシューレ(基幹学校)での社会科授業はそれを象徴しており、ギリシャマケドニア間の国境に足留めされている避難民を支援する学生たちとの話し合いはリアルな実践と言えるでしょう。
それはドイツの教育では、子供たちが社会に理想を求めることが目標とされているからに他なりません。
すなわち戦後のドイツナチズムを二度と許してはならないという強い反省と決意に基づいて、初等教育から生徒たちの批判力を養い、健全な市民の育成を目的としたからです。しかもそこでは、ヘルムート・ベッカー教授が提唱する「競争よりも連帯を育む教育」が、小学校から大学まで無料の徹底した機会均等教育で実践されて来ました。
事実シュレーダー前首相やベルリン市長ボーべライト(現在3期目)のように貧しい母子家庭でも、本人に学ぶ意欲さえあれば、大学だけでなく、さらなる高等教育も可能にする仕組みを創り出して来ました。
もっとも大学に進学するためには、4年間の小学校出た後進学教育の9年制のギムナジウムへ入学することが求められ(事実上成績によって振り分けられ)、60年頃においては全体の生徒の3分の1にしか過ぎず、残りの大部分の生徒は職業職業教育のハウプトシューレ(基幹学校)に進み、職業学校を経てマイスターや企業で働く技術専門職が目標とされていました(その中間の実業学校レアルシューレや15歳まで進学教育と職業教育を均等に学ぶ総合制学校も在ります)。
確かにギムナジウムはエリート要請の温床という批判もありましたが、ドイツ社会ではマイスターや技術専門職に高い評価がなされてきたことも事実です。
またギムナジウムの各学校単位で行われる実質的に大学入学を認める卒業試験(アビトゥア)では、口頭試験が半分近くを占め、社会をよりよく変える批判力が求められていました。
しかしドイツにおいても2000年以降シュレーダー政権の競争原理優先の「アジェンダ2010」新自由主義政策が進むなかで、一部の州で大学授業料制度が導入され、ドイツ特有の13年間の初等教育が12年間へと短縮が求められていきました(ターボアビトゥア)。
そこでは私のブログで既に述べたように、競争教育の激化で生徒たちの心と身体を蝕むだけでなく、教育が格差を生み出す原因にさへ変質させて行きました。
すなわち新自由主義の規制緩和でマイスターなどの資格制度が実質的に取り払われるなかで、ハウプトシューレがギムナジウムで上級へ進学ができない生徒の受け皿となり、劣等感なしには通えない学校と揶揄されていました。
しかし2008年のドイツの州立銀行を実質的に破綻させた世界金融危機後カジノ資本主義と呼ばれる新自由主義が見直されると、大学授業料を導入していた州も州選挙で再び無料化に戻り、競争原理を優先する教育も見直されつつあります。
すなわち大学への進学が小学校入学後12年するか、13年にするか自由な選択が尊重されるようになると、ハウプトシューレも再び見直され、再生可能エネルギー社会の担い手を養成するだけでなく、ドルトムントのハウプトシューレのように社会に理想を求める健全な市民育成へと戻って来ていると言えるでしょう。

競争原理を最優先する日本の目論見

今年から日本においても18歳選挙権導入を機に、これまで実質的には政治的関心を持つことががタブー視され、タブー視されているゆえに若者の間で政治的議論をすることがダサイとさせてきた日本で、逆に積極的政治的議論や参加が求められています。
その背景には、隠されている意図を感ぜずにはいられません。
それはかつての世界が意図したように、「青少年を掌握するものが未来を掌握する」というファシズムの教義が台頭してきたことに他なりません。
競争原理を最優先する新自由主義世界では、格差拡大が一部の若者を体制批判へと向かわせることも確かですが、教義である「自己責任」洗脳された大部分をナショナリズム、さらにはファシズムへ向かわせることが鮮明になってきています。
それは最近のハンガリーポーランド独裁政治へ向かいつつある現実や、EU諸国の極右勢力の台頭が実証しています。
そうしたなかで安倍政権憲法第九条改正への思いは強く、今年の年頭には夏の選挙国会議員数3分2獲得で意を同じくする政党と共に、憲法改正を目指して行くことを国会で明言しています。
しかし日本の国民は集団自衛権容認後も過半数を超える多くの人たちが憲法第九条の改正を望んでおらず、たとえ衆参議会の3分の2で改正決議ができたとしても、過半数の国民合意を得ることは容易ではありません。
憲法改正がなければ、日本の海外進出での護衛やアメリカの世界のポリスの役割を一部担うことで攻撃されれば、最低限の反撃は有り得るとしても、普通の軍隊を持つ国のように機能させることは殆ど不可能です。
それ故、憲法改正の突破口として18歳選挙権導入の目論見が見えてくるわけです。
すなわち新自由主義の格差拡大は、世界の若者の抗議が拡がるなかで、同時に多くの若者を異質敵視へと向かわせることに着目し、18歳選挙権導入で若者全体に熱狂的なナショナリズムを湧き上がらせ、憲法改正の突破口とする目論見が見えて来ます。
何故なら不公正がまかり通り、圧倒的支配で政治がタブー視されている生き難い社会では、引き金さえ引かれれば、ポーランドなどで見るように正義を求めるナショナリズムが爆発的に拡大するからです。

しかしそのような憲法改正を許せば、再び日本を戦争へと駆り立て、日本を破滅へと導くだけでなく、愚かな人類を核戦争で破滅へ導き兼ねません。
それ故に18歳選挙権導入による若者の政治参加を求める機運を逆手に取って、社会の不公正を異国へのハラスで解消するのではなく、本質的なものを自ら考える機運を高めて行くことです。
それは何故日本では、ドイツのように進学教育や職業教育が無償で提供されないだけでなく、母子家庭のような貧困家庭からはドイツのように首相やベルリン市長を生み出す高等教育を受けることが不可能であり、有償奨学金頼みの日本のエセ均等教育を考えることでもあります。
それを考えることは、日本の教育にも戦後の社会に理想を求める教育を蘇らせることにも繋がります。

もっとも現実的には今年7月選挙で平和憲法を守り、公正な社会、国民の幸せを問い直すことが先決でしょう。
憲法改正を希求する安倍政権は「希望を生み出す強い経済」として名目GDP600兆円達成、「夢を紡ぐ子育て支援」として希望出生率1,8の実現、「安心につながる社会保障」として介護離職ゼロを目標として打ち上げています。
どれも達成不可能であることはマスメディアさえ指摘しています。
何故なら達成を不可能にしている最大の原因は、競争原理を最優先する新自由主義政策にあるからです。
かなわない国民の願望を達成目標に掲げることで、国民の議会政治への不満を意図的に高め、大変革を目論んでいるように私には見えます。
しかし法人税減税を据え置き、現在の大企業及びひと握りの人たちだけ配慮された大減税を90年代当初に戻して行けば(現在のような産業への財政支援を創意工夫に任せて行けば)、国民の願望も、教育の無償化も、全てが達成されるだけでなく、エネルギー転換を通してドイツのように健全な均衡財政が実現し、万人の幸せを求める日本に変わることも可能です。