Hatena::ブログ(Diary)

ドイツから学ぼう

2016-12-05

(309)世界の官僚奉仕を求めて第19回官僚奉仕の切札は太陽(14)官僚支配モンスター克服への途 後編(私の見た動画11『市民としての官僚や裁判官たち』)



上の動画を見ればドイツの戦後は戦前の官僚支配を封印し、国民のための官僚奉仕に徹し、官僚や裁判官たち自らも市民としての行動の自由を求めて来たことがわかるでしょう。
動画前半では、2009年ドイツメルケル政権が原発運転期間延長を求めた時、政治家の安全で電力料金が安くなるという主張に対して、原発に責任ある官僚たちは自ら公共放送ZDFに出演し、危険であり基本法に違反し、過去の検証から電力料金が安くならないことを明言しています。
動画後半冒頭では(ドイツ最高裁判所長官の解説を通して)、ナチズム国家社会主義)を容認した反省から司法行政から完全に独立させ、(ナチズムの再来を二度と許さないために)改正できない基本法基本的人権言論の自由と人間の尊厳)を違憲立法審査権行使で厳守し、市民のサービス機関として市民に開かれて機能している裁判所が語られます。
そしてクラマー裁判官が語るように、60年代に始まった民主化の運動が80年代になると司法の封建的で権威的構造を打ち破り、裁判官たちが自ら政治的発言の制限を克服して行きました。
それは映像で見るように、裁判官たちの市民としての自由な意思表示であり、裁判所を市民のサービス機関とするだけでなく、裁判官との交流対話を通して市民に開放することでした。
そのようなドイツ官僚や裁判官の市民性は私自身も体験したことであり、妙高の自宅にも泊まったことのある農業省の官僚Uさんに(ドイツの環境農業補償政策の取材やシェーナウの市民電力会社訪問でお世話になり、彼が能をはじめとして日本の古典文化に関心が高いことから私的交流へと発展しました)、それを強く感じました。
そしてそのような官僚や裁判官の市民性創出こそが、再び戦争へと導く大本営を構築し始めた日本の官僚支配モンスター克服への途にほかなりません。
そのためには既に述べて来たように、ドイツのように司法を完全に独立させ、行政の責任や違憲立法審査権を厳しく問える仕組みに変えることが必要です。
そのような大きな枠組みの転換なくしては、前回述べたように国民の財が将来世代に渡って喰い尽くされて行く国民の怒りが、ハシズムのような国家社会主義に飲み込まれて行き、逆に異なるものを排斥する全体主義の独裁国家を産みだしかねません(都民のための見える化と政治責任を唱える小池知事には大いに期待していますが、大きな枠組みを変えて行く目標なしには、国家社会主義に飲み込まれる危惧も感じずにはいられません)。

2016-11-27

(308)世界の官僚奉仕を求めて第18回官僚奉仕の切札は太陽(13)官僚支配モンスター克服への途 前編(私の見た動画10『匙が投げられた借金大国』)



上の私の見た動画10の中心をなすのは、2010年11月に放送されたNHKスペシャル『借金862兆円はこうして膨らんだ・元大蔵官僚100人の証言録』であり、1964年まで無借金健全財政で努力してきた日本の財政が、東京オリンピック後の不況で2000億円足りなくなり、1年限りの時限立法で再び国債発行に踏み切った当時の事務次官谷村裕の次のような苦渋証言から始まっています。
「いろいろ議論があって赤字国債はできれば出したくない。出したという前例も作りたくない。いっぺん麻薬を飲んだが、癖にならないようにしよう」
それは戦後1946年紙切れの山と化した赤字国債の贖罪から、二度と同じ過ちを繰り返さないために赤字国債発行が禁止されていたからです。
しかしその後の日本は、谷村の戒めに反して、1975年に2回目の赤字国債を発行し、赤字国債の累積が2兆円に上り、さらに76年には5兆円、77年には10兆円と倍増して行きました。
 当時、大蔵官僚であった1人は番組で、「こんなことを繰り返していけば、ますます慢性患者になっちゃうから、この際起死回生の策として思い切った景気対策をやろうという思い詰めた時期だった」と証言しています。
すなわち打ち出された対処方法は、借金による大規模な景気対策で、「高い経済成長を取り戻せば、税収が増え借金は返せる」という賭けに出たと公共放送も明言しています。
このようにして翌78年の福田内閣の予算では借金11兆円の大型予算が組まれ、以後同じ賭けが連続して繰り返されていきます。
そして大蔵官僚の最後に証言する尾原栄夫主税局長(平成10年から平成13年)は、「どうすればよかったのか、悪夢のようによみがえるときがあります」という、まるで匙を投げるかのような証言で結んでいます。
このような戦後日本を支配してきた大蔵省官僚たちの肉声には、明治の専制国家に向けた官僚支配によるエリート官僚たちの覇気はなく、(前々回述べた元外務事務次官の村田良平氏が怒りを持って正すように)自己保身と事なかれ主義に徹し、族議員たちに怒鳴られ、答弁書作成では徹夜も厭わない、官僚奉仕の実態が浮かび上がって来ます。
もっともそれは国民のための国民への官僚奉仕ではなく、国益のための政財界への官僚奉仕にほかなりません。
そして戦後大蔵省を率いて来た官僚たちが、「田中角栄の日本列島改造論のように、政治を通して国民の豊かさを求める大合唱のなかでは、赤字国債を麻薬依存と認識してはいてもどうすることもできず、依存後は借金による経済成長という賭けに出るしかなかった」という言い訳を聞くとき、私のなかではホロコーストの責任者であったアイヒマンが最後の証言で、「ユダヤ人に対する虐殺や絶滅計画は歴史上他に類を見ないほど重大な犯罪です」と断言し、「私にとって不幸でした。あのような残虐行為の遂行は本意ではありません。収容所の指揮を任せられたら断ることはできません。そこでユダヤ人殺害を命令されたら実行するしかありませんでした」といった弁明(ハンナ・アーレントをして悪の凡庸さと指摘されるもの)がオーバーラップして来ます。

しかし遠近法で遠ざかって眺めると、それとは全く異なった官僚支配モンスターの実態が見えてくることも確かです。
すなわち瓦礫と化した戦後から官僚主導で産業復興が成し遂げられると、再び利権構造を産み出し、それが法律で禁止された国債発行を1年限りの時限立法で再開させ、国民の財を将来世代に渡って再び喰い尽くし始めたと言えるでしょう。
そこでは、現在のアベノミクスでも見られるように、絶えず経済成長のための借金による賭けが唱えられ、現在では1200兆円を超える国と地方の負債で将来世代の財が喰い尽くされて行きます。
それは大蔵省の当事者たちが匙を投げるほどに膨らみ続けているだけでなく、最早「負債ではなく投資だ」と居直って高速道路開発からリニア鉄道開発までが100兆円を超える財投債へと膨張し、さらに動画10後半の2016年11月6日放送のNHKスペシャル「廃炉への道・調査報告 膨らむコスト〜誰がどう負担していくか」では、電気料金や税で国民に押し付けられる実態が見えて来ます。
まさにそれは、明治ドイツから学んだ富国強兵を目的とした責任の所在のない官僚支配(大本営)が、将来世代の公共料金まで担保に、日本を喰い尽くそうとしているように私には見えます。  

2016-11-21

(307)世界の官僚奉仕を求めて第17回官僚奉仕の切札は太陽(12)どうにも止まらない日本の高速増殖炉(私の見た動画9『ワンダーランドとなったドイツ高速増殖炉』)



日本の高速増殖炉「もんじゅ」は年末には廃炉が正式に決定されることが報道されていますが、高速増殖炉を断念したわけではなく、従来の一旦動き出した計画がむしろ焼け太りしていく危惧を感ぜずにはいられません。
私自身高速増殖炉「もんじゅ」廃炉が強まるなかで、実際の現場を検証する意味で9月30日に敦賀まで出かけて、「もんじゅ」を午後から見学しました。
話題が沸騰していた事で少なくとも何人かの見学者があると思っていましたが、見学者は私一人で福井大学特任教授のS氏が恐縮ほど親切に案内してくれました。
もっとも恐縮したからといって遠慮することなく、このブログで19回に渡って述べてきた「脱原発を求めて」の視点に立って忌憚なく危険性を問い正したつもりです。
危険性やエネルギーの未来像の考え方では真逆に異なるにもかかわらず、いち市民の主張に上から目線で否定するのではなく、一つ一つ耳を傾けた上で自らの意見を述べられ、帰りも私の車が遠のくまで見送ることなど、私にはとても出来ないことです。
S氏の主張を簡略に述べれば、エネルギー資源国でない日本は核燃料サイクルを必要とし、現在1%程しか利用されないウラン高速増殖炉ウラン238をプルトニウムに変換すれば100倍以上長くウラン資源を利用でき、前回起きたナトリウム漏れ事故も溶接の改良で技術的に克服できるというものでした(ナトリウム燃焼実験室でナトリウム冷却管の溶接部分をどのように改良したかを現物見本での説明も踏まえ)。
もっともS氏は、(溶接箇所が数えきれないほどあり、技術改良で100%安全であるという検査結果が得られたとしても想定外の事故は起き得るから)実際にはナトリウム漏れを起こす確率はゼロにはならないのではないかという私の質問を、否定しませんでした。

全体としては「もんじゅ」廃炉が高まるなかで、意外にもS氏の対応には将来に対してむしろ期待と自信が垣間見られました。
それは10月7日に開催された今後の高速増殖炉開発を審議する高速炉開発会議(第1回会合)の大凡の筋書きが、既に関与者にはわかっていたからに他ならないでしょう(もっともS氏は、高速増殖炉開発反対科学者との公開での国民議論を主張されていました)。

公表された資料では議事録が公表されず、議事概要のみが記され、会議出席メンバー(経済産業大臣 世耕 弘成 、文部科学大臣 松野 博一 、国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構理事長 児玉 敏雄 、電気事業連合会会長 勝野 哲 三菱重工業株式会社代表取締役社長 宮永 俊一 )から2つの議題に対して、以下のような発言があったされていました。

その発言で特に私の印象に残っているものは、
• 我が国が、今後も引き続き、核燃料サイクル政策を継続し、高速炉の実用化を確実に推進していく上で、どのような道筋がより合理的なものであるのか、この高速炉開発会議において御議論いただき、特に、実証炉の実現に向けた道筋について、しっかりと具体化していただきたい。また、その中で、「もんじゅ」や「常陽」、その他の研究施設、設備がどのような貢献ができるのかなどについても、あわせて御議論いただきたい(議題1:高速炉開発の意義と国際動向について)。
• これまで、基礎研究から高速実験炉「常陽」、プルトニウム燃料製造、さらに高速増殖原型炉「もんじゅ」による、高速炉プラント技術、MOX燃料関連技術、ナトリウム取扱い技術などの技術開発を通じて、将来の高速炉の実用化に不可欠な様々な知的、人的資源を創出、育成してきた(議題2:高速炉開発のこれまでの経緯と教訓について)。

このような高速炉開発会議は、国民世論が高速増殖炉廃止を求める中で、これまで以上に高速増殖炉開発を推進していくための会議であり、私から見れば最初に結論ありきの大本営のやり方にほかなりません。
何故なら1991年にドイツ高速増殖炉開発が公式に停止された後、その検証もされず開始された無謀とも言える日本の高速増殖炉開発は、ドイツで予期されたトラブルが再現され続け、22年間で国民の血税が1兆円以上使われてきたにもかかわらず、その反省もなく推進者だけの議論でさらなる推進が目論まれているからです。

2010年出されたドイツ最大の環境団体ブンドのレポートは未だに日本などで推進されている高速増殖炉を取り上げ、危険性とリスクについてケルンにある著名な第三者機関のKATALYSE環境研究所の報告に基づいて次のように述べています。
スーパーガウ(大事故)の影響面積規模は従来の軽水炉ものに比べ2倍から5倍に達し、最大270万人が死亡し、260キロに渡って猛毒プルトニウムがばら撒かれ、大地や水の汚染で人が住めなくなるだろうと予測しています。
また2008年7月11日のシュピーゲル誌を引用し、「核兵器や非人道的爆弾を求めるテロリストに対して高速増殖炉建設は、誘惑的展望を提供する。(爆発で)放射される放射能は短期に大地や海に運ばれる」と警告しています。

自然エネルギーへのエネルギー転換が推進されるドイツでは、コスト的にも風力発電太陽光発電原発製造電気より明らかに安くなって来ているにもかかわらず、莫大な血税を使って反省もなく、猛進する日本の高速増殖炉開発の焼け太りは何でしょうか、それに対して国民議論を切に求めます。

2016-11-13

(306)世界の官僚奉仕を求めて第16回官僚奉仕の切札は太陽(11)官僚支配が産みだす利権構造(私の見た動画8『核燃料サイクルの止められない理由』)・トランプ勝利が象徴するもの



日本が明治に専制国家ドイツから学んだ帝国主義の官僚支配は、既に何度もこのブログで述べたように、日本を議会決定に依らず政令によって猪突猛進で突き進ませて来ました。
そこには無謬神話が作られ、官僚全体の関与する稟議制で責任の所在が曖昧にされてきました。
しかも官僚支配にはブレーキがなく、アクセルだけを踏み続けるため、国家発展がクライマックスに達するまでは驚くべきスピードで猛進すると言えるでしょう。
そして国家発展が肥大してクライマックスに転じた後は、国内では財政赤字が肥大するにつれて海外進出拡大が求められます(戦前は海外への侵略でした)。
企業の海外進出では企業活動を守るために軍隊を必要とし、今平和憲法が憲法改正によって葬られようとしているわけです。
過去においてそのように日本を破滅に向けて突き進ませたのは、動画5『公共放送が検証した日本帝国主義』で見るように、肥大した政官財の利権構造に他なりません。
そして現在では、大多数の政府官僚たちさえ過ちと認める核燃料サイクル計画が、莫大な血税を無駄にするだけでなく将来国民の命を脅かすことが明らかであるにも関わらず、一旦動き出した政策はフィルムで見るように、現行の官僚支配制度の下では最早止める手段がありません。
それは一旦出された政令が機能し始めると、原子力委員会委員長代行鈴木達治郎がいみじくも断言するように、(利権構造によって)強固な利害関係が築かれているからです。
すなわち官僚支配(政令)の産みだした利権構造は、ドイツのホロコーストでも見られたように、官僚指導層の命令でも止まらなくするからです(アイヒマンの上官ヒムラーはドイツ敗戦が明白になると、戦争犯罪を恐れてホロコースト停止命令を出しましたが、停止されないだけでなく拍車を駆けました)。

そのような利権構造が今日本だけでなく、世界の官僚支配の国々(情報が公開されず、実質的に行政訴訟が機能していない国々)で過ちへの暴走へと拍車をかけ、政治腐敗のなかで困窮する人々は、ナチズム国家社会主義)を再び求め始めたと言えるでしょう。

まさにトランプ勝利は、それを象徴しています。

2016-11-06

(305)世界の官僚奉仕を求めて第15回官僚奉仕の切札は太陽(10)官僚奉仕を希求した官僚の遺言(私の見た動画7『核を求めた日本』)



上の私の見た動画7では、元外務事務次官村田良平が亡くなってから半年後2010年10月3日に放送されたNHKスペシャル・スクープドキュメント「核を求めた日本 〜被爆国の知られざる真実〜 」を村田良平の証言に絞って載せています。
村田良平氏の「核密約(60年の日米安保条約改定の際核兵器を搭載した米艦船の日本への寄港や領海通過を容認する条約)」公表(2009年)や、NHKのインタビューで68年当時日本が核保有を求めて西ドイツへの共同開発要請の証言は、私には戦後も国民無視の官僚支配が継続していることへの警鐘に見えました。
しかも亡くなる一ヶ月前のNHKインタビューでは、「永久にごまかし(核密約)がやみの中にきえちゃたと思いますよ」、「日本において核に関する真剣なまじめな、しかも実態の脅威を頭に入れた議論を巻き起こすべきなんです。日本の中で」、「どうすれば核があっても意味のない世界が作れるかという勉強は進まないままに来ちゃいましたよ、はっきり言って。要するにタブーだという現状が今日まで続いているんだと思いますよ」と述べています。
その言葉には、村田氏がドイツとの交渉、さらにはドイツ大使を歴任してドイツから学んだことが滲み出しているように思えました。
すなわちそれは、ドイツの官僚高官たちが「独自には決断できない」と述べるように、国民議論を最優先する官僚奉仕の民主国家への指向に他なりません。

しかしそのような指向は、村田氏の若人の遺言したと言われる著作『何処へ行くのか、この国は』には見られず、以下のような核保有を確信する著者の持論が語られています。

「私は、日本が英国あるいはフランスと類似の、潜水艦(核弾頭を備えたクルーズ・ミサイル)による極めて限られた事前の核抑止力を保有するのが正しい途であり、米国核の傘への信頼は、最終的に北朝鮮の核の保有を暗黙のうちに認めたことによってすでに地に落ちている以上、独自の核抑止力を持つとの日本の要請を米国も拒否できない日が、それ程遠くない将来到達するかもしれないと思っている(220ページ)」

もっとも冒頭第一章で村田氏は、うやむやにされて来た戦争責任について述ており、(本来責任のある)各省の高官も一兵士より高い恩給を受けていることを批判し、過去の戦争の可能な限り客観的な事実の確定と経緯の分析を推し進め、責任を明らかにしていくことを訴えていました。
そうした視点で見れば、村田氏の胸中では官僚支配を正当化する思いと、責任の所在を明確にする官僚奉仕への思いの葛藤が垣間見られます。
そして亡くなる1ヶ月前のインタビューでは、持論である限定的核保有論さえ国民議論に委ね、官僚支配の専制国家からドイツのように官僚奉仕の民主国家への遺言が、私には聞こえて来ます。