洛北孫子亭通信−亭主消息

2016-06-19 徒然に:本の紹介など

5月1日〜5日の古本祭で購入した以外の入手書籍をピックアップ↓

お世話になりっぱなしの関西学院大学・中谷功治先生の博士論文。地道な実証研究の蓄積で、このような手続きを常に手本としていたいものであります。

編者の1人である大谷栄一先生は大変お世話になっている方で、5月12日に心斎橋ジュンク堂で行われた講演会後に購入、サインを早速にいただいたものであります。

ローマ帝国の東西分裂

ローマ帝国の東西分裂

南雲さんのデビュー論文が収録されていないのは、個人的に(極めて個人的に!)残念ですが、それはさておきまして、ローマ帝国東西分裂期の政治史を、当該時期の、皇帝を除く主役たちの分析の蓄積によって解明していくという内容。

編者である豊田浩志先生の西洋史学会でのお話があまりにも面白く、その勢いに押し切られる形で購入してしまいました。ただし、動機はさておきまして、これは歴史の研究入門として極めて有益な一冊です。おそらくは、いわゆる西洋史以外の分野の人にとっても。

年明けから今に至るまで日本で出版された本の中で、おそらくこれが一番の収穫です。それだけに内容紹介等には慎重でありたいと思います。一言だけ。この研究の成果とヘレニズム時代史との間をどのように調整していくか、大きな課題を示した一冊と考えます。

編者の1人、アレックス・マコーレーはエディンバラ時代、アースキン先生門下で机を並べた人間。当時から頭の良さと活発さが際だっていました。そのころから一貫してセレウコス朝の王家の系譜解明という課題を扱っておりまして、その成果の一端が出た形と思います。この本と私の研究を付き合わせて考察をしなければなぁ、と思っているところにアレックスから「貴君の評価を求む」と挑戦状が届きまして、いま慌てふためていているところです。

2016-06-05 西洋古典学会参加記

※6月19日更新

昨日からの2日間、大阪大学で行われた西洋古典学会に参加してきました。先月の西洋史学会では、古代史の個別報告はローマ史に集中していたのですが、その分・・・と申しましょうか、古典学会ではギリシア史・ヘレニズム史の報告を多く聴くこととなりました。特に本日最初の報告がヘレニズム時代のロードスに関係したものということもあり、報告前・後にわたり、報告者も交えての意見交換が活発に行われました。そういえば古典学会で初めて質問をしたのですが、自分の所属の名乗りをする際に、我ながら感慨に耽ってしまいました。肩書きだけとはいえ、母校を離れたのだなぁ、と。

昨日は若手研究者バックアップ事業の一環という位置づけで、ポスター発表の時間が設けられまして、修士課程在籍者のものも含め、3本の報告を聴きました。西洋史学会で最初にポスター発表が実施されてから少し時間が経ちましたが、このまま定着するのかな・・・とも思います。

会場で購入したのは、こちらの一冊↓

西洋史学会に比べてブースはさほど充実していませんでしたが、こちらの商品はあっという間に完売していました。

2016-05-22 充実怒濤の西洋史学会

西洋史学会出席のため、東京三田慶應義塾大学に足を運びました。実は慶應に行くのはこれが初めてのことであります。

2日間の日程の初日である土曜日、当初予定では午前中は神保町でゆっくり、午後に悠々と三田に向かうはずが、旅仲間のはるこ先生が古代オリエント博物館の特別展「世界の文字の物語ーユーラシア 文字のかたちー」の関連企画、

「文字のシルクロード:西アジアから東アジアへ」

の情報を流してくれたために、事情が一気に変わりました。4人の講師によるリレー講演だったのですが、そのうちお一人が東海大学の春田晴郎先生ということで、「これは聴かねば」となりまして、日程が強行軍になってしまいました次第。午前10時半頃に会場入りしてじっくり特別展を見て回り、午後ははるこ先生と合流して講演会を聴講、そして途中で抜け出して三田に駆けつけ、公開講演(後半)と懇親会に合流・・・というドタバタの一日となってしまいました。ただ、慌てただけの価値はありました。まずオリエント博物館の方ですが、展示・講演ともにとても面白く勉強になるものでした。講演会が大盛況過ぎて、会場が完全にパンクしていたのは主催者側の予測を超えるところだったらしいのですが、これは嬉しい誤算というところでしょう。そして慌てて駆けつけた三田の西洋史学会では、東京大学の鈴木董名誉教授の講演がとてつもなく面白く、ずっと笑いながら聴講していました。

2日目の日曜日は部会および各シンポジウムの後に行われた「若手歴史家ワークショップ How to get published〜博論から英語モノグラフへ〜」に少しだけ顔を出しました。主催者の山本浩司さんなど、エディンバラ時代の友人が何人か参加していたため、久闊を序することが主な目的でした。博士論文を出して活字として世に問う、というのは日本でも一大事業ですが、これを日本人が欧文として出す、となるとさらに難度が上がります。この点に関する意見交換会を、という趣旨のものでしたが、残念ながら本当にさわりだけで中座せざるを得ませんでした。

とまれ2日間、思いもかけず2週連続の東京行となりましたが、おもに旧知の人々との再会を軸に、充実した学会でした。

2016-05-15 初・東博&旧友たちとのひととき

5月28日アップロード

夜行バスにて東京について、夜行バスで戻る。昨日一日は、そんな日でした。東京弾丸ツアーのそもそもの原因は、エディンバラ友のすーこさんから「エディンバラ会」の招集状が来たためです。こういう誘いが来た時、私は自分に拒否権を認めていませんので、自分の健康その他諸々一切無視の強行日程を組んでしまった次第。

さて、せっかく東京に行くのに夜の酒宴だけでは勿体ない、ということで上野東京国立博物館で行われている特別展「黄金のアフガニスタン−守りぬかれたシルクロードの秘宝−」を見学してきました。実は東博に行くのはこれが初めてのこと。これまで行ったことがない最大の理由は、上野に行くと必ず長蛇の行列ができているため。今日も9時に現地に行ってみると順番待ちの列が少々。舌打ちして案内を見てみると、何のことはない、開館待ちの列でした。その点を勘案すると、並んだうちにも入りません。まして今日は特別展が2つ、順番待ちの殆どはもうひとつの特別展が目当ての人々、アフガニスタン展の見学者は列を作る必要もないくらいしかおらず、おかげでゆっくり見て回ることができました。さて、この特別展はアフガニスタンからの流出文化財返還することを記念しての催しということで、

『今返して、大丈夫かな・・・』

という不安がやはりぬぐえません。とはいえ、先進国の方が安全とはとても言えないことは、第2次大戦時のベルリン攻防戦でおびただしい数の貴重な文化財が灰燼に帰した前例が教えてくれるところであります。今は彼の地の平穏を祈ろう、と思いながら珠玉の展示会を駆け足で見て回りました。

このあと夜まで時間があるところですが、東京にいる盟友を喚んで、上野一献傾けました。彼の御仁と会うのは留学前に一度会って以来ですので、6年ぶりのことです。これで飲みすぎまして(苦笑)、夜の「エディンバラ会」に遅刻するという失態。エディンバラ時代に日本人留学生の輪に加わってよく遊んだ中国人留学生ジェームズが日本で就職したため、一度集まるべしという趣旨でした。楽しいひとときでした。

2016-04-30 海域アジア史研究会報告

5月7日更新

午前中は、関西大学SGHの卒業研究報告会を傍聴してきました。昨年度後期は、毎週一度は高槻に足を運び、生徒たちの卒業論文の指導、と申しますか相談に乗っていたのですが、よく寄せられた生徒の声が

「資料がなくて…」

いやいや、そんな莫迦なことはないのだが・・・と思う一方で、その都度、その時点での職場での応対を思い浮かべては考え込んでしまう、そんなことを繰り返しておりました。

午後は待兼山へ。大阪大学で行われた海域アジア史研究会の4月例会での報告の機会をいただきました。これもなかなか、というところでありまして、「海域アジア」という研究会の名前から知れる通り、出席者はほとんど東アジア史の専門家ばかり。そのような中に

「アッタロス朝ペルガモンの王権と大祭壇」

などという題目の研究報告を抱えて乗り込む気分といったらもう、自分が報告者であるにもかかわらず、目が点でした。まず私の分野になじみがある人が少なかろう、というので最初に時代状況の整理と研究傾向をざっと紹介してから報告をすると、およそ想像もしないくらいに質問が雨あられ、アドバイスも山のように、という状態。結論としては

東南アジア史を勉強してください」

というビックリ仰天な、しかし貴重なご意見をいただいた、他流試合の一日でした。