出発までの道のりは準備でバタバタで、やり残したことがないか確認に追われて過ぎていった。ギリギリになってから要請が来る手続きも多く、間に合うかどうかと慌てた。それでも、渡航日が来たら娘は本当に旅立って行って、今は遠い空の下にいる。何だか夢を見ているようだ。 準備をしているときはいっぱいいっぱいで気が張っていたから、さびしくなると言われても実感はなかった。それより事故や事件に巻き込まれないことを祈るばかりだった。親元を離れて遠い知らない国で、初めてのこと、大変なことにぶつかることも多いだろう。親元にいたときは当たり前だったことが当たり前じゃないこと、便利なことが当たり前じゃないことを知るだろう。自…