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2018-12-16 光あるところに影がある このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

貧民の帝都 (文春新書)

貧民の帝都 (文春新書)


明治開化 安吾捕物帳』で東京の貧民窟を舞台にしてるものがある。

東京にはかつて芝新網町上野万年町、下谷山伏町、

板橋岩の坂、四谷鮫河橋など貧民窟が多々あったそうだ。

上野万年町は唐十郎下谷万年町物語でおなじみか。

詳しく知りたくなって『貧民の帝都塩見鮮一郎著を読む。


白土三平原の忍者漫画「サスケ」のアニメーション

冒頭のナレーション「 光あるところに影がある」

というのがあるが、まさにそういうこと。

ミシェル・フーコーが『狂気の歴史』で精神病院を、『監獄の誕生』で刑務所を

テーマにしたが、病人と犯罪者は収容、隔離されなければならない。


裏歴史をさぐることで

社会や国家、政治の背景、影を知ることができる。

明治新政府のいきあたりばったりぶり。

そりゃいきなり土地勘のない東京に来たわけだから。

オリンピック開催が決まるとその都市が急場しのぎで

スラム街隠蔽するのと同じ考え方。


失職した武士から女性、子どもまで

路頭に迷う貧民でごったがえした東京

その惨状、窮状ぶりから

救いの手を差しのべた民間人。

時系列ではないが、賀川豊彦救世軍山室軍平

実業家渋澤栄一石井十次などなど。

養育園、育児院などの変遷が

ゲニウス・ロキ的に興味深い。

それらの施設は病院などで現存しているものも多いことを知る。

ボランティアクリスチャンが多く、

キリスト教の布教の一環と訝れるかもしれないが、

何もしてくれない役所などよりは全然ましだろ。


ポイントポイントに掲載されている

写真や地図が脳内タイムワープを後押しする。


この本を読むと何か日本の、東京の近未来と

重なるような気がしてならない。


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2018-12-14 御歳暮代わりに今日の5首 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

不在通知の御歳暮 再配達かと思ったら 「幸せですか?」の女(ひと)だった


路地も横丁もなくなる再開発 化けて出るところがないと嘆く 幽霊ら


エスカレーター式で 名門私立を出て リストラ エスカレーターを拭く日々


お爺さんは一人ネトウヨ活動 お婆さんは日帰りバス旅行で命の洗濯


忘年会 暴年会 望年会 謀年会 防年会 さて、どれにマルする


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2018-12-12 一雨ごとの このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

文豪怪談傑作選 芥川龍之介集 妖婆 (ちくま文庫)

文豪怪談傑作選 芥川龍之介集 妖婆 (ちくま文庫)


意外と長くやや本気で降った雨。

一雨ごとの寒さかな。

企画をまとめる。


『文豪怪談傑作選 芥川龍之介集 妖婆』東雅夫編を読む。

芥川は小・中に読んでそれ以来。

古今東西、小さい頃から根っからの怪談好きという視点から

とらえたこの本を読むと、まったく新しい芥川が浮かんでくる。

発売直後の『遠野物語』の数少ない愛読者の一人。

怪談を自ら熱心に蒐集して編纂した『椒図志異』。

今なら都市伝説

芥川今昔物語などをリミックスして話をつくった。

古い話だから新しくない。んなことはない。

新しい話でも古臭いなんてものはいくらでもある。

『死後』という掌編は、星新一ショートショートみたいだし。


その当時、マンガが小説よりも盛んだったら、

絵心のある作者は怪奇幻想漫画家になっていたかもしれない。


江戸末期、京橋川大根河岸あたりに河童がいたとか。

鵠沼海岸へ蜃気楼を見に海水浴に行った。

ゴーギャンの画集を見ていた。

ポーは原書で読んでいたのかな。

内田百間(けんの字が変換できないはてな)『冥途』、

評論家には評価が低かったみたいで

その良さを述べているが、実に的確。

これはいまも同じだろう。

大正時代は「怪談黄金時代」だったそうな。

大正デモクラシーは知っていたが、大正ホラーとは。


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2018-12-09 「UN-GO」とは 俺のことかと 安吾言い このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント


日本探偵小説全集〈10〉坂口安吾集 (創元推理文庫)

日本探偵小説全集〈10〉坂口安吾集 (創元推理文庫)

原稿用の金融関係の本を濫読する。

合間に読む本とのギャップが楽しい。

枯葉が冷たい風で舞っている。


『日本探偵小説10 坂口安吾集』より『明治開化 安吾捕物帳』を読む。

選りすぐりの9編だそうだ。

主人公の探偵と彼の取り巻きと後見人、知恵袋、

勝海舟安楽椅子探偵ぶりを発揮する。

キャラがきっちりしているので量産は可能だろう。

さほど期待せずに読んだら、これがよくって。


安吾の探偵作家としての手替え品替え、引き出しの多さが意外。

当時の世相と男女の愛憎や時流に乗れたか乗れないかで

立場が逆転する。私怨や出世欲などが殺意となる。

江戸東京の光と影。

新しい文化と古い文化。

落語のような文体が数々の殺人を通してカオス明治時代を炙りだす。


これ、ドラマにいいじゃんと思って検索したら、

ノイタミナアニメになっていた。びつくり!

アニメ「UN-GO」公式サイト

D

1話だけ見たが、明治ではなく近未来の日本が舞台になっている。

キャラを借りた新作。

UN-GO」にBを足すとBUN-GOになる。


てなことで『明治開化 安吾捕物帳』の残りの作品を読むことにする。


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2018-12-07 ぼっちホラー このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント


D

余りにも評判がいいので『へレディタリー 継承』を見る。

誰か誘おうとしたが、断られたので一人で。ぼっちホラー。

夜、見るのは怖いので午前中を予約。

封切間もないのにさすがに平日朝8:50の回はガラガラ。


怖い、キモい。でもよくできている、

シークエンスも、登場人物も、ストーリーも。

できるだけネタバレしないように感想を。

冒頭、祖母、母親の実母の葬儀から始まる。


愛しているが、愛せない。でも、愛している。

ヤマアラシのディレンマの典型的な家族。

最初に起こしたアクションが後半につながってくる。

そうか、そうきたのか。

母親の表情が百変化、それに引きかえ娘は能面のように無表情。

大学教授の父親はインテリゆえオカルトを認めない。

はじめは平凡なバカ息子が…。


エキセントリックな血は祖母、母親、娘に流れているのかと思ったのだが。

悪魔崇拝つーか反キリスト教主義か。

霊媒師、降霊、こっくりさんなどオカルトのお約束を踏まえつつ。

最後のシーンはゴヤの絵とかウィリアム・ブレイクの銅版画のよう。


ずっと流れている低ノイズの音楽がじわじわくる。

視覚や聴覚につべこべ言わさず入って来る。

よくできたお化け屋敷に入ったような気分。

娘の癖である舌打ちの音が夢で聞こえそう。

シャーリー・ジャクスンあたりが好きな人なら、ぜひぜひ。

これで監督デビュー作とは。高い完成度。


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2018-12-05 火を見るよりも明らか このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

火の書

火の書


『火の書』ステフェン・グラビンスキ著 芝田文乃訳を読む。


火をテーマにした短篇集とエッセイとインタビュー集という

ファンにはたまらない一冊。

ホフマンオールドファッション

ポーやスティーヴンソンが贔屓。ってことを知る。


インタビューで幻想小説をこう定義づけている。

「幻想作品は一種避難所、不幸な人々や運命に恵まれない人々、

ひどく失望した人々のための慰めの聖堂なのです。―略―

最後に幻想小説とは、日常生活の機械化と無味乾燥に対する

夢の反応であり、日常生活の散文に対して反逆する魂の反応なのです」

けだし、名言。

だから、幻想小説が好きなのか、オレは。


短篇で気になったことを。

『赤いマグダ』のヒロイン・マグダ。

『炎の少女チャーリー』や『キャリー』に通じるものがある。


『白いメガネザル』

煙突掃除夫と煙突に巣くう謎の生物との戦い。


『火事場』

油断大敵なブラックコメディー。


かつて住んでいた街で放火が相次いで起きた。

新築物件が焼けたときの赤色は

夜中、マンションの窓越しに見ることができた。

数週間後、駅の反対側、古い戸建住宅の半焼したさまを

見物に行ったら、結構にぎわっていた。


『ゲブルたち』

ゾロアスター教精神病院の隆盛記。

一種マッドサイエンティストものか。


そう言えばゾロアスター教拝火教とも呼ばれ

密教護摩なんかに影響を与えたことを思い出す。

火は時には災難を起こすが、暖やおいしさ、癒しを与える。

火を使うことで人は動物に優位に立てるようになった。


グラビンスキは『動きの悪魔』では蒸気機関車を。

本作では消防自動車を取りあげているが、

メカニズムフェティッシュなんだろな。


火鍋で火酒をあおってヒヒヒッと笑おうと思ったが、

気温が高い。


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2018-12-03 不連続 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

日本探偵小説全集〈10〉坂口安吾集 (創元推理文庫)

日本探偵小説全集〈10〉坂口安吾集 (創元推理文庫)


12月らしい寒さの日曜日、

去年出遅れて買えなかったクリスマスケーキの予約をする。

ついでにエクレアも。


『日本探偵小説10 坂口安吾集』より『不連続殺人事件』を読む。

安吾って高校の時『堕落論』を読んで以来。

『不連続殺人事件』は映画で見て読んだ気になっていた。

『桜の森、満開の下』も同じ。

内田裕也が探偵かと記憶していたけど違った。小坂一也だった。

予告編を貼るが、コスモスファクトリーの音楽が良かったのも覚えている。

今となっては古典なので途中で退屈するかと思ったら、

出て来る人物がみな怪しくて。

悪い奴ほどよくしゃべるの典型

エロ、グロ、デカダン。会話の妙に感心する。

「名探偵・巨勢博士」は、最初は聞き役に徹して影が薄いが、

最後に橋田寿賀子ばりの長台詞で犯人を解明する。

って、劇場版『名探偵コナン』を思わせる。

途中に作者が犯人を当てた読者に賞金を進呈する件も

当時は話題になったのだろう。

もったいつけた文体がなかなかよろしい。

単行本で出たのが昭和23年

コンテンツとしては劣化していないので

再映画化してくれないかな。

都築道夫による解説『安吾流探偵術』が

世界を深めてくれる。

D


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2018-12-01 断ち切れないルーツ このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント


『あの頃、天皇は神だった』ジュリー・オオツカ著 小竹由美子訳を読む。

『屋根裏の仏さま』ジュリー・オオツカ著

レビューでぼくはこう書いている。

「日本人がいなくなった町の記述で終わる。

ここで。砂漠の強制収容所での「わたしたち」の暮らしも

読みたいけどね」


この本にそれが書いてある。

こちらの方が先に刊行された。

デビュー作が絶版となったので新訳で。


日本がハワイ真珠湾に奇襲攻撃をかけた日から

アメリカでは日系人は敵とみなされるようになった。

まだ敵ではないか。

アメリカか日本か精神の踏み絵をさせる。

大人の男性は逮捕され、日系人家族は否応なしに

砂漠などの強制収容所に移送される。


ルーツは日本であっても

暮らしているのはアメリカ

一世と違って二世はほぼアメリカ人だろう。

それが突然、人並みに生きる権利を剥奪される。


この本は日米戦争が勃発して強制収容所に移送する前、

移送中、強制収容所での過酷な暮らし、

戦後再び暮らしていた家に戻る日々と

時系列による5本の短編が収めてある。


『あの頃、天皇は神だった』では

日本人の証拠と見られるものを母親が焼き払う。

手紙、写真などなど。


ちょっと引用。

「戦時転住局は、それぞれに鉄道運賃と25ドルを現金で

持たせて自宅へ送り返した。―略―25ドルというのは、あとで

知ったのだが、刑務所から釈放される犯罪人に渡されるのと

同じ額だった」

(『よその家の裏庭で』)

周囲の人々には冷たい扱いを受け

母親は職探しに苦労する。

強制収容所にいた間、貸していてすっかり荒れた自宅は

「よその家」に思える。

幸いにも父親は無事帰って来るが、恐らくPTSDなのだろう。

子どもたちからはやつれて精彩がなく別人に見える。


勇猛と言われた日系人部隊だが、

強制収容所にいる家族のために、名誉のために

自分のルーツである日本と戦うことは、

ダブルバインドだったわけで。


連行するFBIや警察官、陸軍軍人などは

象徴的に記されている。

大きな圧力、黒い影として。

何やらこのおぞましい影が

世界のあちこちで見え隠れしている。


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2018-11-29 アナーキーが、お好きでしょ このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント


『何ものにも縛られないための政治学栗原康著を読む。

いつもながらのいつもの文体

根拠のないアジテーションならば読む気になれないが、

通常の政治学者ならば知識をチラつかせながら高尚なことを

言うんだけど、作者はサービス精神が旺盛なのか

徹底的にエンタメ化して読み手をあおる。

ネタでもベタでもどっちでもいいんだけど。

何冊か読んだが、そろそろこの文体でなくてもいいだろとも思う。

ぼくが10代の頭の悪い大学生ならばすっかり感化されて信者となって

友人やガールフレンドに押し売りしているかも。


いま政治ってさ、ウヨクサヨクリベラルの二項対立のようだが、

本当はウヨクサヨクリベラルの三極、三すくみだと思う。

サヨクリベラルは違う。

くわしくは知らないが、サヨク大きな政府で高負担の税金

お上に面倒見てもらう。

リベラル小さな政府税金は抑えて面倒は見ないが、

勝ち組になれば人生を謳歌できる。

だから右も左も蹴飛ばして離脱せよと作者は言う。

エクソダスもしくはデラシネのすすめ。

作者の論考のネタ元というか範とすべき先達の紹介が役に立つ。


バクーニン曰く「国家は永遠の虚偽である」。

しみる。年金制度を国のオレオレ詐欺と言っていた人がいたが。


作者曰く「コミューンは友だち、だいじってことだ」。

共同体」なんてもっともらしく訳されているから誤解される。

友だちサークル。野郎ばっかだとホモソーシャル

だからこじれると厄介。連合赤軍のリンチ事件とか。

仲良しは永続ではないしなあ。


マルクスエンゲルスの論敵、マックス・シュティルナー

ゲバルト女史、ルイ・オーギュスト・ブランキ

わわわわぁと言わないクロちゃんクロポトキン

宇部炭鉱米騒動」のアナーキーさぶりはすさまじい。

日本、日本人じゃないみたい。


このガチ感、マジ感って誰かに似ている。

神田松之亟だ。

腐し加減、ひりつく感じが。

作者の『死してなお踊れ―一遍上人伝』は、

松之亟アレンジで講談にしたらさぞかし面白いだろう。


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2018-11-27 最近のヘビロテ このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント


原稿を書く。

なんか気に入らない。

悪魔が囁く。

「もうこれでいいんじゃないか」

天使が囁く。

「本当にこれで終わり。そんなもん」

とりあえず1本は書き直すことにした。

悪魔が囁く。

コスパ、考えないのか」

天使が囁く。

「1本だけか。他はいいのか」

悪魔が囁く。悪魔が囁く。悪魔が囁く。

あれ、どうした、悪魔は。

「早着替えがしんどくなって」


てなことで、YouTubeから最近のヘビロテを。

D

ドラムが上原裕、ベースが寺尾次郎、で伊藤銀次が加わったSUGAR BABEの STUDIO LIVE。

エアチェックをアップされているのだが、いいんだ。

おなじみの曲のアレンジが変ったり、ほんとにいい出来。

『こぬか雨』の山下、大貫、村松のコーラスにしびれる。


D

今の季節にぴったりな濡れちゃう楽曲。のんちゃんがマジ女優演技でみせる。

大人の事情とはいえ、映画やテレビで見れないのはなんつーか残念無念。

D

知世ちゃんの歌う「ジョバンニ」の一節だけでもっていかれる。

作詞は高橋久美子。元チャットモンチーのドラマー。彼女のタイコ、好きだった。

D

名曲セルフカバー。なんとロカビリー。これがカッコイイ。小西康陽プロデュース。どおりで。

ウゴウゴルーガ』のエンディング曲で番組内でライブ演奏を見た。雪が降っていてドラマチック。

これも探したけど見つからなかった。


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