虚構の皇国 blog このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2015-12-31

2015年のお仕事などまとめ

多忙のため年賀状を今年は出せなくなってしまいましたので、お世話になった皆様へのご挨拶もかねてまとめてみました。*コメント、インタビュー類は省略しました


能川元一+早川タダノリ『憎悪の広告』(合同出版、2015年)

さまざまなメディアで流され、私たちの生活のなかで「日常化」し「慣らされてきた」、「愛国」&「嫌中・嫌韓イデオロギー

1993年の「朝鮮半島危機」を出発点とし、これまで20年以上にわたって繰り出されてきた憎悪と妄言の数々を、新聞広告を通じて浮き彫りにします。

憎悪の広告

憎悪の広告


朝日新聞でミニ特集記事をつくっていただいたのをはじめ、各種メディアで取り上げていただきました。またラジオや書評で触れていただいた津田大介さん、西田藍さんをはじめとする皆様にも御礼申し上げます。



早川忠典『"神国"日本荒唐的决战生活:广告、传单、杂志是如何为战争服务的』(胡澎译、生活·读书·新知三联书店、2015年)

『神国日本のトンデモ決戦生活』の中国語版です。中国で買って頂いた方からは「カバーデザインがかっこいい」「本文レイアウトがとてもおしゃれ」などの評価を頂いています。しかし!実は現物がまだ私の手許に届いていないのであります。担当編集者の話によると、中国国内では今年の「解放70周年」で抗日戦争本はそれなりに刊行されたそうですが、戦時下日本がどのようなものであったかについての本は皆無で、「その意味で本書はきわめて異色」だったそうです。

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日本語版をNHKラジオ第一「すっぴん」で高橋源一郎さんに紹介していただきました(こちらから聞けます http://www.nhk.or.jp/suppin/kokugo.html)


神奈川新聞「時代の正体」取材班『時代の正体――権力はかくも暴走する』(現代思潮新社、2015年)

『神奈川新聞』が渾身の力を込めて送る特報連載「時代の正体」を集大成。ネットで話題になった松島佳子記者の沖縄辺野古ルポ「対立の島から」、日本会議メンバーへのインタビューや川崎ヘイトスピーチ・デモへのカウンターに密着したルポなどを収録。安保集団的自衛権、米軍基地、ヘイトスピーチ、歴史修正主義など戦後70年の重大問題に焦点をあて、SEALDsをはじめ、内田樹小林節、猿田佐代、想田和弘、高橋源一郎、高畑勲辺見庸ほか各氏へのインタビューを収録。やる気のあるマスコミはひと味違います!


神奈川新聞「時代の正体」にインタビューされた記事が掲載されました。制作も少しお手伝いしています。3刷までいったそうです。すごい。


新聞連載「日本スゴイ!自画自賛の系譜」(配信記事)

通信社の配信記事なので、掲載紙が送られてこないんですよね―w ということで、ホントに載ってたかどうかはtogetterでまとめてくださった方に教えてもらいました まとめ記事はこちら

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現在、単行本化をめざして大幅加筆中であります。来年早い時期に『「日本スゴイ!」のディストピア』(仮)として某出版社から刊行予定。


週刊金曜日連載中「昭和の愛国ビジネス」

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1年間の予定だったのですが、好評ということで延長決定。もう15回になりました。こちらはまだ単行本化の予定はないので、出版社の皆様、いかがでしょうか。


すでに2016年の出版企画もいくつか動き出しています。2016年もお楽しみに!

2015-12-26

 KKベストセラーズのアレな「日本」本 1995年から2015年 (早川調べ)

パワハラで話題のKKベストセラーズ、かつての草思社と同じく、「愛国」本や「ヘイト」本に手を染めるのは出版社としてダメになってきたからではないか仮説を検証するために、この20年で出したアレな「日本」本をリストアップしてみました。国会図書館のデータから「日本」のキーワード+出版社名で検索し、アレっぽいものをチョイスしたものです。

リストはほかの出版社も作ったので、時機を見て公開いたします

神道経済救国論 : 真正なる日本の国造りが始まる、中矢伸一、1995

中国漢字と日本漢字 : 同じ漢字がなぜ通じないのか? 両国の違いが見えてくる本、志田唯史、1995

新渡戸稲造美しき日本人、岬竜一郎、1995

「軍事大国」日本の行方 : アジアの軍事情勢と日本の安全保障を考える、江畑謙介、1995

北朝鮮悪魔の祖国 : 日本人が知りえない驚愕の事実、朴甲東、1996

いま蘇る縄文王国の全貌 : 八世紀大政変に隠された東西日本の合併と破綻、関裕二、1996

日本人の伝説 : アメリカンドリーム 海の向こうの高い山へ、佐瀬稔、1996

日本が戦場になる日 : 東アジア、今そこにある危機、ガブリエル中森、1997

神霊の国日本 : 禁断の日本史、井沢元彦、1998

遥かなる戦旗 : 中立国日本の決断 : 新太平洋戦史、大村芳弘、1998

日本を救う最後の方法、三原淳雄、1998

こんな日本に誰がした、谷沢永一、1999

日本人よ、お金を使うな! : 健全な日本社会を創る処方箋、大槻義彦、1999

封印された日本創世の真実 : 古代ヤマト朝廷建国秘史、関裕二、1999

封印された日本史、井沢元彦、2000

ネット敗戦 : IT革命と日本凋落の真実、横山三四郎、2000

犯したアメリカ愛した日本 : いまなお敗戦後遺症、三浦朱門, 西尾幹二、2002

神霊の国日本 : 禁断の日本史、井沢元彦、2004

日本人を元気にするホンモノの日本語 : 言葉の力を取り戻す、大岡信, 金田一秀穂、2006

日本人の品格、渡部昇一、2007

日本人として大切にしたい品格の躾け、川嶋優、2007

いつまでも中国人に騙される日本人、坂東忠信、2008

日本は闇を亡ぼす光の国になる、中丸薫、2008

日本はなぜ神道なのか、中矢伸一、2008

開戦前夜 : 2012年以降、世界をリードするのは日本、中丸薫、2009

アジア発・世界平和は日本が興す : 闇の権力の逆襲に抗して、中丸薫、2010

日本を貶めた「闇の支配者」が終焉を迎える日 : 世界"裏"権力の崩壊からアジアの時代へ、ベンジャミン・フルフォード、2010

開運!日本のパワースポット案内、一個人編集部編、2010

まるわかり日本・中国・韓国の大問題、ゼロプラス、2011

日本人と中国人はなぜ水と油なのか、太田尚樹、2011

日本人の美質、坂東眞理子、2011

日本人だからできるアジアビジネス成功術、豊永貴士、2012

騙されるな日本! : 領土、国益、私ならこう守る、田母神俊雄、2012

日本を貶めた戦後重大事件の裏側、菅沼光弘、2013

古代日本人とユダヤの真実 : 日本はいかに天皇家を戴く神国となったか、中丸薫、ベストセラーズ

いなしの智恵 : 日本社会は「自然と寄り添い」発展する、涌井雅之、2014

満員電車は観光地(クールジャパン)!? : 世界が驚く日本の「日常」、サンドラ・ヘフェリン 原作,流水りんこ漫画、2014

日本に住む英国人がイギリスに戻らない本当の理由、井形慶子、2014

日本を恐れ、妬み続ける中国、黄文雄、2014

アメリカと中国はどう日本を「侵略」するのか : 「第二次大戦」前夜にだんだん似てきている、今、西尾幹二、2014

ブレる日本政治 : とてつもなく美しくない国へ、鈴木哲夫、2014

大東亜戦争で日本はいかに世界を変えたか、加瀬英明、2015

日本人が知っておくべき「戦争」の話、KAZUYA、2015

2015-11-22

[メモ]『市川房枝と「大東亜戦争」』と「告発型」

 進藤久美子氏の『市川房枝と「大東亜戦争」』(法政大学出版局、2014年)を落掌。高かったががんばって購入。

 その「序章」で進藤氏は「前向きの歴史解釈に向けて」として次のように書いている。

 まず上野千鶴子氏の『ナショナリズムジェンダー』における鈴木裕子氏への批判を以下のように要約する。

「たとえば上野は言う。戦前天皇制は絶対的に正しい価値であった。天皇制を悪とする価値は戦後つくられたもの、つまり歴史的に形成されたものである。明治以来の近代化の過程で、国民国家を確立することが最大の課題であった時代を生きた人物に、その「天皇制」国民国家を超えることができなかった、つまり「歴史的限界を乗り超えられなかった」ことを批判するのは、「歴史家としては不当な『断罪』ではないだろうか」。

簡潔に要領よくまとめてある。このまとめに続いて、進藤氏は次のように提起する。

「婦選運動家市川の戦時期活動の意味を問うとき、はたしてどのような視角から見た時、歴史家の「後知恵」としての「告発型」ではなく、未来に向かつてポジティブなかたちで、その戦争協力を読み解くことができるのだろうか」(19-20頁)

 上野の鈴木批判にはらまれた歪みが拡大されている感がある。

 疑問は、「戦前天皇制は絶対的に正しい価値であった。天皇制を悪とする価値は戦後つくられたもの、つまり歴史的に形成されたものである」というのはホントなのかという1点に尽きる。すでに「天皇制打倒」を掲げた日本共産党(非合法)の存在もそのイデオロギーも、無産婦人団体との共闘を追求した婦選同盟の市川が知らなかったワケがない。

 「天皇制打倒」の思想は同時代的に厳然として存在した思潮なのであって、「天皇制を悪とする価値は戦後つくられたもの」とは必ずしも言えないのでは。当時の先鋭的な運動家であった市川自身が「天皇制を悪とする価値」を選択しなかった――婦選獲得運動の戦略的・戦術的判断として。(このあたりの市川自身の戦略的構想が、のちに国民精神総動員中央連盟の委員として総力戦体制に食い込んでいくつまづきの石となったのではないか、というのが本書を読む前の私の仮説)――という問題であって、その選択を問うことが「歴史家の「後知恵」」「告発型」*などとされるのはどうにも納得がいかないわけなのですよ……。

*上野によるこのへんのレッテルは、90年代中盤に流行したセンスだと感じる。


2015-08-01

ヒゲ隊長と仲間たち

ヒゲ隊長の第23回参院選での支援団体はこちら。

隊友・郷友関連、さらに軍恩連盟・遺族政治連盟などに支えられているわけですね。「日本会議新潟県新潟支部」なんてのもある。

*元資料にあった誤植は訂正した。

佐藤正久後援会(絆の会)

宇都隆史後援会

佐藤正久を応援する会

佐藤正久と語る会

全国武の会

郷友政治連盟

隊友政治連盟(代表)

偕行社(代表)・水交会・つばさ会

父兄会(代表)・国防協会等

東北地区遺族会・軍恩会

自由民主党川口支部

熊本県防衛を支える会

新潟防衛問題を考える会

日本会議新潟県新潟支部

日本郷友連盟新潟市郷友会

東京都隊友政治連盟

埼玉県隊友政治連盟

埼玉県市議団協議会

日本郷友政治連盟

北海道隊友政治連盟

岐阜県防衛後援会

長野県防衛を支える会

群馬県隊友政治連盟

束葛偕行会

千葉県隊友政治連盟

佐藤正久を支える会栃木県支部

兵庫県郷友会・姫路郷友会

道東防衛議員連盟十勝支部

日本郷友連盟十勝郷友会

宮城県隊友政治連盟

秋田県隊友会

秋田県防衛協会

秋田県父兄会

秋田県自衛隊退職者雇用協議会

秋田県郷友会

秋田県英霊にこたえる会

栃木県防衛協会

山梨県防衛を支える会

佐藤正久を支える「遠州女性の会」

自由民主党愛媛県防衛協賛支部

長野県軍恩友の会

静岡県軍恩親睦会

愛知県軍恩親睦会

岐阜県軍恩連合会

軍恩連盟滋賀県協議会

京都府軍恩連盟

大阪府軍恩連盟

香川県軍恩連盟

愛媛県軍恩連盟

高知県軍恩連盟

長崎県軍恩連盟

鹿児島県軍恩友之会

自由民主党軍恩連盟石川県支部

広島県軍恩総支部

函館軍恩連盟

軍恩白根友の会

刈谷市旧軍人恩給会

大分県竹田市軍恩支部

兵庫県軍恩連盟

兵庫県宍粟市波賀町友の会

兵庫県軍恩友の会

全国軍恩連盟等連絡会

赤穂郡軍恩連盟上郡支部

宮城県軍恩連盟若出山支部

兵庫県宍粟市軍恩友の会

兵庫県宍粟市軍恩友の会

日本遣族政治連盟

日本遣族政治連盟青森支部

日本遺族政治連盟岩手県支部

日本遺族政治連盟秋田県支部

日本遺族政治連盟宮城県支部

日本遺族政治連盟福島県支部

日本遺族政治連盟山形県支部

日本郷友連盟道央郷友会

日本郷友連盟青森県郷友会

日本郷友連盟岩手県郷友会

日本郷友連盟宮城県郷友会

日本郷友連盟福島県郷友会

日本郷友連盟茨城県郷友会

日本郷友連盟栃木県郷友会

日本郷友連盟群馬県郷友会

日本郷友連盟千葉県郷友会

日本郷友連盟山梨県郷友会

日本郷友連盟東京都郷友会

日本郷友連盟神奈川県郷友会

日本郷友連盟静岡県五友会

日本郷友連盟富山県郷友会

日本郷友連盟石川県郷友会

日本郷友連盟滋賀県郷友会

日本郷友連盟大阪府郷友会

日本郷友連盟兵庫県郷友会

日本郷友連盟島根県郷友会

日本郷友連盟徳島県郷友会

日本郷友連盟香川県郷友会

日本郷友連盟愛媛県郷友会

日本郷友連盟福岡県郷友会

日本郷友連盟熊本県郷友会

日本郷友連盟大分県郷友会

日本郷友連盟宮崎県郷友会

日本郷友連盟鹿児島県郷友会

三重隊友絆の会

広島県佐藤正久を支える会

全日本不動産政治連盟福島県本部

日本遺族政治連盟福島県本部

大分県佐藤正久を支える会

大分県防衛協会

全国自動車整備協業協同組合協議会

2015-07-30

「世界秩序の構築に貢献する日本の決意」:産経新聞投書欄に見る〈臣民への道〉20150729

産経新聞2015年7月29日付

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臣民からの「戦後70年談話」へのご提案だが、ここで言われている「世界秩序の構築に貢献する日本の決意」って何だ? をはじめ、「懸案の解決の糸口を見いだすことができるような未来志向の格調高いもの」などという不可解なフレーズが並ぶ。

臣民への道ご教訓としては、「臣民にとって〈未来志向〉とは「植民地支配と侵略」「心からのおわび」から解放されること」といったあたりか。



産経新聞2015年7月29日付

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20世紀前半の帝国主義間争闘戦のところで戦争観のアップデートが止まるとこうなるという貴重な見本で、戦争法案の理解も事実誤認おかまいなし。臣民のご教訓としては「他国から侵略されたらどうする」一本槍で何でもかんでもぶった切る――ことを学ぶことができるだろう。

同じ日に掲載された(上に紹介している)76歳男性の投書が、「東亜新秩序」構築への夢をいまだ温存し帝国的グロ―バリズムを決して忘れていないにもかかわらず、こちらの67歳は「負け戦はみじめだ」→「国の平和は国民の手で守る」レベルに終始しているところが、やはり〈戦後〉を濃厚に感じるポイントではある。