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2014年07月24日

 『まちづくり構造改革 地域経済構造をデザインする』   中村 良平 著


  

【所感】

経済学先生が書いてるけど、非常に読みやすくて、素敵。やっぱ、数字は重要。倒産しそうな会社で、まず経理からちゃんとしましょー!みたいな一冊。地方政治家とか地方公務員の人とか、地域を支えてるという自負のある事業者の人とか、読んだ方が良い一冊。

   

工場とか誘致しても、仕入れで域外調達が多いとか、利益移転価格にのっかって本社にもっていかれて、従業員も隣の町から来てるとか、で、みんなして、隣町のショッピングセンターで買い物してるとか、そういうのちゃんとみないといけませんよー、というあたり、目鱗。結局、域内粗利ですよね、っと。

  

・素敵な一冊だよね、という大前提で、突っ込みどころを遭えて探すと、

+ 地域産業連関表を新たに作成するのに、時間お金が、結構かかりそうだけど、どんくらいかかるのかしらん。地域経済構造分析の事例とかをみてると、構造分析すべき経済になっていない、というか、主要な産業が、農林水産業で、ちょっと工場(こうば)がありまして、人口のほとんどは、医療・福祉、建設商業公務員です、とかって、高いお金時間をかけてまで、こういった分析をする必要があるのか、みたいな。すでにある統計でいいんじゃね、的。あと、この分析に3年とかかかると、その間に、状況は悪くなるわけで、1ヶ月くらいでできる手法ならいいな。

+ 事例をみてると、数字を伴った地域経済構造分析ができてるのに、打ち手がそれ?!という残念感。

+ 企画段階で、経済学先生ということで、保護貿易とかブロック経済圏的な着眼点か?頑張ったとはいえ、企画系行政マンの限界ともいえるか。先生からすると、俺の専門は、帳簿作成で、打ち手は、専門外です、と言いたいところかも。行政マンは、そこで、別のアドバイザーを探すべきだったか。

+ 企画段階で、経営学視点があれば、とも思う。地域内の経済構造改革における優先度を見るには、地域産業連関表は便利だけど、個別産業の打ち手を考えるには、その産業で、5フォース分析を行うのがよさげ地域産業ごとのバリューチェーン全体をみて、どこにイノベーションをもたらすか、どこの無駄をなくすか、とか。

+ 統計から入っちゃってるから、どうしても、今あるものにフォーカスが行きやすい。打ち手に、新たなモノ、これからの時代を見据えたイノベーション感が少ない。県とか市とかそれなりに大きな組織の企画だから、関係者が、目の前の規模とか、確実性みたいなところに、寄りたくなるというか、そういうのかな。

+ 意思決定段階・運用段階で、地域政治家地域行政組織地域住民の限界は感じるところ。普通高校野球部にきた監督が、相手のフォークは球速が遅いから、あれを狙え、的な。そもそも、野球部員が勝ちたいと思ってるか、という話もある。

 

・ 結局、地域再生の分野って、この時代の日本だと、圏域人口が10万人くらいだと、基本は、撤退戦をどこまで華麗にできるか、というのがスタートで、産品とか人材とか場所とかの特性で、ゲリラ戦がうまくいって・・・、という伸び代がでてくるといいなぁ、あたりの話なのかも。


    

【目次】

序章 まちづくりの経済原則

1章 いま、まちの経済は?

2章 まちの経済構造、どこが問題

3章 まちの経済の成り立ちは?

4章 まちの経済のどこを見る? − 地域経済構造分析の導入

5章 具体的に何をする? − 地域経済構造分析実践

6章 まちの構造改革に向けて − 地域経済構造分析の展開

7章 こうしてまちの経済は変わった!

終章 変わりつつあるまち