はじめに 「空想技師集団」という話を、もう長いことかいていて終わらない。今回はその続きを書くための試論だ。 忘却を越えて 登場人物も、その関係性も、当初の役割と構想も、場面の推移も、伏線も、現在の情勢も、死者と生者の区別も、時系列も、解決済か否かも、犯人も、何もかも忘れてしまった状態の、もう十分に長く書き進めた小説の続きを書くことは可能なのか。 というよりも、それは小説の神様にたいする冒涜になる恐れはないのか。という切迫感に苛まれ、冒頭から読み返す試みに幾度か取り組み、そのたびに挫折する。 小説がつまらないからではない。続きを書くための情報を整理しなければ、という別の焦燥感に駆られてしまって、…