作家。1962年、岡山生まれ。早稲田大学卒。 1988年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞受賞。1991年「妊娠カレンダー」で芥川賞受賞。2004年「博士の愛した数式」で読売文学賞・本屋大賞受賞。同年「ブラフマンの埋葬」で泉鏡花文学賞(第32回)受賞。2006年「ミーナの行進」で谷崎潤一郎賞受賞。 主な作品に「シュガータイム」「密やかな結晶」など。静謐で透明感のある文体が特徴。
著者:小川洋子出版社:河出書房新社 神戸新聞で連載やその他の媒体に掲載されていたエッセイ集。 それぞれが非常に短いのであっという間に読めてしまう。 不思議な世界観を読ませてくれる小川さんの日常は決して特別ではないのだが 同じものを見てもきっと自分には決して気づけない世界が広がっていて そんな視点が反映された作品を読むたびにハッとさせられるのだろう。 そんな視点が手に入ればいいなのになあ。 使いこなせないのは判っているけれど。。。 小川作品はエッセイ集を含めて10冊まで読了していないので 熱心な読者とは言えないかもしれないが、 印象に残る作品ばかりなのでそれらの作品たちに繋がっている 文章がある…
一度読んだきりの本を久しぶりに読み返すと、いつも予想を超える驚きに見舞われる。(p.16) 苦手だと思っていた作者の本を久しぶりに手に取ると、とても気の合う人と話している気分になった。 とにかく散歩いたしましょう 作者:小川 洋子 毎日新聞出版 Amazon 小川洋子さんの作品に最初に触れたのは、中学生か高校生の時で、国語の教科書に載っていた。物語ではなくエッセイで、内容はもう覚えていないけれど、固い鉛筆で書かれた文だなという印象を今でも覚えている。内容が共感できなかったのか、授業の内容と自分の解釈のずれに納得がいかなかったのか、とても苦手な文章だと思った。自分の未熟な読解力のせいか好みのせい…
ことり (朝日文庫) 作者:小川 洋子 朝日新聞出版 Amazon 登山に向かう電車で心を整えたい 仕事も育児も全部忘れて登山を楽しみ、自然に癒されたい… と思って山に向かう電車に乗っているのに、モヤモヤがなかなか離れてくれない。 「気持ちを落ち着かせたいなー」って気分にぴったりハマったのが、小川洋子さんのベストセラー小説『ことり』。 小鳥の鳴き声の表現が美しくて、うっとりするような読書体験が得られるよ! 『ことり』ってどんな小説? 主人公は「ことりのおじさん」と呼ばれる中年男性 幼稚園で飼われている小鳥の世話をしている主人公は、子どもたちから「ことりのおじさん」と親しまれている。 でも彼は、…
1、作品の概要 『偶然の祝福』は、小川洋子の短編小説集。 2000年に角川書店より単行本が刊行されて、2004年に文庫化された。 全7編の連作短編小説。 文庫版で199ページ。 文庫版に川上弘美の解説が掲載されている。 やがて作家になる「私」が、その半生で触れ合った祝福すべき7つの偶然について語られる。 2、あらすじ ①失踪者たちの王国 小説家の「私」は、失踪者たちの物語に惹かれ続けている。 やがて偶然の失踪は、身内の叔母にも降りかかる。 ②盗作 小説のデビュー作が実は「盗作」だったと気付かされた「私」。 そこには弟の死、自身の離職と交通事故、そして病んでしまった元スイマーの弟を持つ親切な女性…
小川洋子「妊娠カレンダー」は何よりも、妊娠にまつわる「喜び」だとか「祝福」だとかが徹底的に排除されているところが特徴的だ。書かれているのは、不自然、違和感、不快感。 妊娠カレンダー (文春文庫) [ 小川 洋子 ]価格: 638 円楽天で詳細を見る なお、この作品は第104回芥川龍之介賞を受賞している。 この話では、主人公の姉が妊娠する。 姉は昼前に帰ってきた。アルバイトに出かけようとしていたわたしと、ちょうど玄関で一緒になった。 「どうだった?」 「二ヵ月の半ば。ちょうど六週め」 「まあ、そんなに厳密に分るの?」 「こつこつためたグラフ用紙のおかげ」 姉はそう言うと、コートを脱ぎながらずんず…
ミ-ナの行進 (中公文庫 お 51-5) 作者:小川 洋子 中央公論新社 Amazon 「ミーナの行進」 小川洋子(著) 中央公論新社 あらすじ 多感な時期の宝石の様な1年間 まとめ こんな人にオススメ こんにちは、ちわぷ〜です! 定期的に読みたくなる小川洋子先生。 今日は小川先生の中ではちょっと変わり種ですが、心温まる傑作をご紹介いたします☆ 「ミーナの行進」 小川洋子(著) 中央公論新社 あらすじ ミュンヘンオリンピックが開催された1972年。 朋子は、母の都合で芦屋にある叔母の家に預けられる。 そこには一つ下の病気がちな美少女ミーナ、ベルリン出身のローザおばさん、などなど個性豊かなメンツ…
著者:小川洋子出版社:講談社 「注文の多い注文書」以来の久しぶりの小川作品は、 相変わらず静かで独特な連作集だった。 古いクッキー缶の中に収められた思い出の品々。 それらにまつわる物語は見てはいけないものを見ているかのような 妙な感覚に戸惑う。 特に「今日は小鳥の日」の突然の気色悪さには、なぜ?と驚く。 補聴器セールスマンの人生の中に差し込まれるふと腐臭漂う狂気が 美しいやら不気味やら。 補聴器セールスマンの子供の頃を描いと思われる「選鉱場とラッパ」は 他の作品と毛色が違うが、この子の人生がどのように変転してきたのか 色々と考えてしまう。 うまく繋げられないくらい説明が無いので想像するしかない…
随分長い間が空いてしまった。 12月以降、他界した伯父の後始末であったり、年末年始のごたごたであったりで、すっかり無沙汰になってしまった。気付けばクリスマスもとうに過ぎ去り、早くも新年である。皆様、明けましておめでとうございます。どうぞ今年も、本ブログをよろしくお願いいたします。 聞くところによると、今年のお正月は(人によっては)9連休だそうで、そういう方々はどのように過ごしたのだろうと想像する。実家に帰ったり、初詣に行ったり、紅白を見たりしたのだろうか? 残念ながら私は世間と逆行する9連勤で、あまり年を越したという実感がない。紅白も初詣もなく、出来合いのおせちをちまちまと摘まんだ程度である。…
今回は小川洋子さんの『薬指の標本』を紹介します。 あらあら、またタイトルが好奇心を刺激するネーミングセンス! 私の中で、小川さんは揺るぎない信頼を寄せているので、読む前から期待の気持ちでわくわくです。 目次 あらすじ 感想 『薬指の標本』 『六角形の小部屋』 最後に あらすじ 標本室で働くことになってからの奇妙な日々。 ただ語るだけの小部屋に魅了される主人公。 失うことと執着することを描いた、奇妙でちょっぴり不気味な2つのお話。 感想 小川洋子さんらしい静寂と不気味な世界。 今回は少しホラー味がありました。 この本を読んで思ったのが、小川さんって「消失」をテーマに描くことが多いのかなと。 今回…
密やかな結晶 新装版 (講談社文庫) 作者:小川洋子 講談社 Amazon 「密やかな結晶」 小川洋子(著) 講談社 あらすじ 小川洋子史上、1、2を争う傑作! まとめ こんな人にオススメ こんにちは、ちわぷ〜です! 今日はクリスマス! しかし、毎年この時期は年賀状書きに追われているのでそれどころではナシ(^◇^;) 年賀状省略済みの取引先も多いですが、まだまだ年賀状を出さないといけないところも多く残ってます(^^;; 字が汚いので時間を掛けて一枚ずつ丁寧に書かなければならないのですが、何とか今日中に書き上げられる様にがんばってます! 書評の方は、久々の小川洋子先生! 久々にあの綺麗な文章を読…