小川洋子の同名小説に収録された3つの短編のうちの1つがフランスで映画化。
『L’ANNULAIRE』
ディアーヌ・ベルトラン
ブリュノ・ベルテミ
アラン・デュプランティエ
ベス・ギボンス
忘れたいけれど忘れられない思い出の鍵となる、捨てることもそばに置いておくことも出来ない品を標本にするラボで働くことになった女の子と標本技師の美しくも奇妙な話。
薬指の標本 (新潮文庫)
薬指の標本 SPECIAL EDITION [DVD]
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山本兼一『利休にたずねよ』 今日は読書の話題で、最近読んだ本3冊の感想。 1冊目は山本兼一の『利休にたずねよ』。15年前の直木賞受賞作で、一度読んでみたいと思っていた作品だった。 千利休という人物は、茶道の第一人者として、誰でもその名を知っている人物だ。秀吉に切腹を命ぜられるという最期を遂げたことも知られているが、その理由には諸説あり謎とされている。『利休にたずねよ』は、その一生を描くにあたり、切腹の日から若き日まで、時間をさかのぼって書いていくという独特の手法をとっている。歴史小説であるから、各章に秀吉をはじめとする実在の人物が何人も登場するが、利休が肌身離さず持つ緑釉の香合とそれにまつわる…
こんにちは、みなさん!一人ぼっちユウトです。今日は、少し不思議でどこか切なく、そしてどこかミステリアスな小説、小川洋子の『薬指の標本』について語りたいと思います。これは静かでありながらも、読後にじんわりと心に残る物語。短いながらも、その奥に深い感情やテーマが詰まっている名作です。 『薬指の標本』の魅力『薬指の標本』は、ある標本室に勤めることになった女性が、日常と非日常の境界を行き来するような独特の体験を描いた短編小説です。物語は、非常に静かな語り口調で進むのですが、その裏に潜む緊張感や不穏さが常に読者を引き込みます。まるで自分自身もその標本室に迷い込んだかのように、ページをめくる手が止まらなく…
あぁ「小川洋子ワールド」という感じでした。文庫本で。 「薬指の標本」 小川洋子 著 Amazon.co.jp 清涼飲料水工場で働いていた「わたし」はサイダー製造の作業中謝って薬指の先端を切断し失ってしまう。工場を辞めたわたしは偶然見かけた求人の張り紙を見つけた町の標本室に勤めるようになる。楽譜に書かれた音、飼っていた鳥の骨、火傷の傷跡…様々な思い出の品を標本にしてほしいと持ち込む依頼人たち。わたしはそれらを受け付け、標本作業はオーナーで技術士の弟子丸が担当するが、標本室は閉ざされて作業は一切目に触れることはない。ある日わたしは弟子丸から「毎日履くように」と靴をプレゼントされ、やがてひっそりと逢…
レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「薬指の標本」(2005)です。 イリス(オルガ・キュリレンコ)は、ある炭酸飲料工場で働いていて薬指の頭を切断してしまう。イリスは工場を辞めて、ある港町に行く。小さなホテルの部屋をシェアして仕事を探し始める。ある時3階建ての古い建物の前を通りがかった時、受付の仕事の募集をしていたので応募する。白衣を纏った「標本士」と面談して、少しばかり怪しい雰囲気であったが気にせず、彼女は仕事を得て働き始めるのだが… 時々ありますね、独特の雰囲気を持ったフランス映画。この作品を見ていて思い出したのはベネックス監督「溝の中の月」でし…
誰もが一度は経験する喪失。その記憶は、年月が経っても忘れることは難しいものです。いっその事、標本にでもしませんか? ご訪問いただきありがとうございます。カオルです。今回は、小川 洋子さんの『薬指の標本』の感想です。表題作『薬指の標本』と『六角形の小部屋』の2編収録。 女心を掴む濃厚な90ページです。2005年にはフランスで映画化されています。 小川 洋子さんの作品は、1991年に『妊娠カレンダー』が芥川賞受賞、2004年には『博士の愛した数式』が 読売文学賞、本屋大賞を受賞しています。映像化されている作品も多いです。今どハマり中です。 ※多少ネタバレあり。 作品 タイトル: 薬指の標本 著 者…
R読書会 2023.05.27【テキスト】『薬指の標本』小川洋子(新潮文庫)【参加人数】5名、感想提出1名※オンラインでなく対面形式でした。 <推薦の理由:参加者A(欠席)>[事前のレジュメより]《1》閉鎖的な空間で起きるミステリアスな物語 火傷の少女はどうしたのだろう。以前この標本室で勤めていた女性たちが消えたというがどういうことだ。これらの謎を残したまま物語は終わる。浴槽で衣服を脱がされ、彼に抱きしめられる。全裸に黒い靴を履いたままの姿は強烈な印象だった。しかし、四月にアジアの若手作家のみずみずしく溌溂とした作品群に接したためか、この作品にはなじめなかった。彼一筋の「わたし」の生き方が気持…
以前の職場で「指の皮が薄い」と言われたことがある。普段は特に不自由しないが、ちょっと無理をすると指紋が削れてしまう。化学薬品や工具を扱うときに少しだけ気をつける。仕事内容によっては、だんだん皮が強くなってくる。逆に触覚は敏感なのだとも言われた。 そんな僕の指は、最近はことさら薄く敏感なようだ。原因は運動不足。なにしろ自転車のハンドルを握ること、ジャムの瓶を開けること以外に、指に力を入れる機会がない。キーボードをいくら叩いても、指の皮は厚くならない。 そして今、僕の指は傷だらけ、そして熱を持って腫れている。子供の頃に頭にできた「たんこぶ」の極小版が親指と人差し指にできている感じ。 日常の作業に支…
1、作品の概要 小川洋子、8作目の中編。 1994年10月に刊行された。 表題の『薬指の標本』と『六角形の小部屋』の2編の中編が収録されている。 『薬指の標本』は2005年にフランスで映画化された。 2、あらすじ 『薬指の標本』 工場でサイダーを作る仕事をしていた「わたし」は、左手の薬指の先を機械に挟まれて失ってしまい、標本室で働くようになった。そこは様々な品物が持ち込まれて瓶詰めの標本にされる不思議な場所だった。 「わたし」は標本室の主の弟子丸氏に靴をプレゼントをされて、恋人のような奇妙な関係になっていくが・・・。 『六角形の小部屋』 スポーツクラブで偶然出会ったミドリさんのあとを追いかけて…