槍ヶ岳 ごく親しい友が死んだ。 がんである。 めずらしくはない、二人に一人はガンになると言われている時代だ。 先日、その友を見舞った。 見舞の言葉を思案しながら、病院の長い廊下を歩いた。 幸い友は目覚めていて、同じ病だった共通の友のことを話した。 「彼は発病してから5年にもなるけど、すっかり元の生活に戻っているよ。あきらめないで、希望を持って頑張ろうよ・・・」 「ウン、ありがとう。でもね、希望なんてどうでもいい、と思うときがあるよ」 帰って来てからも、彼の言葉が耳に残った。 「希望なんてどうでもいい」という気持ちになるとき、そんなときはどんな時なのだろうか? 病気の苦しみに悲鳴を上げながらもが…