「広島」や「ヒロシマ」は眼にするが「ひろしま」は珍しい。修学旅行生や観光客が路面電車で目指す原爆ドームの近くに静かなる衝撃は存在する。 〈ひろしま美術館〉 ひとりの画家をコンセプトに造られた美術館は多い。だが、たった一枚のタブローのために構成された美術館は日本でここだけではないか。 原爆ドームから歩いて10分ちょっと。1978年(昭和53)11月3日の開館。広島駅から路面電車に乗り「紙屋町東」の近く、広島県庁の目の前。この美術館の所蔵作であるオディロン・ルドン《ペガサス、岩上の馬》を模したペガサス像が意気揚々と迎えてくれる。 ピカソの息子より贈られたマロニエ(栗)の木を抜ける。 受付とミュージ…