童話『銀河鉄道の夜』の初期形第一次稿は,四次稿の4分の1程度の長さの物語であり,大きく分けると「橄欖の森」,「高原のインディアン」,「バルドラの野原の一匹の蠍」そして最後の「ブルカニロ博士」の4つの話から構成されている。「ブルカニロ博士」の登場する場面は第四次稿で削除されるが,残りの3つの話は,一次稿から四次稿までほとんど加筆修正されることなく残されるので『銀河鉄道の夜』の最も重要な部分(核の部分)である。 本稿(1)では,最初の「橄欖の森」について言及し,『銀河鉄道の夜』が北海道の日高山系や「東北」の北上山系の「蝦夷」など「先住民」の住む「橄欖岩」を産出する大地をイメージして創作されたことを…