中央奥、半分建物の陰になって立っているのがアイツだ。 湯殿で水をかぶるとき、窓を開けると網戸越しに、雑草としては背丈の高い草が、花を着けていた。観慣れぬ新顔だなと思っているうちに、花の先端が白っぽい穂の束となり、どうやらこれがやがて時がくると風に吹かれて、繁殖に飛んでゆくつもりらしい。 梅雨の時期以降、私にとっては外出や運動を控えるべき日が多く、また珍しくもこの夏は、仕事をくださるかたがいく人かおられて、草むしりは放置につぐ放置となってきた。体調も気分も、整うことがなかった。ガスメーターの検針に来てくださるかたなどに、建物の裏手へ回っていたゞくにも、申しわけない光景となっている。 ようやく涼し…