たった一段の段差。経年変化によるコンクリートの隙間。つまり割れ目である。 花どきが了るまで、眼こぼししておこうかという気になる。通行人の眼に触れる箇所ではあるが、拙宅がなにかにつけて行届かず見苦しいのは、今に始まったことではない。今さら几帳面ぶってみても、しかたあるまい。 それに今日は吉日だ。空模様も絶好だ。草むしり、つまり殺生の気分ではない。 幸いにしてゴールデンウィークの谷間で、名店ベーカリーの営業日だ。いつものゲンかつぎで、かつパンを買う。付け合せはツナサラダとポテトサラダとした。 今夕、心かようお若い友人たち、ほんの数名による小宴の予定だ。お若いといっても、四十代五十代、あるいは還暦に…