「強制的な規範」や「法」を抜きに、安定した社会関係を結ぶことができる人間集団などの数として主張されている仮説。
提唱者のロビン・ダンバーは「霊長類大脳の新皮質の占める割合」と「それぞれの群れの構成数」には相関関係があると主張している。
ダンバーの論文。 http://www.liv.ac.uk/evolpsyc/Evol_Anthrop_6.pdf
そこから、人間における「ダンバー数」は「150」程度だとする主張が多く、ビジネス書などにも組織論のひとつとして引用されることがある。
はじめに あなたは、「時間」を意識したことがありますか? 過去を振り返ったり、未来を思い描いたりーーーー。そんなふうに時間を感じられるのは、私たちに「記憶」と認識する大脳が備わっているからです。 けれど、記憶とはただ情報をため込むことではありません。脳の中では、目に見えない小さな物質が、わずかな化学変化を起こしながら、記憶という現象を生み出しています。 この変化には、一度起きたらもう元には戻れない、「不可逆性」という性質があります。だからこそ、記憶には時間の流れが深く刻み込まれていくのです。 もし記憶がなければ、私たちはただ「今」という瞬間にとどまり、時間の流れなど感じることはできなかったでし…
人類の起源(24-15)、科学文明の起源(24-17)に続く、「〇〇の起源」というタイトル本3冊目。狙って読んでいるわけではないけれど、起源は魅力的なワードである。 まずは、長谷川眞理子さんのあとがきから引用する。 著者のロビン・ダンバーは、もともとサルの仲間の社会行動を研究する霊長類学者であったのだが、その後、ヒトという生物(つまり私たち自身)が持っているヒト固有の性質、すなわちヒトの本性は何であり、なぜこのように進化したのかを研究する、進化心理学者に脱皮した。(290) 著者はロビン・イアン・マクドナルド・ダンバー(1947年~)であり、かのダンバー数の考案者である。このあとがきを読むまで…
※この記事は、授業で接している学生の皆さんを対象としたものです。予めご承知おきください。 自民党の政治資金問題が拡大し、派閥解散が報じられた際、自民党派閥のメンバー数と「ダンバー数(Dunbar‘s number)」との関連を興味深いと感じた方も多いでしょう。霊長類は、たまたま居合わせた個体たちが群れを作るのではなく、相互に認識し、自集団(の個体)と他集団(の個体)を区別する集団を構成し、その集団内で、資源を巡り様々に競合しつつ、社会的知性(「マキャベリ的知性」(Byrne and Whiten 1989)とも呼ばれる)を駆使して、複雑な社会的関係性を織りなし生活しています。人類学者であるDu…
夏の甲子園が始まり、連日熱戦が繰り広げられています。 コロナ禍で選手が感染してしまったチームが複数出てしまい、運営側は感染校の試合日程をずらすなど、異例の措置をとっての開催となりました。 高校生活のほぼすべてを、練習に費やしてきた球児たちへの、運営側の配慮の跡が見て取れます。 コロナウィルスとの闘いも足掛け3年となり、その間子供達は、貴重な体験を積む機会を奪われ続けてきました。 高校球児たちもその例外ではなく、今回甲子園出場の切符を手にした選手たちのプレーぶりを見ていると、喜びが体全体からあふれ出しているように感じます。 彼らにとって、チーム一丸となって勝利にまい進した時間は、今後の人生の中で…
日本人に共通してみられる行動の背後にあるものは何でしょうか。それによって日本人の行動を予測できる、シンプルな原理や仕組みがあるのではないでしょうか。 日本人の行動を説明する要素として、仮に、次の2つをあげてみます。 (a)ヒトには上下があるという本能 (b)貧弱な想像力(即物的に考える傾向) これとは反対に、近代人が備えていると思われる要素をあげるとこうなります。 (a´)ヒトは平等であるという信念 (b´)豊かな想像力(抽象的に考える傾向) 人間は、文字を発明することによって、高度に抽象的な概念を操作することが可能になりました。また文明が発達するのに伴い「個人」といった概念が現れ、「平等」が…