英語:pistachio(Nuts)
中国:開心果仁
ピスタチオの歴史は、3〜4千年前から古代トルコ、ペルシャなどの地中海沿岸地方に野生で砂漠に生産していたものを食用に栽培するようになり、その後植物愛好家が種子をローマに持ち込み、ヨーロッパに広まったが、永い間、一部のアラプ系、アルメニア系、トルコ系などの人達のみに親しまれ、シバの女王が好んだとも言い伝えられるまでに至った。
日照時間が長く、乾燥した砂漠のような環境を好むピスタチオの木は、カシューナッツと同様にうるし科の落葉樹で、雄木と雌木があり、受粉の良否が収穫量を大きく変動させる。木は蜂など昆虫による受粉というより風媒花で、雄樹が花粉を作り雌樹が実をつける。他のナッツ類と同様に、隔年で収穫量をあげる交互結実栽培である。
ピスタチオは通常、実をつけ大きな生産高を上げるようになるには、種植えしてから丸々7〜10年が必要で収穫の最盛期を迎えるまでに20年かかると考えられている。気候もまた生産に役割を果たすもので、冬が厳しすぎる、あるいは受粉の時期に雨が多いと実りも減ってしまう。より良いピスタチオを栽培するために、華氏45度(摂氏約7.2度)以下の状態で約1000時間置く必要がある。実は完熟すると、きれいな黄紅色に染まった簿皮に包まれ、外穀は自然に縦に割れて取穫される。中身の小葉はクロロフィルを多く含み、ピスタチオグリーンと呼ばれる緑色が濃く鮮やかなものほど珍重される。また、剥き実用として口開きしていないものを機械脱穀して利用する。
ピスタチオの生産国は、イランが世界一で全体の約50%を占め、次いでアメリカ含衆国カリフォルニア州、トルコ、シリアの順。特に風土の関係で収穫量が少ないフランス・スペイン及びイタリアのシチリア島産のものが甘味、芳香が強く、もっとも良質だという。*1
ピスタチオの種類は大別すると
1.Round (例、Fandoghi).
2. Jumbo (例、Kalleqouchi).
3. Long (例、Akbari, Ahmadaghaee, Badami).
4. シェルが自然のまま閉じられている種
栄養成分は、ビタミンAからB-6、マグネシウム、鉄、銅、リン、チアミン、及び、カリウムを含む亜鉛までのミネラルが多いのが特徴的である。また、食物繊維が9.8%と多く、コレステロールは0であり、そして、脂質では飽和脂肪酸が極めて低くオレイン酸、リノール酸の単価不飽和脂肪(Monounsaturated Fats)酸が豊富に含まれている。これは、冠状動脈の心臓病の危険性を下げる役割を果たすため、健康な心臓にかかせないものである。
用途は、殻付きの場合は、ロースト塩味加工によるスナックフーズとして需要が多く味覚、風味共に、「ナッツの女王」といわれる高級感があり、ピスタチオ消費の大半を占める。 また、剥き実の場台は、スライス、ダイス力ット、ペーストなどに加工して製菓原料用として最高級ケーキ、アイスクリーム、クッキー等に利用されている。
イラン産のピスタチオから、土壌に含まれるカビ毒の一種で発ガン物質のアフラトキシンが高濃度で検出されたと2002年7月に新聞報道があったが、イラン産のみならず全ての国からのピスタチオは、輸入時に第三者機関による命令検査が義務付けられている。日本国内で流通しているピスタチオは、全て検査合格済みとのこと。
*1:日本には19世紀初期に渡来し、1884年(明治17)ごろ栽培が試みられたらしいが、気候や風土が適せず、現在は栽培はされていない。