どっちがいいんだろう、上を仰ぐのと、下へ俯くのとでは? 坂本九が唄った「上を向いて歩こう」が国民的歌謡というほどの大ヒット曲だった時代から、六十年以上が経つ。懐メロ曲としても数限りなく唄われただろうし、他の歌手によるカバー版もあることだろう。むろんわが世代の老人であれば、ワンコーラスだけなら今でも唄える。唄えはするが、ふだん思い出す機会はない。談たまたま話題にのぼれば、はい、いかにも憶えておりますですよ、という曲のひとつである。 今でもこの歌が、熱烈な想いを伴って唄われている場面の映像を、最近観た。南米某国における、日本人会だった。数えるほどの一世(移民当事者)となん百人もの二世三世による懇親…