プロローグ 消えたアイドル 午前二時十三分。 画面の中で、少女が泣いていた。 「……誰か、いるんですか?」 薄暗い部屋。 六畳ほどの和室だった。 壁には何もない。 窓にはカーテン。 押し入れの襖が、少しだけ開いている。 少女はスマートフォンのライトを押し入れへ向けた。 「スタッフさん……?」 返事はない。 少女は一歩、近づいた。 その瞬間。 ――コン。 押し入れの中から音がした。 少女の顔から血の気が引いた。 「……今、音しましたよね?」 カメラの向こうには、誰もいない。 スタッフは別室にいるはずだった。 少女は震える手で襖に触れた。 ――コン。 もう一度。 今度は明らかだった。 襖の向こう側…