映画「ブレット・トレイン」を見たという話をした相手に「原作の方がもっと面白い」と言われたことから、その日のうちに角川文庫版を購入して一気に読み切った。600ページに迫る内容で、映画より複雑な構成になっていてわかりにくさもあったものの、展開が速いこともあって、続きが気になって手放せなかった。 伊坂幸太郎の作品を読むのは初めてだったが、とにかく言葉の選択が絶妙で、そこには明確な意図があった。僕にとっては、普段頭の中に置いている要素が言語化されていることも、作品に引き込まれた要員になっている。わかりやすい例としては「マーフィーの法則」もそのひとつだし、主要な登場人物のひとりである王子が投げ掛ける「な…