佐藤正午が名作古典を読みなおす 小説を読むことは、小説を書くことに繋がる。小説を読む中で、読者はそれぞれの解釈を行い、そのつど新たな解釈が生まれてくる。文字通り、読者の数だけ解釈がある。 この『小説の読み書き』では、佐藤正午の目線から名作古典を読みなおし、小説家視点からの小説の書き方を考えていく。読みなおす小説は夏目漱石『こころ』や川端康成『雪国』、太宰治『人間失格』、谷崎潤一郎『痴人の愛』といった有名どころの小説から、横光利一『機械』や永井荷風『つゆのあとさき』といった有名ではないが文学好きなら知っているマイナーな小説までと様々だ。それぞれの小説の文体を中心に読み解いていく。 永井荷風『つゆ…