前々回にて十字の冠が出土した上塩冶築山古墳、前回にてメノラーと十字の中間のようなデザインのある金銅製冠帽が出土した善通寺市の王墓山古墳を取り上げた。今回は石室が完全な十字の形をしている広島県福山市の尾市古墳(十字古墳)を取り上げる。次の流れにて紹介していく。 ・尾市古墳(十字古墳)・被葬者について・吉備の分割 ■尾市古墳(十字古墳)所在は広島県福山市新市町大字常。尾市古墳群の古墳の1つ。石室の平面が十字の形をしている。現時点でこの構造は全国で唯一とされる。形状は八角墳の可能性が高いとされる。対角長で15m。墳丘の裾からやや上側に対角長12mの列石がめぐる箇所があるという。築造は7世紀後半。大き…