タバコと、前言と、やめたこと タバコを吸いたいな、と思うことが、ない。 これは不思議な話だ。一昨年まで、わたしは一日三十本を吸っていた。朝起きたら一本。コーヒーのあとに一本。何かを考えるときに一本。何も考えないときにも一本。タバコは生活の中にすっかり溶け込んでいて、吸うことを意識すらしていなかった。空気を吸うように吸っていた、とは少し違う。もっと積極的に、能動的に、タバコに手を伸ばしていた。それが当たり前だった。 一日三十本というのは、一時間に一本強のペースになる。眠っている時間を除けば、もっと密度は高くなる。働いているあいだ、食事のあいだ、誰かと話しているあいだ、テレビを見ているあいだ——気…