不可思議。この言葉が適切だろう。管理人が鈴木に告げた死体の名前は、記憶に新しい、"竹部美智子"であった。昨日熊田たちが借り出された現場で見つかった死体の氏名である。しかし、それもまた正確に正しいとはいえない。この竹部美智子なる人物は平然と会社に出社し、生存が熊田たちの目で確認された。その人物の同意も得て、本人特定の質問事項が敢行されたわけであるが、疑いようもなく名前の人物であった。それでは、死体となって発見された人物は誰であるか、という疑念が自然と持ち上がる。しかし、死体が発見された施設の管理者からもたらされた情報を辿り、当該人物の部屋から見つけたのは、部屋を借りる際に結んだ契約書のみで、その…