炎暑の日に源氏は東の釣殿《つりどの》へ出て涼んでいた。 子息の中将が侍しているほかに、親しい殿上役人も数人席にいた。 桂《かつら》川の鮎《あゆ》、加茂《かも》川の石臥《いしぶし》などというような魚を 見る前で調理させて賞味するのであったが、 例のようにまた内大臣の子息たちが中将を訪《たず》ねて来た。 「寂しく退屈な気がして眠かった時によくおいでになった」 と源氏は言って酒を勧めた。 氷の水、水飯《すいはん》などを若い人は皆大騒ぎして食べた。 風はよく吹き通すのであるが、 晴れた空が西日になるころには蝉《せみ》の声などからも 苦しい熱が撒《ま》かれる気がするほど暑気が堪えがたくなった。 「水の上…