黒田寛一の哲学をわがものに 5の3 3 死んで生きる 西は、なぜに「死んで生きる」という言葉に小ブル的反発を昂じさせるのであろうか? 田辺の講演を、「学生を前にしての、戦地にいって死ねという、この死へのアジテーション」と捉え、黒田がこれを弾劾していなないと勝手に決めつけて、黒田を「『死んで生きる』という田辺の哲学を、黒田は自身の意識の底に沈殿させているからに他ならない。」とさえ言ってのける傲慢さはどこから出てくるのか? 黒田は、解説の冒頭から書いている。「軍靴の響きが高まっているかぎり、日本軍国主義への哲学的抵抗とその挫折の痛ましい過去が、今こそ掘りおこさなければならない。…明治以降の日本哲学…