著者にとって、津山藩士・小島楽天が『寓居雑記』に記した一文。どうもそれが本作を書く動機になったようだ。それは細工物の羽を身につけ、橋の欄干から河原に飛んで降りた兄・周吾のことを、その弟である表具師の弥作から聞いた覚書である。つまり、江戸期に羽をつけて空を飛んだ男が居たという事実! 著者は本書末尾で、二代目備前屋幸助以降の系譜を語り、二代目幸助の生涯も概ね詳らかだと言う。さらに、後世に至って、初代備前屋幸吉の生涯を詳らかにしようと試みた人物が二人居ると言う。竹内正虎と伊東忠志である。前者は『日本航空発展史』を著した旧陸軍歩兵大佐。後者は玉野市文化財保護委員長として市史編纂を担った人。著者はこの二…